温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。タイトル変えました。

「アンナチュラル」 9話 ただ、上手さにひれ伏すしかない。

火事が起きた雑居ビルの隣のビルからトランクに入った若い女性の遺体が見つかり、その口の中に中堂が探していた「赤い金魚」が見つかった……というのが9話の始まり。

他の事を考える余裕もなくひたすら二転三転するストーリーに集中する。
「こうか?」「いや、こうなるのか?」と一応推理しながらついていくのだけど、次から次へと裏切られ、そして怒涛の伏線回収の後に判明した犯人はなんと……‼︎

……もう、すごいものをみた。なんか毎回言ってるけどそうとしか言えない。
なんだろう、この「ヤラレタ」感。悔しいどころか爽快だ。もうひれ伏すしかない。
もう最終章なのでネタバレ無しでは感想かけないのだけど、かと言ってネタバレしてしまうのもったいないんだよー💦

野木亜紀子は原作物の脚本で注目されて、今回初のオリジナルがミステリーというのには正直驚いた。心配だった。好きなドラマの話を聞いても、あまりミステリーの下地があるように見えなかったから。
が、そんな疑い持っちゃってすみませんでしたー💦と毎週思う。
今回、ネットなどの予告では「9話でついに犯人が!」と言っていたのだけど、見るまで全然犯人の検討がつかなかった。
確かに怪しそうな人はいたけど、さすがにミスリードだよね?そんないかにもじゃないよね?と思ってた。そしてミステリーの基本として9話で突然出てきたキャラが犯人とかいう反則を使う程、このドラマチームはマヌケじゃないだろうし……。
確かに8話までに出てきていた、でもまさかそこかー⁉︎うーん、でも言われれば分かる!という意外な犯人。そして「あー、でも確かに」と納得の伏線回収。上手過ぎる。

まあ、いわゆるミステリーマニアから見たらつっこみどころが無いわけじゃないのかもしれない。でも自分が面白いなぁと思うのが、謎解きの作り方がちゃんとドラマ向けなのだ。
映像を1週間に一度、10回に分けて見ることを考えて作られている。
毎回の事件が起こり解決する。各話を見た満足がありつつ、次回へのヒキが必ずある。9〜10話は1エピソードになると予告されていて確かに1エピソードなのだけど、9話で犯人が明かされ驚かせ、さらに犯人の追い込みを10話に持っていくので、一旦満足した上で次回の展開が気になってしまう。連続ドラマという形態を一番に生かした構成だ。
それにくらべて、小説が原作のドラマだと、文章で読むには面白いけれど映像にすると「えぇ〜?💧」っていう状態になってたりする。
以前「ガリレオ」で久米宏が犯人のエピソードで、人質になった柴咲コウが昭和の特撮みたいな変な電気椅子に縛られてて思わず爆笑したことがある。小説なら使える突飛なトリックも映像にすると痛々しかったりは珍しくない。
去年の「リバース」もだいぶドラマオリジナルエピソードを入れていたけど、原作を読んだらその必要がわかる。長さが足りないのと、オチが映像向けじゃないのだ。
それにくらべ、オリジナル脚本の「アンナチュラル」は最初から「連続のミステリードラマ」として書かれてる。だからこそのこの構成の上手さ。普段構成までなんて考えてドラマ見てないけど、「アンナチュラル」は毎回見終わってからあれこれ思い出して「なるほどー!」と感動してしまう。ホント楽しい。

人間ドラマの面もますます面白くなっている。
今回は何と言っても中堂(井浦新)の過去と主題歌の使い方。
「赤い金魚」の遺体が出た事で、感情的になる中堂。そして今までチラッとづつしか出ていなかった中堂と亡くなった恋人夕紀子の出会いと別れが回想として入る。
そう長いシーンではないけれど、夕紀子が明るく物怖じせず、社交的とは言いがたい中堂といい意味で正反対の女性だったのが分かる。中堂にとってどれだけ必要な相手だったのか、この回想だけで伝わる。
面白いのは、夕紀子の「茶色い小鳥」という絵本を中堂に見せたときのリアクション。
小鳥が死んで花になるのを中堂は「理屈に合わない」と言うのを、夕紀子は「いいじゃない」と笑う。あー、わかる!理系男子とアート系女子のこの噛み合わなさ(笑)でも、この2人はだからこそ必要な半身だったのだ。
そしてこれまでは後半事件が解決に向かうヤマ場でかかった主題歌「Lemon」がこの回想にかぶせられる。
歌詞からして中堂のことを描いているのは明らかだったけれど、ここまでハマるとは。まだドラマ15分くらいでやられてしまう。
「切り分けた果実の片方の様に 今でもあなたは私の光」
中堂が夕紀子の遺体を解剖するところにかかるこの歌詞が‼︎
うっっ、思い出しただけで泣ける。

そして、8話からの継続性。
火事の犠牲者のうち最後まで身元が分からなかった9番の男性。
家族の様に思う仲間達を命をかけて助けたハズなのに、唯一の生存者がコイツという皮肉。9番の事を思うと哀しくて、でも彼が助けたから中堂の無念が明かされる可能性が繋がった。でも助けなければ助かったはずの命もあって……この一筋縄では行かない展開のツラさ。
8話で神倉所長(松重豊)が
「死ぬのに良い人も悪い人もない、たまたま命を落とすんです。
そして、私たちは、たまたま生きている。たまたま生きている私たちは、死を忌まわしいものにしてはいけないんです」
と言ったセリフがここへ繋がってるとは!
先週はこのセリフに大杉漣の訃報に重ねた記事が多かったけど、こうやって見ると本質を突いた言葉なんだな。

これだけ中堂のエピソードで進めながら、このドラマの上手いのは、ちゃんと主役がミコト(石原さとみ)になっているところ。
今にも闇に堕ちそうな中堂に対し、あくまでも過去に決着をつけているミコトは、似た体験を持ちながらも自分たちが法医学者で法を使って物事を進めなくていけないと分かっている。そこは全くブレない。
だから中堂の手助けをしながらも、中堂に引きずられず、中堂を助けようとしている。
この主役感‼︎カッコいい!

あと1話で終わるとか全く思いたくない「アンナチュラル」でも見たい!
最終話の見所は、犯人をミコトたちがどう追い詰めるのか、フリーライター宍戸(北村有起哉)の思惑はなんなのか、ここがメインだろうか。
気になりすぎる!