温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「カーネーション」 115話〜 127話 オノマチさん、お疲れ様でした。いい糸子を見せてもらったなー。

聡子が「もう淋しい…。」と言う衝撃のセリフと共に遂に参戦。

どんなにテニスを頑張っても、全国で優勝しても、皆に構ってもらえない。姉達の部屋で仕事をする姉の姿を見て、常にミシンのそばにいる母を見て、この家族の一員でいるためには「家業」である洋裁に関わるしかないのだと、あっさりテニスを捨てる聡子。

色々と重い。「2代目」とか「二世」とか、そういうのに関わりのない生まれの人間からすると、レールが敷かれてることへの羨ましさがあったりするけど、「そんな甘いもんやないでー!」と言わんばかりの「カーネーション」。

若い才能である娘達に追われる糸子のしんどさ、1番近い人間がライバルという苦しさを抱える娘達。どんな世界でも突き詰めるのは苦しい事だ。

 

それでも、「家族っていいなぁ」と思えるほっこりシーンがあるからこのドラマは楽しい。

ソリの合わなかった姉の助けに泣いてしまうくらい弱ってたくせに、優子がそつなく店を回せばそれはそれでイラつく直子。

そして糸子の店でがっつり鍛えられて「無敵の外面」を武器に自分の道を見つけていく優子。

客がいないのを確認してから直子をどつく優子に爆笑して何度も見返してしまった。うんうん、たくましくなったなぁ(笑)

 

聡子の淋しさを知り流石の糸子も反省したのに、3日で洋裁学校辞めたいと言いだしキレかけさせる聡子と止めに入るおかーちゃん。

かつての糸子とおとーちゃんの間に入ってたようにおかーちゃんが入るけど、さすがに対応に余裕がある。もうずーっと家族の間をもつのはおかーちゃんがやってくれてたんだもんね。おかーちゃんが影の大黒柱だった。

そういうちょっとしたとこで小原家の歴史を思えるのがホント嬉しいなぁ。

 

娘達がどんどん成長する一方で、50を前に引き際を考え続ける糸子。

糸子がおとーちゃんを超え呉服から洋服に進んだように、3人とも洋裁の道に進みながらも糸子を軽々と追い越していってしまい、看板を譲るタイミングを外してしまう。

あー、親子関係の喜びと辛さ。いや、糸子は元々後継いでほしいとは思ってなかったから辛いだけ?いやいや、親として子供の成長は嬉しいよね。

安岡のおばちゃんのとこで泣いてるのには笑ったけど(そりゃー、糸子だって甘えたい時はあるよね)、娘達の前ではカッコつける糸子が、本当におとーちゃんの娘だなぁとうなづいてしまう。陳腐な言い回しですが、確かに糸子の中におとーちゃんがいる。

俳優さんが演じる以上顔は似ていないのに、糸子の行動や口調や表情や、あちこちにおとーちゃんを感じさせる。こんなホームドラマ今まで見た事あったかな?

尾野真千子も凄いし脚本も演出も凄い。あー、凄いとしか書けない語彙力の無さが悔しいくらい、これは正に家族の物語でもあるんだよね。

 

糸子が老いを感じ始めるように、上の世代も確実に老いていく。安岡のおばちゃんの人生も終わろうとしている。

糸子とは色々あった。けれど乗り越えてまた誰よりも近しい、親のような友人のような大切な人だ。

そしておばちゃんの中でけして戦争は消えなかった。いや、おばちゃんだけでなく戦争を乗り越えてきた人々皆の中で戦争の記憶はずっとくすぶっている。

終戦から25年経っておばちゃんは気づく。勘助がなぜあんなになってしまったのか。

「やられた」のではなく「やった」事に勘助は耐えられなかったのだと。

 

一方で糸子に周防の妻の死が知らされる。

原爆の後遺症を抱えておそらくかなり不自由な生活をしてきただろう人が25年経って亡くなる。周防にとっても妻にとっても戦争の傷はずっと続いていた。

戦争が終わって、景気も良くなって、食べ物にも困らなくなった。でも戦争があった事は変わらなくて、時々顔を出す。

戦争がどれだけの事を残していくのか、終わったらおしまい、ではない事を当たり前に入れてくるのがリアル。これはきっと震災でも何でもそうなんだ。傷はずっと残る。立ち直るのと忘れるのは違う。きっとずっと忘れる事はない。でもそれを抱えて立ち上がって進む。

糸子もそういうものを全て抱えたまま、あのパワーで進むのだ。

 

周防が1人になった事を伝えようとしても伝えられない北村。ずっと糸子の側にいて思いが伝わっているのかいないのか。

組合長から周防が長崎に帰ることを聞き「淋しないんでしょうか?」とぽろぽろと涙を流す糸子。

ああ、糸子のなかではやっぱり周防さんの事は消えていなかったなぁ。本当に人生で最初で最後の恋だった。糸子自身が年を重ね身の振り方を考え続けていたからなおさら刺さる。

 

北村からのプロポーズ代わりの東京行きの誘いを悩む糸子。

みな東京を目指すけどそれがそんなにおもろいのか?おもろいかもしれんけどそれはまるで新しいゲームで、それははしんどい。ただ洋服を作りたかっただけなのに、洋服もゲームになってしまった。

思い出す根岸先生の言葉。「本当にいい洋服は人に品格と誇りを与えてくれる。人は品格と誇りをもって初めて希望を持てる。」

モードの流れの速さについていくしんどさをこぼす糸子に怒り出す八重子さん。

八重子さんがもってきたのはかつて安岡美容室を立ち上げた時に糸子が作った制服。その制服に希望と誇りをもらった、おかげで生きてきたと怒る八重子さん。

 

ああ、八重子さんはいつも糸子の道を教えてくれる人だ。決して押しが強いわけでもなく普通の女性だけれど、モードというものを教えてくれて、安岡のおばちゃんのあいだをもってくれて、戦争で夫を亡くし働いて家族を支える母親同士として、いつも糸子の仲間でやさしいお姉さんだった。またこうして糸子の迷いをふっとばしてくれる。本当に糸子にはいい人達がたくさんいる。

 

そしてまただんじりの日がくる。

テレビで紹介されたとかで、だんじりを見にたくさんの人がやってくる。

もうすぐ人生の終わるおかーちゃんの前にはおとーちゃんも。

糸子は岸和田に残ることを決める。自分の宝は全てここにあると。

周りの大好きな人達が1人1人人生を終えても、娘達が巣立っても、みな糸子のそばにいるから大丈夫。失くさない。抱えていきていくのだと。

ああ、男前やなぁ、糸子。

糸子の人生はだんじりとともにここにある。糸子のだんじりはミシン。ミシンとともに岸和田で生きていくのを決めたのだ。

そして 12年が経ち、オノマチ糸子から夏木糸子に変身していった。

 

あー、尾野真千子、最後までかっこよかったなー。

初回の子役の時も、オノマチ糸子の最終日も、いつもだんじりだ。

自分は新興住宅地育ちなのでこういう祭りが中心にある生活がよくわからないけれど、長く続く祭りがどれだけ拠り所になるのかと思わされる。ちょっと羨ましい。

戦争を挟み、辛い事も苦しい事も色々あったけど、楽しい事も幸せな事も沢山あって、その根底にはだんじりとミシンの支えがあって、なんだかんだとやりたい事をやれてきた。

だから糸子は言い訳もしないし他人のせいにもしない。自分のやった事は自分で責任を取る。

だからかっこいいし、娘達も母親である糸子に認められたかった。

ステキだなぁ。

 

夏木マリに交代し、娘達若い世代を残してみないなくなった。

隠居を考えた時もとうに過ぎ、こうなったら行けるとこまで糸子は行くんだろう。

糸子がやり遂げるのを我々視聴者も見届けなくては!と思わせる俳優交代で、悪くない。

放送当時この交代が色々言われたようだけど、自分は最後までついてくよー!

 

が、またもゴルフで休止かー……。

どうにかならないものですかねー💧