温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「カーネーション」91話 ついに…‼︎これが伝説の「お芋回」……!

糸子の家に泊まって以来、妙に素直になった北村を見て「こいつには失敗させられへん」と言う気になる糸子。こういう所が姉御肌の糸子らしい。
北村の店の開店日も決まり忙しい毎日のある日、糸子は残業しようとするのを周防に止められ、繊維組合の寄り合いに連れて行かれる。組合長の「新しいものを切り開け」という話に泣き出す北村、何も言わず三味線を弾く周防。戦争が、終わってまだ3年、誰もがそれぞれ何かを失い、いまだにその傷を抱えているけれど、この人らといると心が暖かくなると思う糸子。
帰り道、改めて糸子は自分の失ったものとその空白を思う。お父ちゃん、勘助、泰蔵にいちゃん、そして勝さん。糸子の好きな男達は皆いなくなってしまった。そしてその空白に周防さんが入り込んでしまったことを認めたのだ。
と、しっとりと糸子が自分の恋心に思いを馳せながら帰宅すると、子供達の寝静まった部屋の引き出しに「ピアノ買うてー」と書かれた紙があちこちに仕込まれているのがねー(笑)
いやいやさすが「カーネーション」、糸子の現実の生活は生活でちゃーんとそこにあるんだよね。生まれて初めての恋を認めたのに浸ることもできない、お母ちゃんは大変だ(笑)

周防と3人での開店までの忙しい様子が描かれる。ここの描き方がこのドラマらしくてとても好き。
糸子が朝工場に来ると北村と周防が泊まっていたり、数人の縫い子に周防が指示を出したり、糸子や周防が夜中までミシンを使っていたり、何やらトラブルで北村が電話で怒鳴っていたり、糸子が商品の数を確認していたり、それぞれのシーンは短いのに、3人が開店に向けどれだけの仕事をしてきたのかがよくわかる。
セットの作り方も上手い。縫い子さんのいる作業場は案内の矢印があるだけで出てこず、基本事務所兼工場長の作業場と電話のある北村のスペースだけなのに、周防と縫い子さんが作業場の方に出て行くシーンがあったりして、少ないセットで結構立派な工場なのがわかったり。ロケ出来ない事をわざわざツイッターで文句たれる現行の脚本家はこれ見て勉強した方がいいよ。まあ、学べる程の頭は無さそうだけど(笑)
開店までの働きぶりで、3人が信頼しあっていったんだと思えるいいシーンだった。

仕事を完遂したら周防に自分の気持ちを伝える事を自分に許そう、そして悔いのないようケリをつけようと決めた糸子。そしてついに開店の日、糸子の仕事はここまでだ。いつも和服の糸子が化粧をし周防と作った既製品の洋服に身を包む。
このシーン、ここだったのかー!予告で映ってて「おー、ついに糸子も洋服に切り替えるのか!」と思ったのだけど、こんな決意のシーンだったとは!間に3週も休み入ったから予告見たの1ヶ月くらい前じゃない?長かったー。
決意の糸子が素晴らしく美しい。

工場に行くと今日も泊まった周防が寝ていた。糸子が来て起きた周防に桜の枝を差し出す。自分の仕事は今日までだから、開店おめでとうございます、と。
洋服を着た糸子に気づき「似合ってる」という周防に糸子はついに言った。「最後に言わせてください、好きでした」と。
それだけ言って帰ろうとする糸子の腕をとっさに掴む周防。驚いて振り向く糸子をゆっくりと恐る恐る抱きしめて「おいもです」「おいも、好いとった、ずっと」と周防が言う。そこにやってきた北村がドアの間から2人を見て険しい顔をする。

おおお〜!これが、伝説のシーン‼︎噂の「お芋回」なのねー‼︎何という破壊力!綾野剛恐ろしい子………‼︎
いや、とにかく綾野剛の周防さん、なんなんだよーもう!
「おいもです」と言った後に改めて「おいも、好いとった」と言う時、「おいも、」の所で声が掠れるのだ。これは演技なの?それとも周防さんになりきった綾野剛が緊張してるの⁇
この声の掠れが、周防さんの迷いや緊張をこれでもかと感じさせる。計算でこれをやってるなら天才過ぎるし、たまたまなら神がかり過ぎる……。

糸子の腕をとっさに掴んだ後、ガシッと抱き寄せるというベタな演出にしないのもいい。
糸子と同じく、自分が相手に惹かれてる気持ちは気づいていてもそれは出してはいけないものだとはわかっている。でも、思いがけず相手も同じ気持ちだと知って反射的に止めてしまった。それでも、いいのか?このまま進んでいいのか?という迷いと、でも相手の気持ちを知ったら止められないという気持ちが、この恐る恐る引き寄せるという動きに出ている。
そして糸子を抱きしめ自分の気持ちを口にする周防さんの顔……!
いいんだろうか?でも言わずにはいられない、だけど踏み込んではいけないところに踏み込んでる……泣いてしまうのかも!という表情がねー💦綾野剛、ホント、恐ろしい子
これまで通り、周防さんのシーンは光に溢れている。光差す窓をバックに糸子を抱きしめる周防さんはまるで夢の中の人のようで、この先どんな辛い展開があっても、このシーンだけで救われる気がしてしまう。

そしてね、綾野剛の色気は出し入れ自在なのですか?もう……!
同じ優男系でもコウノドリ先生やフランケンシュタインは色気を感じさせずひたすらピュアだった。それに比べて周防さんの色気のダダ漏れっぷりときたら(笑)いくら誰もが認めるいい男の役でも出し過ぎじゃないのー?あちこちで突っ込まれてますが、当時朝これ見たあと仕事になるんですか?(笑)流石すぎる〜。

ついつい綾野剛にクラクラしてしまう「お芋回」だけど、組合の寄り合いからピアノ買うてまでとても15分とは思えない内容が描かれて、しかも物足りなさが全くない、何という隙のない脚本か。
この脚本が気持ちいいのは視聴者を信用してるところだ。書かなくてもいいことは書かず、必要な要素だけが詰まっている。それでちゃんとわかってくれますよねという脚本で、もちろんちゃんと伝わるから気持ちいい。
今回の寄り合いのエピソードでも、北村や組合長が戦争で何を失ったのか具体的には描いていない。周防の奥さんもおそらくピカの後遺症を抱えているだろうけどそれは言わない。
勘助の心の傷の時もそうだったけど、何があったかグダグダ描かなくても傷を抱えてる事が伝わればいい。実際の人間同士でもそんなもんだろう。ドラマで重要なことはそこではないから描き込まない、視聴者はこれだけのことを描けばちゃんとわかってくれてるという自信があるのだ。
あー、クリエイターとしてなんとカッコいいことか!
くしくも今日、ネットニュースを騒がせていた現行脚本家のグダグダした言い訳。「本物のクリエイターは孤独でないとできない」というアホな理屈を言ってるそうだが、それを言うなら「カーネーション」の脚本家は確か結婚してお子さんもいる人だ。それでもこの人は本物のクリエイターだと確信できるよ。
ナンバーワン朝ドラと噂の「カーネーション」今見れて本当よかった。反面教師が朝放送されてるから素晴らしさが際立つなぁ。
……なのに、また来週からおやすみらしいのだけど……💧
辛すぎる。