温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「集団左遷」完走〜 「変わり者の天才主人公」はもう飽きた〜 こういうのがいいんです!

自分的に今期のドラマは「きのう何食べた?」が 断トツでナンバーワン、あとはまあボチボチ。

そんななか結構楽しみに溜めずに見ていたのが「集団左遷」。
確かに「よく出来てる〜!」というドラマではないけれど、後味が良くて日曜の夜見るのにちょうど良かった。
このTBS日曜9時のお仕事ドラマ枠、実は結構見てない時が多い。代表格の池井戸ドラマの「どどーん」という演出がどうも食いつかなくて。
最近の「陸王」も「下町ロケット2」も、もっと言えば「半沢直樹」も見てません。
あー「陸王」は見とくべきだったよ、瀧さん……💧
なので前クールの「グッドワイフ」とかの非池井戸ドラマの方を見てるという少数派です。

恋愛ドラマが当たらないと言われ、テレ朝のシリーズものが安定して人気になるようになって、すっかりお仕事ドラマばかりになったこの数年。
元々お仕事ドラマは好きですが流石に食傷気味。
特に青年マンガ原作のお仕事ものだと「無愛想で空気を読まず周りと衝突しまくるけど、仕事は天才的!」と言う主人公ばかりになってねぇ……。「◯ジエーションハウス」とか「◯ンハンド」とか、前クールだと「◯レース」とか。まあ「ドクターX」が当たったのも大きいと思うけど。必ず決めゼリフを言う感じのね。
マンガの場合「キャラを立てる」というのが基本なので、なんとなく主人公キャラの組立て方がセオリー通りなのが透けて見えてしまってなんか萎える。
そのまま実写にされても既視感バリバリでワクワクしないんですよー。実写には実写向けのキャラづけがあるんじゃないかと思うんですけど。
もちろん面白いものもあるけれど、そういうのばかりになった今は初回を見ての「またか」感で挫折も多い。

で最近自分が面白いなーと思うお仕事ドラマっていうとどんなんだろう?と考えてみたら、結局「普通の人がその人なりにあれこれ迷いながらも仕事をする」ものだなーと思った。
「重版出来」「アンナチュラル」「獣になれない私たち」って野木亜記子ばっかり(笑)
今クールでは「わたし定時に帰ります」も良かった。
あらすじにするとドラマがないじゃーん!って内容でも、きちんとドラマにできるんだって見せてくれるドラマが好きみたいです。

で、「集団左遷」はそこまでナチュラルな作りではなく確かに日曜劇場テイストではある。
けれどいわゆる日曜劇場クサさが薄く、見やすかった。

銀行の業務内容についてはシロウトの自分でも「それはないよね💧」と思う粗さはありました。高級ホテルのラウンジでスタッフに政治家が来てないか聞いて回って証拠を集めてたけど、警察官でもない人の調査に答えないでしょう、とか、証拠の手帳をなぜか味方側の人間に預けるのの意図がわからないとか、まあ色々。
元々原作が20年くらい前のものらしいので銀行の業務面でもかなり違うんだと思う。

まあそういう仕事エピソードの大らかさはともかく、このドラマの「なんかしらないけどまっすぐな感じ」が好きだった。

福山雅治演じる主人公片岡は「頑張りましょう!」が口グセの裏のないまっすぐな銀行マンで、その片岡に周囲の人間が少しづつ感化されて一丸となって進んでいくのだ。
昨今、企業物にはかならず銀行マンや元銀行マンが主要キャラクターで出てますが、大抵頭が良くてクセがあるか腹黒というなか、片岡がこのまっすぐさでよく50歳まで本社にいられたなぁと初回で思ってしまった。
最初のうちは「うーん、この人『頑張りましょう!』しか言っとらんよ💧」と呆れてたのだけど、その片岡のまっすぐさをとにかく走って走って走って、福山雅治が絵ヅラで見せ続けているとだんだん心地よくなってくる。
福山雅治は新境地の熱いキャラということで、ネットでは「似合ってない」「浮いてる」と結構ボロクソだったけれど、自分は2、3話見るうちに慣れた。
これが赤井英和みたいにいかにもな俳優さんだとくど過ぎるのかもしれないのだけど、福山が演じることで元々のクールな雰囲気と上手く調和して、良い感じに「普通感」が出ていた。
「あー、このくらいの熱心な人いるいる〜!」って感じの。
ちょうど蒲田支店のメンバーがちょっとづつ片岡にほだされていくように、視聴者である自分もほだされていくのがドラマとリンクして気持ちよかった。

あとは香川照之が普通の役なのが良かったなー。
半沢直樹」以来、バラエティでもドラマでも過剰な演技を求められつづけ、本人もノリよく応えていて正直ウザかった。
同枠の「小さな巨人」では、香川照之のくどい演技はもうコントとして毎週ゲラゲラ笑っていたし。
日曜劇場の象徴のような香川照之が普通の真面目で穏やかな銀行マンを演じていて「あー、この人ちゃんとした俳優さんなんだなぁ」となんか感動。うんうん。

そして敵役横山常務役の三上博史
全体に軽くコメディ調なドラマの悪役というとなかなか加減が難しそうなところを、大げさ過ぎず、でも印象的でギリギリリアリティのある悪役を演じていて、この人はやっぱり上手いんだなーと感心した。
片岡に上から物を言うときのちょっとしたタメとか、その時の目の見開き方とか、あと少し大げさだと浮いてしまうというところでの加減が絶妙。しかもよく通るいい声で、小柄なのに尊大な雰囲気がよく出てる。
よかったなー。

展開としては、片岡の正義が通るためにちょっと強引かなーとは思うけど、ここ最近の企業物ってみなそうなのでまあいっかーという範疇。
「正義は勝つ!」というガチガチなものじゃなく、片岡が迷いながらもお客様や後輩達やそして自分の思いに誠実に向かい合いたい、という気持ちで乗り切るのがシンプルでよかった。
そう、普通に一生懸命仕事をしたいだけなんだよね。

今期のドラマではさほど評価は高くないと思うけど、自分は楽しかった。
いい時間でした。