温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「カーネーション」 あまりに引き込まれて、何て言っていいかわからない

ちょくちょく休止を挟みつつも「カーネーション」が折り返しを過ぎた。
放送当時10月スタートで、半分の年末最後の放送で終戦を迎え、年明けの放送から戦後が始まる。
年をまたぐドラマは朝ドラくらいで、そこでしばらく間が空いてしまうのを逆手に取った上手い構成だ。年が変わるように、本当に戦争の前と後で全く違う世の中になった。

戦争中、夫の勝も泰蔵にいちゃんも勘助も兵隊に取られ、お父ちゃんも死んでしまった。
洋服の仕事が減ってミシンを取られそうになったり、闇をやってると嫌な噂を立てられたり辛いこともいっぱいあった。
それでも家族と縫い子を食べさすために糸子は働きたくましく生きている。
悲しんでばかりではご飯は食べられないのだ。

そんな戦争中の庶民の生活がまさにここにあって、普通の生活を描いてるだけのことなのに毎日目が離せず見入ってしまう。
見ていて何か言いたいことはフツフツと湧いてくるのに上手く言葉に出来ないのだ。
あらすじにしてしまうと本当に普通の生活なのに、どうしてこんなに面白いのか。
それは多分、このドラマにたくさんのキャラクターがきちんと息づいているからだ。陳腐な言い回しだけれども。
糸子以外にもたくさんのキャラクターがいて、それは脇役なんだけれども、ちゃんとどんな風に生きてきてどうしてそこにいるのかちゃんと感じさせる。モブキャラというようなものがいないのだ。

前半のヤマ場になるお父ちゃんの死。そのエピソードも本当にそうだった。
お父ちゃんはうっかりカイロ用のベンジンを倒してボヤを起こし大火傷を負う。幸い命には別状なく数ヶ月後には温泉に行こうとするくらいに回復する。しかしその旅先で突然亡くなってしまう。火傷ではなく、酔っ払ってお風呂に入ったためだった。

ボヤの原因になったカイロは木之元のおっちゃんの奥さんが、お歳暮のお礼にくれたもの。人当たりは良くないけれど根はいい人でせめて出来ることをとくれたのだ。
火傷の治療の通院はいつも仲のいい近所の木岡のおっちゃんらが手伝ってくれて、その人らと温泉に行く話を子供のように楽しみにしているお父ちゃんを見て糸子は止める事が出来なかった。せっかく元気になったお父ちゃんに新しく国民服を縫い、とっておきの日本酒を持たせた糸子の気持ちはよくわかる。
お父ちゃんの葬儀には神宮寺の娘さんが来てくれた。かつて呉服店の時のお得意様で娘の花嫁衣装を頼もうとしてくれた地主さんの娘さん。お世辞とわかっていてもお父ちゃんが褒めてくれるのが嬉しかったと言ってくれた。お父ちゃんの人となりを伝えてくれる人物が出て、あーお葬式ってこういうものだよねーと思った。
軍服を作る工場を経営している木岡のおっちゃんの弟はお父ちゃんと呑み仲間、葬儀では仕事に困ったら言ってこいと糸子を心配してくれる。ミシンの供出を迫られた糸子は軍服の仕事を貰うことでなんとか乗り越えた。
全ての人がちゃんとあの町に存在して関わりながら生活してるのが、ちらっと登場する人物でさえも感じさせてくれる。

お父ちゃんのボヤを目の前で見ておばあちゃんが参ってしまうのが、ああお年寄りってこういうことで寝込んじゃうんだよねーと思ったり、とはいえ口の減らないおばあちゃんをみると、この人の息子がお父ちゃんでその娘が糸子なのはすごーくわかるなぁ、逆におっとり系の妹3人は明らかにお母ちゃん似だなぁと、キャラクター設定もリアリティがある。
糸子の娘も、父親の勝に似ただろう落ち着いた
長女優子とありありと糸子似できかない次女の直子と子供のうちから性格が出ている。
戦争中だから容赦ない出来事が起こるけれど、それだけではなくその間の日常をちゃんと「ありそう」に描いているから見入ってしまうのだなぁ。

戦争が終わって糸子の好きな人達がたくさんいなくなってしまった。けれど糸子は「生きてやる」と叫んでいた。
糸子のたくましさは戦後をどう生き抜くのかワクワクする。早速闇市では大活躍で笑ってしまった。
尾野真千子は正直あまり好きな女優さんではないのだけど、やっぱり圧倒的に上手い。
この先、娘たちが成長し年の変わらない女優さんに交代して並ぶ時どんな演技を見せてくれるのかめちゃくちゃ楽しみだ。
あとはそろそろ綾野剛

朝ドラは時計がわりで充分、このクオリティが必要か?というような事も言われていたそうだけれども、皆さまの受信料を使ってつくるのだから全力で作ってくれて当然だろう。
つまんないものより面白いものを見たいですよ、当たり前!