モカの日記

誰かに気を遣うことのない、思ったことをそのまま書いてみるところ。

連続ドラマW 「プラージュ」最終話 やっぱり希望が見えないとね

美羽がさらわれ、彰からの連絡に駆けつけるプラージュの面々。執行猶予中と止める通彦を制し、エプロンのまま同行する貴生。
拉致グループのアジトまでたどり着く。 通報はしたものの美羽が心配で乗り込んでしまう貴生。が、策もなくただ「美羽ちゃんを離してください」「大切な友達です」としか言えない。
拉致グループのリーダーが言う「殺されたのは俺の妹なんだ」「殺したやつのこと許せないっしょ」被害者遺族でもあったリーダーに反論できない貴生達。
そして彼らの手元にあるプラージュの記事が載った雑誌。
土下座し「ごめんなさい。許してください。あなたが妹さんを大切に思うように、僕たちも美羽ちゃんが大切なんです」「殺さないでください」
皆で土下座し、言われるまま裸になって謝罪をする。
が、サイレンの音にキレる拉致グループ。乱闘になる中、美羽の拘束を解き抱きしめる貴生。
警察に取り押さえられる隙を突き美羽にナイフを突きつけるリーダー。庇う貴生。それを彰が庇って刺されてしまう。
搬送される彰が差し出したUSBには衝撃の告白が入っていた。

美羽の拉致事件は案外あっさりと終わる。前科者ばかりが集まっているからと警察に疑われると言うようなこともない。
拉致そのものが重要じゃないのだ。
犯してしまった罪ははたしていつ、どうやって、誰が許すのか?
拉致グループのリーダーは妹の復讐に美羽を拉致する。法治国家としては論外だ。やられたからやり返すでは社会は成り立たない。だけど彼の気持ちを100%否定できる人はなかなかいない。誰もが保護司のシンスケさんの様にはなれないのだ。自分に関係なくたって、殺人を犯した人間がやり直すのを認めない人は沢山いる。
だからといって、そもそも悪いのは彼の妹だ。一方的に美羽に暴力を振るい、反撃されてまたやり返す。彼女が死んだのはたまたま。彼女の方が殺人犯になっていてもおかしくない。そうなっていたら素直に復讐を受け入れるのか?
美羽の罪は法的にはきちんと償っている。保護司の元に通い家事をする。でも美羽自身が罪を犯した自分に価値を感じていないから、誘われるまま身体を売る。ある意味で自傷行為なのだ。
いつどうやって償いが終わるのか?正解はないから、それぞれがそれぞれでそれぞれの解答をだすしかない。
美羽は貴生に庇われて、初めて人に大切にされることを知った。美羽が自身に価値を感じ赦してもいいとわかったことで、美羽の償いがやっと始まったんだろう。
そうしてやっと「働いて社会と関わる」一歩を踏み出した。

彰のUSBにあった上申書。それは知樹の事件の真犯人が自分だというもの。
被害者となった知樹の友人から裏ルートの中古車販売の件を上手く聞き出し記事にしたのが彰だった。
追い詰められた友人に詰め寄られ殺害してしまった彰。たまたまその前に友人に会っていた知樹が容疑者として逮捕されたことで彰の中で事件は終わっていた。が、知樹が再審請求したことで自分の身が危ういと思い、阻止するためにプラージュに入り込んだのだ。
しかし、プラージュを作ったオーナー潤子の思い、智樹を信じる貴生の言葉、何よりプラージュの住人の、世間の目に耐えるひたむきな生き方ににぐらついてしまう。
拉致された美羽を追い貴生を庇ったのは彰の贖罪なんだろう。

週刊誌の騒動も落ち着き、プラージュに客が戻る。刺された彰は意識を取り戻し罪を認め、知樹は無罪が決定する。
そして貴生は、やっと自分の犯した罪を自分のことと受け入れて、前科者として仕事を見つける。そして次の誰かのために部屋を開けるため、プラージュを出ることを決める。
皆それぞれに一歩づつ進んでいく。
見習い介護士になった美羽。再びデザインを始めた通彦。スナックでランチを始める紫織。楽器屋で働く知樹。
そしていつか罪を償って戻ってくる彰のために部屋を開けて待つ潤子。
プラージュとはフランス語で「砂浜、浜辺」の意味。海と陸地の境目。
罪を犯したものが元の世界へ戻るための境目。

サスペンスドラマというのは沢山あるけど、案外こういう「その後」を書いたドラマを見ない。
日本では再犯率の高い原因のひとつが、犯罪歴のある人間の受け入れ先がないことだと聞く。
治安が良く安全な社会であるということは、一旦はみ出してしまうと戻るのが難しいということだ。
いわゆる凶悪犯は別としても、ちょっとした不運で前科者になることはきっと誰にでも起こりうることなのだ。
法的に罪を償えばそれで終わりのはずだけど、人間はそんな単純なものじゃない。
じゃあ、いったいどうすればいいのか?そんな問いかけのドラマだった。
美羽の件はもちろん、どのケースをとっても明確な答えを出せていないのが、このドラマの誠実なところなんだと思う。
この中に出てくる3件の殺人事件はどれも被害者にかなり問題がある。だからといって殺していいわけでも、逃げていいわけでもない。殺人は殺人として、結局はそれぞれにちゃんと向き合うことしかないのだ。
おそらく絶対に正解の出ない問題にストレートに挑んだというところで、好感の持てるドラマだと思う。
正直、色々と考えさせられた。

ただ、ドラマとしてはツッコミどころがやっぱりあったなー。
4話、知樹に対して貴生が「知樹さんは悪い人じゃない。ご飯を綺麗に食べるから」というところがあった。けれども、だったらそういうとこ映しとこうよ。
5話で時間が短いとはいえ、描いてなさ過ぎ。
知樹の出番が少ない分、皆が知樹を信用しているというのがよく伝わらなかった。
2、3話でまるまる紫織や通彦の話に使うなら、プラージュの住人と知樹の言葉にはない信頼をもう少しちゃんと描くべきではないのかな?
ましてや、潤子が知樹に好意を持ってるって、「恋が上手くいきそう」のセリフまでほとんどわからないよ。公判の朝に生姜焼きだけでは‥‥。だったらせめて生姜焼きが知樹の好物だ、くらいは入れてくれないと。
なので彰の罪悪感がグラつくのも唐突に感じるんだよね。
そして貴生の美羽への好意も、初対面のときに「かわいい」って思ったな、以上のことも入れてくれないと。美羽が「顔がかわいい」以外に拾うところのない子になってしまうし。

その辺すべて、プラージュでの皆の生活の描きこみが足りないからだ。
初回であった、みなで机を並べ準備をしていただきます、と食事をするシーン。あれが素晴らしかった。そしてあれこそがこのドラマの基本なのだ。きちんとした食事を皆で一緒にとる。生活の基本中の基本。それが人生の立て直しそのものなのだ。
なのに、2話以降の食事シーンがどうも物足りない。初回で感じさせた「生活の基本」な感じが弱かった。
基本の生活をきちんと繰り返していくことこそが人生の立て直しなのだと、もっと伝わるようにできていれば、プラージュ住人の信頼関係がちゃんと伝わったと思うんだよね。

それでも、全体としては毎回面白く見れたし、何よりダメ男貴生くんが可愛かったー(笑)
プラージュを出ていく後ろ姿のちょこんと感がもう「本当に36のオッサンか?」と突っ込みたくなるくらい可愛かった。

そして、うっかりそこに思いが及ばず、まさか知樹の事件の真犯人が彰とは、想像もしてなくてマジでビックリ‼︎見事に騙された、単純な客でしたね(笑)