終わってしまったー。
あっと言う間だった。
そして最後まで驚かせてくれる坂元裕二!
まさかのふわふわエンド。
そうきたかー。
真紀が連れていかれて1年、アリのようにひたすら働きながら待つすずめと家森、キリギリスみたいに佇む別府。
すずめは髪の毛をまとめきっちりした服装で徹夜して勉強する。
あのゆるゆるなすずめではない。
3人では練習もしない。あくまでカルテットだから。
週刊誌に面白おかしく書かれても真紀を責めるようなことは言わない。
優しい人達だ。
一方真紀は3人に迷惑をかけないために戻らない。優しい人だ。
コロッケデートの記事で状況が変わる。
相変わらず片思い中の別府が挫け、一言
「解散しましょうか」
これですずめが動き出す。
再会までもひっぱらない。
すれちがいそうになってすれ違うのかと思いきや、すぐに真紀に音楽が届く。
再会して真紀が身を引くのかと思いきや、サクッと戻る。
最初からずっと、ドラマのパターンというものを端から外してくるドラマだ。
それは満員のホールのコンサートでも同じだ。
『疑惑の美人バイオリニスト』を売りに完売したコンサート、
いけすかない有朱はなんの反省もなく報いも受けず、「人生チョロかったー」と高笑い。
覗き見気分の観客が、空き缶を投げ入れたきっかけで荒れるのかと思えばそうでもなく、
一曲終わって席を立ち始める観客に、客席はガラガラになったのかと思えば、結構残ってる。
伝わる人には伝わってなかなか楽しいコンサートが出来上がる。
久しぶりにぐーたら寝るすずめ。
目を覚まし、真紀がいなくて「夢?」と思わせておいて、ちゃんといる真紀。よかった。
ここで唐揚げ再び。
めんどくさい家森、小声の真紀も復活。
「サンキュー、パセリ」
ここにパセリはいるのだよ!
車内での「おとなの掟」
4人は自由を手にしてグレーになった。
このドラマはまさにそういうドラマだった。
男女4人、それぞれ片思いだけど、2組のカップルでも夫婦でもない。
夢を諦めるでも、趣味にするでもない。
真紀の疑惑もハッキリ明かされない。
真紀は底知れないまま、
それでも3人は構わない。お互い好きだからそれでいい。
ドラマの予定調和は使わない。
色々張った伏線も家森の涙のように、深読みしたり回収したりしなかったり、
それでもいいんだと、中途半端でも不安定でもいいんだとずっと言ってくれるドラマだった。
それでもここにいるんだよと。
ユートピアのままでもいいじゃないかーと。
カルテットメンバーに手紙を書いたのは、おそらくあの帽子の女性。
中途半端ではいられなくて奏者をやめた女性。
それでもコンサートに来ずにいられなかったのは、4人に自分が選ばなかった姿をみたから。
必要のない煙突から出た煙でも、価値が無くても、正しい選択じゃなくても、意味はなくても、それを選んだ4人が楽しそうだから。
世の中は大人だから正しい選択を、意味のある選択をしなくてはいけないと、それが常識なのではあるけれど、
それが必ず正解な訳ではないと、カルテットのメンバーでこのドラマは語ってくれた。
正しい選択をできないことに負い目を感じる大人に、「大人だからこそ、自由でグレーでいいんだよ」と語ってくれる。
だからこのドラマも登場人物も皆優しいんだ。
ラスト、行き先もわからず将来もわからず、思い切り迷ってるけど、4人で笑って終わる、こんなふわふわなハッキリしない終わり方でも、気持ちが上がってしまうのは、このドラマがぶれないからだ。
有朱役の吉岡里帆が「サスペンスの意味を調べたください」と言っていたので調べた。
サスペンスーある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理
だそうです。なるほど。
それでもいいんだよ。
のくた庵(すごいセンス💧)の夫婦が、地に足ついた優しい人として時々でるのが、またよかった。
地に足ついた生き方を否定するのではなく、のくた庵の夫婦もカルテットメンバーもどちらもありで共存できるのがいいのだ。
大二郎さんは最後まで男前だったー!
9話に出たスティックボム、Amazonで売り切れたそうで。
確かにやってみたい。けど並べられる気がしないや💧
ぶれない脚本と、その不安定さをキッチリ表現できる技量高く魅力的な俳優、脚本をしっかり汲み取った演出、
面白いドラマってそれが揃えばできるんだよね、っていう見本でした。
前クールの逃げ恥と内容は方向全くちがうけど、ドラマの製作として抑えるところはおんなじですね。
ドラマって面白いなって素直に思える幸せな時間だった。
火曜日の楽しみがまた終わってしまったなー。