温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「刑事ゆがみ」6話〜最終回 面白かった‼︎でも「完璧!」って言われると…。

毎週何とかリアタイしていたほど、ガッツリハマっていた「刑事ゆがみ」。
余計なトラブルもあったけどそれも影響無く、最後まで視聴率はイマイチ、けれど評判は最高のままだった。
9、10話のラストエピソードの前後編には「傑作!」と賞賛ばかり見かけるけれど、自分としては「んんん〜?」と思ったりして。いや、面白いは面白かったんだけど手放しで絶賛はできないかなー?気になるところはけっこうある。
という事で、6話以降最終回までに思った事をあれこれと。

真剣佑のクズっぷりが話題の6話。実はこれが最終回への伏線になっていたのね。
が、この話には書けることがあんまりない。
仕事でヨレヨレになって帰宅→リアタイしたら途中で意識飛んでたようで。
個人的に「子供が犯人」という設定が好きじゃないのと、どうしても新井美羽が苦手で見直す気にならず。
弓神と羽生の掛け合いはもう外しなし。
毎度毎度イキリながらも犯人に感情移入し過ぎてしまう羽生の青さも最終回への伏線。

7話。
ありがちと言えばありがちな独身女の孤独ネタ。このドラマは女性目線をキッチリ描いてるとこが面白いと思うのだけど、やっぱりこういうネタは入るんだなー。菅能と弓神は同期、ということはどちらも「いい歳して独身」なのにイジられるのは女の菅能だけ。男は独身でも孤独でなくてイタくもないのかよ!ってね。なんかなー。まあ2話でもそういうのは入ってたし、現実として女性のが言われるものだからわかるけども。原作ではどういうキャラ設定なのだろう?
りょう演じる絵里子が入れ込むのが、やはり空虚な生活を送る若い女の子というのがイマドキ。昭和ならホストかヒモだ(笑)
まあ、それよりインスタを楽しんでみせる弓神や羽生が見どころと思えばね。
後は被害者の友人と捜査チームのリーダーという立場の板挟みに苦悩する菅能が何とか職務を優先させる仕事人としてのかっこよさと、そんな上司のために初めてチームとしての結束を見せる4人の部下、という「ザ・刑事ドラマ」な展開もけっこう好きです。

8話。唯一原作を読んでいたエピソード。
コミックサイトで第1巻を無料で配信していた。丸々1巻分、9話に渡る話だった。
予告を見た時から「あの話かな?」と疑問に思ったのは、今回の被害者猿渡が原作では中年男性だったから。
もちろん1巻分の話を1時間にするのだから改変は必要だけれど、原作を読んでいると疑問な点もチラホラ。
原作では親の虐待に耐えかね10歳そこそこで家出をし、窃盗しか生きる術がなく孤独にひっそりと生きてきた男なのだけど、アラサー女子に変える必要性が「女性キャラのが見た目華やか」以外に見当たらないのが残念。このドラマの女性の描き方ならもう少し女性にした意味を描いてくれるかと期待したのだけどね。
地上波テレビの都合かと思うけど、「16歳で独りぼっちになり窃盗して生きるしかなかった」っていうのは無理があるでしょ。16歳って働ける歳だし、正直女の子なら窃盗よりは売春するのが自然かと。原作の猿渡の辛くなるような孤独が弱まってしまったかな。
それでも、あの長いエピソードをかなり変えながら1時間にまとめたのは流石だなぁと思う。
犯人の沼田も原作とは設定まるっと変えていて、ドラマでの動機と行動に納得しない部分もあるけれど、原作の「理解できない悪」ではなく、孤独ゆえの愚かな行動にしたのは物語として決着ついて良かった。
でも原作良かったなー。泣きそうになったし。

ラストエピソード前編の9話。
最後のこのエピソードは完全オリジナルと何処かで見た。ヒズミ自体がドラマオリジナルキャラである以上、彼女について決着をつけるならそれはそうだろう。
5話で出てきたので「ロイコ事件」の容疑者横嶋が生きていた!ということを視聴者はとっくに知ってる訳だけど、それを劇中の知らなかった人代表の羽生が知るのが大事なポイント。
オリジナルのせいか菅能がいきなり話の通じない理解のない上司になってて「えー?」と思った。事件物としてはトリックや謎解きに甘いところがちょいちょいあるこのドラマの最大の魅力は、キャラの作りこまれた登場人物達なのに、今までの菅能だったらないだろうリアクションが出てきて残念。オリジナルエピソードとはいえ菅能のキャラは原作とはけっこう違うので、ここまでの菅能が既にドラマオリジナルな訳で、そこからブレてしまうご都合展開はダメでしょ。
冒頭から露骨に「弓神あやしくね⁉︎」というエピソードが満載。もちろん主人公が実は犯人というミステリーはあるけど、このドラマの場合それだと今まで積み上げて肉付けしてきた弓神というキャラが崩壊してしまうのでそのパターンは無いだろう。となると誰かをかばってるというパターンで、そうすると当然ヒズミしかかばう必要のある人間がいない。ということで大体の展開はこの段階で読めてしまう。
が、このドラマの面白さはそこがメインじゃないのでまあ許す(笑)
邦画好きには「浅野忠信オダギリジョーが共演!」というとこで既に泣けそうでは?(笑)
こういう年も求められる役割も似てる俳優さんて共演する機会がないだろうしなー。
とにかくこれでもか!と謎を振りまいて、続く。

そしてラスト10話。
謎解きは大体予想通り(笑)
しかし、特にミステリー詳しくない自分でもツッコミたくなるトリックはいかがなものかと。
7年前、黒焦げの焼死体で見つかった遺体は当然横嶋ではなく、今回の被害者薮田の息子が焼身自殺を図ったもの。そんなのは5話で「横嶋が黒焦げの遺体で見つかり」ってところで「はいはい別人ね」と思うのがミステリーの定石だから。問題は、この遥か昔から使われてきた「遺体を別人に見せかけるトリック」を現代にどう使うかだ。どんなトリックを見せてくれるかワクワクしてたら「横嶋の黒焦げの免許証を遺体に忍ばせる」だとー!はぁ???そんな何十年も前のトリックを今時使うわけ?
いくら担当刑事が「こいつは横嶋だ」という調書を書いたところで、世間で話題になっている猟奇事件の容疑者と思われる遺体の解剖とかしないわけ?ありえないでしょ?
科学捜査が進んだことで、昔のミステリーの人間取り違えトリックは使えないものばかりになってしまったので、そこをどうクリアするかがミステリー作家の腕の見せ所になった。いくら人間ドラマがメインの作品とはいえこの雑なトリックにはガッカリだ。

真犯人がヒズミで、事件のショックで記憶がなくそれを弓神がかばったのは9話見た時から、というよりそれ以前から弓神がロイコ事件にヒズミを触れさせまいとするところで予想はついてた。けど、そうであって欲しくないと思っていた。
1話から8話までの弓神は一貫して「事件は事件」であり、犯人に同情や理解は示しても「罪は罪」として扱ってきた。羽生が容疑者に好意を持ったり同情して捜査に迷いが出るのと対照的に弓神はいつも容赦ない。6話の「子供が犯人」という、ヒズミの事件への伏線の時もそうだ。
そんな弓神がわざわざ横嶋を犯人に仕立ててまでヒズミをかばうのは納得がいかない。
状況を見ても正当防衛だし、ヒズミは12歳なのでそもそも罪には問われない。
「父親を手にかけた事を知ったら本人が傷つく」といっても、既に記憶障害が出るような精神的ショックを受けていてカウンセリングが必要な状態だ。それを隠して放置する方が本人に良くないことがわからないほど、8話までで描かれてきた弓神は愚かじゃないはずだ。
百歩譲って、ロイコ事件の反省ゆえに「罪は罪」として容赦ない捜査をするようになったというのなら、これまでの弓神の魅力は崩壊してしまう。飄々としながらも事件の本質を見抜く天才ではなく、過去の自分の犯した罪に怯えるただの小物になってしまった。

他にも、オダジョーがただの小物キャラだったとか、「ロイコ事件」ってただ2人が普通に殺されてカタツムリの絵が描かれてただけで『マスコミが騒ぎ立てる凄惨な事件!』になるのか?とか、そもそも横嶋ってゴーストライターつけてまで出版社が売り出したい人間なのか?デビュー時に無名のようだし最初からヒズミの父親に書かせれば良かったんじゃ?とか、で薮田を殺したのは誰なの?横嶋ということでいいの?とか、ツッコミどころは山盛りなんだけど、これらは今までもあるくらいのツッコミだし、面白さには変わりない。ただこの弓神のキャラクターのブレがとても残念だ。
どこのレビューでも「完璧な展開!」とか褒めてるけど、そうかなー?なんかガッカリ。

それでも10話では菅能も元に戻って、弓神、羽生とのやりとりはこれまで通り面白かったし、ヒズミの子供時代によくまあこんな似た子を見つけてきたなぁとかいいところもたくさんあったけどね。
何より弓神がなんだかんだで自分の罪をスルッと時効でごまかし、しぶとく警察に残ってるのはらしくて良かった。
けど、ここがらしいだけに肝心のヒズミの事件の行動のおかしさが気になるという……堂々めぐりですが。

結局、浅野忠信神木隆之介という力のある俳優がタッグを組んで、弓神適当という魅力的なキャラの存在を作り上げたのがこのドラマの1番の面白さでしたねー!…といきなり総括(笑)
特に浅野忠信はあまり作品を見たことなかったので、はー流石だなぁという感じでした。
この、謎残ったままエンドといい「ぜひ続編を!」という世間の意見が通って、次の展開があったら嬉しいな。
「完璧な作品!」とは全く思いませんが、10話ぜーんぶワクワクして見れた、いいドラマでしたよ。