温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「なつぞら」完走!思ったこと色々と広瀬すずのこと

なつぞら」全156話が終了しました。
全話完走しましたよー!…のはず。
現行朝ドラは再放送もあるので見逃す心配がなくてありがたい。
記念すべき100作目、賛否色々ありました。
ということで、自分の思ったことを色々と。

全体の印象としては「凡作?」と言うところでしょうか。
100作目として人気若手女優にオファーをし、イケメンをこれでもかと投入、北海道というだけでNACCS全投入に過去作ヒロインを大量に引っ張り出したのに「お祭り騒ぎ」というほどには盛り上がらず。
といって「半分、青い」ほどの炎上もせず、まあ見れなくもない。
ドラマ終わってたくさんの方が考察をあげていて、言い分は「なるほど」とは思うものの、理屈はどうあれ単純にドラマとしてさして面白くはなかった。といって「大嫌い!」というほどでもなく、クセも薄いので好きな俳優さんがいれはまあ見れますね、という感じでした。
うーん、残念。
どうしてこんな事になってしまったのか?

思うにまずはプロデューサーと脚本家が下手でしょう、なんと言っても。
それぞれのインタビューを見ましたが、北海道もアニメも家族も、と入れたい事が多かったという話が共通で出てます。あー、やっぱりなと。
明らかに見ていて要素が多すぎてそれぞれ消化しきれず視聴者にモヤモヤを貯めさせている。
ちゃんと描き切れていないから面白くない。
それは脚本家の下手さもあるし、そもそもどこを目指してどこを切るのかがプロデューサーの仕事であればそれができてない。
詰め込みすぎて消化不良って、そりゃ面白くないわけで。
よその考察では「制約のある中で労働闘争的な物に触れるチャレンジを評価」「取り扱うのを難しい奥山玲子を表に出したのが手柄」的なのも見ましたが、言い分は分からなくもないけどそんなのどうでもいいんです。
意欲的な題材だろうがそうでなかろうが、とにかくこっちは面白いドラマが見たいだけ。
「消化できなかったけどチャレンジしたんだから認めて」はないよね。プロの仕事じゃないです。制約とかそういうのは視聴者には関係ない。枠の中で結果を出すのがお仕事です。

「朝ドラでは今爽やかでないとウケなくて悪役とか出せないから『なつぞら』はいい人ばかりにせざるを得なかった」と言うのも見ましたが、それは違うと思う。
もちろん猟奇的過ぎるとか朝に向かないものはあるけれど、悪役が出るから見ないだろうというのは視聴者舐めすぎかな。
きちんとキャラクターを作ってあればたとえ悪役でも魅力的で見ていて面白いはず。
話の盛り上げのために主人公のジャマをするだけ、というキャラを出すからイラッとするので、理由が違うんですよ。

プロデューサーのインタビューで「脚本の大森さんがキャラを兼ねるのが嫌いで登場人物が増えた」と言っていて、なるほどと思いました。
例えとして鈴木杏樹戸田恵子の役は兼ねられるけど、主人公への働きかけがAとBとあったら別のキャラにやらせたい、と。
その好き嫌いはどちらでもいいけれど、結果どーでもいいキャラが増えるばかりで書き込みが足りず、「出番済んだら倉庫にしまわれている」と揶揄されるような書き込みの浅いキャラが並んでいく。
この辺は完全に自分たちの力量を見誤ってるんでしょう。
リリーフランキーとか辻萬長とかどんな無駄遣いだよもーまったく!

イケメン軍団もそのノリでやたらと出ましたがこれも半分で充分。
天陽くんが亡くなったときに記事では「天陽くんロス」とか盛り上げていたけれど、五代様の時ほどの熱は感じられなかった。
これも結局天陽くんの書き込みが足らず、なつにとってそこまで大切な存在に見えなかったから。
女性キャラも、なつの選ばなかった人生を背負わすためだけに何人も出すから総じて浅く思い入れが出来ない。
なつの代わりに照男と結婚したサラさん、天陽くんとの靖恵、なつの代わりに結婚退職したマコさん、なつの代わりに出産退職した茜さん、なつの代わりに十勝の酪農を背負う夕見子、なつの代わりに柴田家に引き取られなかった千遥……。
そしてみななつがやりたい事をやるためのお手伝いとして復帰。うーん…。
そもそも夫である一久自体がなつのifだ。
なつの代わりに失敗した映画の責任を取り、なつの代わりに家にいて新生児の面倒を見る。
これだけの浅いキャラを積み重ねられれば面白くないのも当然。
「なつ上げ」「なつ無双」とか散々言われてましたが、それも当然でどのキャラもなつのために動くシーン以外はろくに描かれず、背景も感じさせない。
なんか昔、主人公が実は撮影されていて周りの人物はみな主人公の近しい人を演じていたっていう話があった気がするけど、「なつぞら」はまさに「なつのための世界」でほかの人物はなつのために動く以外のところ無いとしか見えない。深みゼロですよ。出来の悪いSF映画みたいなものです。

他のブログで「なつが好きになれるかなれないかでこのドラマを好きになれるか決まる」と書いていて、確かにと思いました
自分は残念ながら好きになれなかった。
それはなつがペラペラだから。
何をしたいのか何を考えているのかまるでわからないし、だから惹かれない。
なつは自分のやりたい事を上手く出せない人間だという説明を見かけたけど、そうは思えない。やりたい事があるように見えなくて、あるけど出せないのと、無いのとではキャラクターの魅力が全然違うのに、そのためている様子が描かれていない。
スタッフ一同広瀬すずを絶賛し、「そこにいるだけでなつだ」というようなことを言ってるの見ましたが、それは無理。
広瀬すずはやっぱり広瀬すずでなつでは無いんですよ。
ただいるだけではなつにはなれないし。
広瀬すずは存在感があって華もあるけど、それは広瀬すずのものでなつではないんです。
脚本も演出も圧倒的に説明不足の中、広瀬すずに丸投げでなつを演じさせる。
よく見れば若い時はふっくらしてたり、大人になって表情の出し方を変えていたりと広瀬すずはよくやっているんだけど、どういう理由なのか見た目の変化をあまりつけなかったり、そもそもなつのなつらしさが出るシーンがないのでわかりづらく、結局そこにいるのが広瀬すずに見えてしまい、演技が下手だと責められ、ドラマの出来の悪さを全て背負わされてしまった。
スタッフ一同広瀬すずに甘え過ぎ。

今回のドラマへのヘイトが他のドラマと違い「女優 広瀬すず」に集まってしまったのは、製作側が広瀬すずになつを重ね過ぎたのと、元々広瀬すずがアンチを産みやすい立ち位置だからなんだと思います。
若者がテレビを見ないと言われて結構経ちますが、確かになーと思う理由にドラマの主演俳優の高齢化がある。
今、ゴールデンタイムのドラマってほとんど3〜40代主演で、長いシリーズだと50代も普通。
テレビ見る人ってやっぱり中高年なのね。
そんな中、20代前半で知名度あって主演できる女優って広瀬すずだけだ。
今のアラサー女優が層が厚いけど、みんな20代前半で主演やってたのに比べるとホント少ない。
そして広瀬すずと同世代である程度知られてる女優は下積みが意外と長かったり、バラエティー受けが良かったりする中、10代から主演をやって下積みもない(ように見える)広瀬すずは反感買いやすい。親しみやすいというより美人タイプなうえに愛想がいいタイプでもない。
ただでさえこういう立ち位置なのに、好感をうまないキャラクターをまるっと背負わされてしまえば、そりゃそうだろうなぁと思う。
なんかなぁ。
でもまあ、広瀬すずはそんなの気にしなそうでそういう感じが好きだけど。
そしてそのマイペース感が尚更アンチを苛立たせるんだろうけどね(笑)

このドラマの脚本家は52歳の男性で、こういうくくりは好きじゃないけど、いかにもその世代の男性の脚本だなーという感じが受け付けなかった。
具体的に言うと「『俺って女性の自立に理解あるでしょ?』って思ってるけどそれ女性から見たら全くわかってないからな!」という感じ。
よくネットにあるグチで「旦那がゴミ捨てと保育園の送り迎えだけするくらいで『俺イクメン』って言ってるのがムカつく!」みたいな感じ。それが特になつの妊娠〜出産〜仕事復帰のあたりにハッキリ出ていた。
なつのために誰もが手助けするけれど、実際にはその手助けする側にも都合があるという視点がまるっと抜けているから、実際にそのあたりで大変な経験をした視聴者に「何わかったようなこと言ってんの?」とイラつかれる。
茜さんが可哀想という炎上はそのせいで。
優が小学校に上がる時、北海道からわざわざ柴田のお母さんがでてくるけど、その数ヶ月間、兄嫁のサラさんは自営の大家族の家事を1人でやるのかい?というね。

そして、このドラマの地味だけど結構鼻に付くところは笑いのセンスだった。
「半分、青い」のときもそうなんだけど、誰かを落として笑いを取るというやり方が気分悪い。
高校でなつがちやほやされ、それに比べてよっちゃんは…という態度を周りの男子(先生まで)に対してなつが「よっちゃんはかわいいよ!」と言うことでとる笑い。
男性の脚本家はなつが容姿じゃなく内面をみる素直な子として書きたいのだろうけど、女性から見たらただのマウンティング。
声優になったレミ子についても同様。
こういうのホント野郎センスで嫌。デリケートなネタなのでこういうの女性脚本家って今は不用意には使わない。こういうのは女性のほうが風当たり強いから。
あ「半分〜」の脚本家は別。あの人は名誉男性だからね。

柴田家ではお父さん、坂場家では一久を落として笑いを取るのも同じ。
最終週、一久がアイスをこぼしてなつが冷たい目で見るシーンなんてゾッとした。
まだなつが「しょうがないなー」とか笑ってくれればいいものを明らかに見下し。
これが面白いと思ってるなら頭おかしいよ。昭和のセンス。今やるか?

笑いじゃないけど、最終週の台風による停電で照男が対応しきれないのをなつが一喝するのも不愉快。
照男だって全く電化していない時代から酪農をもう20年以上やってるのに、なつの見せ場を作るためにポンコツに描かれる。
とにかく人を良く見せるために他を落とすという手法がずーっと使われていて、こういうところこそ朝ドラに合わないと思いますけどね。

あとはそれぞれのキャラにモデルがいるのに「がっつりモデルにしてる訳ではない」という言い訳を貫いたのはいさぎ悪くて嫌だった。
最終回、「その12年後に2人は作ります」と「火垂るの墓」っぽいアニメを作ったことをナレーションで入れたけど、「じゃあ、それをドラマで見せなさいよ!」とイラッとしましたね。
「一久=高畑勲」ではない!と言っといて、12年後っていう、おそらく本当に「火垂るの墓」が作られた年を上げておいて、しかもナレーション処理。
もうドラマ作りを放棄してるとしか思えないです。
ウッチャンのラストナレーションには「はぁ?」としか。面白くない!

なんかこう書いているとモヤっとしたことばかり思い浮かんでしまうなぁ。
そのわりに全部見れたのはやっぱり薄いからですね。
そしてやっぱり広瀬すずは美しい。
その魅力を増幅させてくれなかったのは残念だけど、これだけのしょうもないドラマであれだけ美しくいられるのは凄いのかも。
ただその美しさが女優としてネックにもなるんだなぁとわかったのがこの「なつぞら」の収穫なのかもしれません。
そんなまとめ?(笑)

半年お疲れ様でした。
作った人も見てた人も。