温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「カーネーション」 37、38話 奈津の初恋が終わった

やーっと再開の「カーネーション」、さっそくうるうるきてしまったなぁ💧

糸子はもうじき二十歳くらいか。幼馴染の奈津や勘助も同じ歳。もう子供ではいられない年だ。
相変わらず糸子は洋裁で頭がいっぱいの中、奈津の父親が急死する。
跡取り娘で婿を取ることが決まっている奈津は葬儀の間も毅然としているが、糸子は泣く事も出来ない彼女が心配だ。
そんな時ふとしたきっかけで勘助の兄泰蔵と初めて話す奈津。子供の頃からずっと憧れだった泰蔵が、自分の存在と名前を知っていた事を知る。
そして入籍前日、泰蔵の母で髪結いの玉枝に丸髷を結ってもらいながら泰蔵への想いを打ち明け、父の死以来初めて泣いた。

風鈴の音、蝉の鳴き声、糸子達の薄い着物、そして安く譲って貰った電気扇。もう夏も終わりだ。
そして奈津は初恋にケジメをつけ、丸髷を結い婿を取る。夏と共に奈津の子供時代は終わる。
自分にも覚えがある、夏の終わりの淋しさと子供でなくなる淋しさが、そのまま奈津の淋しさと重なることで、生きる時代が違う自分達にも奈津の淋しさがわかるのだ。

玉枝に髪を結って貰うのはいつものことだけど「丸髷にして」という奈津にハッと手を止める玉枝。「あした入籍やねん」と奈津が答えることで「ああそうか、丸髷って既婚女性の髪型なんだね」と思った。
そこにはうっとおしいナレーションも無駄なテロップもなく、ただドラマだけがある。ちゃんと作られたドラマを作り手が視聴者を信頼して出し、それをちゃんと受け取れる気持ち良さ。
うん、ドラマ見てるんだなぁと思う。

大きな料亭の跡取り娘として気位高く育った 奈津。自分の将来は疑問もなく受け入れていたけれど、泰蔵への想いは全く別のもの。タラシの歌舞伎役者春太郎と付き合ってみたりはしても、泰蔵には話しかける事すら出来ない。
明日入籍の子供時代最後の日、玉枝に向かって初めて口に出すことでやっと昇華した。
言い澱みながら鼻が赤くなり今にも泣きそうな栗山千明の美しいこと。
思いがけない告白に驚きながらも受け入れ、帰ってきた泰蔵の嫁と子供を外に出し、2人だけで泣きたいだけ泣かしてやる玉枝もいい。
近所の子とおばちゃんから大人の女同士に変わっていく瞬間だった。
庶民だからこそある意味自由な糸子に比べ、ずっと責任を感じて生きてきて、糸子を羨む気持ちもあっただろう奈津。
父の急死、すっかりまいってしまった母に泣く事も出来なかったのが、初恋の人の母親が受け入れてくれてやっと泣くことが出来た奈津に、この時代の女性の辛さが見えて泣ける。
でも、口に出すことが出来たから、玉枝おばちゃんがわかってくれたから。
良かったなぁ。

そしてさらっと見せる当時の風俗。
サエが豪華なケーキを手土産に遊びにくる。でも余裕のない小原家には洋食器などなく、糸子は箸でケーキを食べる。
小原呉服店はすっかり雑貨屋になっていて、サエ はシャンプーを買って行く。これはどうやら庶民にも浸透してきてるらしい。
おばあちゃんは糸子の給金をまずは仏壇に供える。あー、そうだそういうものだったんだよね。
テーラー以外でも男性の洋装はもう珍しくないけど、女性はまだまだ。糸子もサエ達踊り子さんも普段はやっぱり和服が普通。洋装はここぞという時の勝負服のようだ。
ちょこちょこと登場する春太郎の名前。先々糸子本人とも何か関わりが出来てくるんだろうか。
お父ちゃんは相変わらず仕事はぱっとせず、ますます飲んで暴れてるようだ。小原家にはもうお銚子4本しか残っていない。
そして糸子は相変わらずカッとなりやすいけれど、店長の横暴や先輩の意地悪もぐっと堪え、お父ちゃんにちゃんと交渉できるくらいに大人になっている。
カーネーション」の週のサブタイトルは花言葉から取っていて、第7週は「移りゆく日々」。
15分×2話の30分、たったそれだけの長さの中に、確かに昭和8年の「移りゆく日々」が存在してるのだ。
なんて濃厚な30分だろう。

今日の「カーネーション」も早くみたくてたまらないのだけど、昨日一昨日の奈津があまりに切なくて1日中ずっと考えてた。まずそれを吐き出さなくては次を見れないような気がしたのだ。
ああ、どうしてこれが現行の朝ドラではないのか。毎朝これを見て始まる1日はどれだけ気持ちいいだろうと思う。
それでも毎晩寝る前の至福の30分になってくれてるからまだ幸せだ。