温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「anone」第5話 つかの間の平穏は瑛太という異物に一瞬で潰された。

亜乃音の元にハリカ、持本と共に謝罪に来たるい子。自首するというるい子に「面倒な事になるからやめてくれ」という亜乃音。
そこへ亜乃音の雇い主の花房が訪れた事で家族ごっこが始まる。騙されてるはずの花房ですら嘘だと知っている疑似家族。そしてそれはそのま続いて行く。
一方、亜乃音の渡した赤い傘は玲から中世古に渡る。その赤い傘を持ってやってくる中世古。
5話になってようやくメインキャスト5人が揃ったけれど、それは孤独な4人が支え合う幸福な隠れ家に中世古という異物がやってくることで、ばっさり終了!というものだった。

前半の疑似家族ごっこはただ微笑ましかった。
これまでハリカはほとんど話さない。いつも孤独で、だった一つの拠り所である彦星とのやりとりは文字だけ。
そんな彼女が初めて居場所を得てひたすら喋る。ホントどーでもいいオチもない話を延々と楽しそうに。この無駄話をする相手がいるという幸福。泣きそうになる。「つまらない事を言ったら嫌がられないか?怒られないか?」という心配をしなくていい話し相手。小さいようでものすごく大事なものだ。
そして一緒にご飯を食べ一緒に歯を磨く相手。
「カルテット」で「同じシャンプーを使ってるから家族だ」と松たか子に言わせたように、坂元裕二は「これが家族だ」と言う。
延々と無駄話をする、一緒に歯を磨く、そんなちょっとした生活を共にできる相手こそが家族なのだと。

そして「ここはあなたが『行く』ところではなく『帰る』ところだ」と言い、一緒に彦星の回復を祈ってくれる亜乃音はハリカにとって正に母親だ。青い服の孤独なハリカを、正に母性のような赤い服を着て迎える亜乃音。ああ、ドラマって、映像って美しいなぁと素直に思える。

そんな偽物の家族が正に家族の象徴であるお鍋を始めようととしたその時、別の「偽物」を持って現れる中世古が容赦なくぶった斬る。
人の話も聞かず延々と偽札について語り、4人の意向は全く問わずに「皆さんには偽札造りを手伝ってもらいます」
怖い。孤独な4人がやっと持った偽物の幸福を、妻も子もいる中世古が一瞬で断ち切る。こんな怖いシーンなかなか無い。
中世古は4人と違う。普通の幸福は持っているのに、それでは飽き足らず過去の栄光を取り戻そうとする。なりふり構わず。容赦なく4人を巻き込んで。
一体どういうつもりなのか、中世古が恐ろしすぎて先を見ずにはいられない。