温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。タイトル変えました。

「アンナチュラル」 7話 定番のネタの扱い方で脚本家のセンスの良さがわかる楽しさ

毎回事件物としてのパターンを色々変えてきて、次はどうくるの?とワクワクさせてくれる「アンナチュラル」。
そういうところは「相棒」を感じさせるけど、相棒は複数の脚本家を使うことでメリハリつけてるのに対し、野木亜紀子が1人で、メインエピソードも進めながら書いてるところが凄い。
あるだけのネタを惜しみなく絶妙な加減で提供してくるこの贅沢さ。たまらないです。

7話は流行りの動画配信を絡めたサイコパスもの。殺人者Sと名乗る少年から指名されたミコト(石原さとみ)は「殺人実況生中継」でSが殺したというクラスメイトYの遺体を画面越しに診断し真相を明かしていく。

冒頭、神倉所長(松重豊)が離島など医師のいないところでの死亡案件に画像で遠隔診断をすることについてのレクチャーをする。
こういう何気ない日常の勤務風景に見せたシーンがちゃんと伏線になってるのがいつも上手いところ。相変わらず無駄なシーンが全く無い。「くだらない」といつも通りのリアクションの中堂(井浦新)も結局巻き込まれていくのだから面白い。

久部(窪田正孝)は週刊誌のライターから中堂が恋人の殺人疑惑をかけられたままだという事を聞き疑いの目を向ける。しかしその疑いはミコトに一蹴される。まだ何者でもなく、週刊誌のスパイとしてUDIラボに潜入し、それにも迷いがある久部と、自分がやるべきことをしっかり見据えてるミコトの違いがこういう所にも表れるんだなぁ。ホントしっかりキャラクターがつくりあげられてる。

ミコトは、中堂が恋人を殺した犯人を突き止め殺そうとしていると考え、だから中堂は犯人ではないし、それを止めたいと久部に言う。
ミコトは中堂と対等な監察医であるのに対して何者でもない自分。ミコトに対する好意とミコトと中堂が近しくなっていることへの嫉妬。
うーん、複雑だねー久部くん。
この「三角関係っぽいもの」の入れ方がまたセンスいい。
ミコトも中堂も互いが異性であることはあまり意識していない。それよりも同業者としての仕事ぶりや姿勢を見ている。そしてそれによって相手が信頼できることを認めていく。
それは恋愛とは違うものなんだけど、傍観者でしかない久部が嫉妬するには充分なものだ。そして恋愛になる可能性がゼロではないものだ。
ミコトと中堂の相手への気持ちが変わっているのが初回から少しづつ描かれていて、この先2人の関係がどう変わっていってもきっと納得させてくれる感じがする。
こういういわゆる恋愛ドラマでないものに男女のキャラクターがいると唐突に恋愛に切り替わって「何で⁈テコ入れか!」と突っ込むこともあるんだけど、きっとこのドラマはそういう心配は要らないなという、安心できる描き方だ。

殺人者Sの「Yの死因はなんでしょう」という問いかけに、中堂が止めるのも聞かず挑戦を受けるミコト。久部と東海林(市川実日子)と共に調査をするが、手が足りず結局気になって動画を見ていた中堂も巻き込む。
この辺りのテンポの良さとクスッと笑えるエピソードがいつも通り気持ちいい。
中堂のパワハラで退場したと思わせて臨床検査技師の坂本がちょこちょこ登場しては空気をほどよく和らげる。坂本にずんの飯尾という絶妙なキャスティングがいい。重い話と上手い俳優陣の中にちょっと異質なものが入っていい感じにゆるむ。芸人の使い方の見本みたいだ。

ミコトはYがトリックを使って殺人に見せかけた自殺をしたと突き止め、方医学的見地としてSに伝える。それを否定するSに個人的見解を語りかける。Yこと横山少年がイジメにあっていたこと、そしてSこと白井少年がそれを大勢に伝えたくてこの事件を起こした事、三澄ミコト個人としての見解は、イジメによる殺人、だと。
白井はイジメグループの名前を挙げ、次は自分で自分を殺すという。それをミコトは止める。「あなたの痛みは 決して 彼らに届かないそれでも死ぬの?あなたの人生は あなたのものだよ」と。

迷う白井の居場所を突き止めた中堂が今度は彼を止める。自分だけ生きていいのかと問う彼に「死んだ奴は答えてくれない、この先も。許されるように生きろ」と中堂は言う。
白井にかけるミコトと中堂、それぞれの言葉が重い。
ミコトが語りかける間に中堂の顔が映る。中堂はミコトが無理心中の生き残りだとは知らない。それでもミコトの言葉が簡単に出たものではないのはわかっている。そして自分の過去から出た言葉を白井に語りかける。
ミコトも中堂も、白井と同じだ。突然の身近な人間の死に罪悪感を覚えて、何かしなくてはと思ったのだ。その後の行動は別れたけれど。

事件が終わり、またミコトはご飯を食べる。そこに来た中堂が恋人の事件の証拠写真を差し出す。ミコトの仕事と行動を見続けて、以前解決の手伝いをしたいと言った申し出を受け入れたのだ。7話かけて、ミコトと中堂が同じ方向を向いた。いよいよだ。ますます先に期待する。

今回はいじめ自殺という、事件物なら1度は使う定番だけど扱いの難しいエピソードだった。
それを一見サイコパスものにみせて視聴者を引き込み、最後ミコトに「死んでもなにもならない」と言わせたことで、この脚本家は信用出来ると思った。エンタテインメントで「人が不自然に死ぬ」という事を描く事をこの人は腹括っている。カッコいいと思う。
今までたくさんのイジメエピソードものを見たけど、白井少年の悔しさや哀しみ、それに対するミコトたち大人の対応も、こんなに納得できるドラマは中々無かった。今回も凄いものをみた。

俳優陣も相変わらずいい。
今回はなんといっても白井少年役の子がMVPだ。ごく普通のどう見てもまだ本当に高校生だなというあどけない感じなのに、この重責をしっかりこなして、ベテラン陣にひけをとらない。たまたま見たCMに出てたし、これからどんどん出てくるかも。

そしてレギュラー陣もいいんだよねー。
正直、特別興味ある出演者はいなくて、野木亜紀子脚本以外の興味はなくて見始めたのに、もういまは坂本役のずんの飯尾まで、どの役もこれ以外考えられないと思うくらいハマってる。
特に、石原さとみの魅力を初めてわかったのは大きいなぁ。
自分は長身美女が好きなので、顔は可愛いけどなんとなくイモくさいというかちんちくりん感のする石原さとみはあんまり興味なかった。「シン・ゴジラ」はめちゃくちゃ面白いと思ったけど、石原さとみが合ってるとは思えなかったし。
でも、この三澄ミコトという役は彼女の代表作になるんじゃないだろうか?
画面をちゃんと持たせる可愛らしさはありながら、石原さとみのちょっと垢抜けない感じがミコトの「普通の女性感」に説得力がでる。
仕事に邁進する普通の女性を、ちゃんと主役として存在させるのは石原さとみだからいいんだろうと思った。

あー、あと3回なのかな?
次回も1話完結エピソードはありつつ、着々と中堂の恋人の事件についても話は進んでいく。
今回の終わり方も次回へのヒキもたっぷりで早く見たくてたまらない。
オリンピックのお陰でこの2週視聴率が落ちてるそうだが、そりゃそうだ。カー娘は可愛いし、このドラマはながら見は無理。
来週まで正座待機‼︎(笑)