ずっと公式ツイッターで「12集は1 2月12日発売」と言っていたのに、1日には本屋に行けず、翌13日に購入。
今回は、バイブス編集部主体でウェブ漫画を立ち上げるエピソードと、「ピーヴ遷移」のキャラクター描写に行き詰まりを感じた中田が、自分の生い立ちや内面に向き合おうとするエピソード。
ウェブ漫画は編集者の安井がメインで、仕事はできるものの、主人公黒沢の若さにたじろぐのが身につまされて辛い。
今の時代、若者用語でも検索すればすぐ意味はわかる。けれども、そのワンクッションを置かない黒沢の若者としての同時代感はやはり安井にはもう得られない。マンガのようなメインの対象が若者である商品となるとどうしても差が出る。その容赦ない感じ。
けれと、一方で若者である黒沢は経験値が圧倒的に足りず、中田のマンガのキャラの浅さに気づけず編集長に指摘される。
経験を重ねたから、若いから、それぞれ強みで仕事へのアプローチができることを並行して描くのがお仕事マンガとして誠実だなぁといつも思う。
そして前巻は少なかった中田伯の話。
黒沢でなければ見出せなかった、けれど黒沢だけでは育てられなかった天才の話ははこのマンガの中ではやはりメインエピソード。
「ピーヴ遷移」の連載が続いていく中で、「他人に興味がない」という中田の欠点が目立ってくる。それに黒沢が他の編集者や漫画家のアドバイスをもらいながら、そして中田本人が自分の過去と向き合って乗り越えようとする。
が、いいところで次巻へ。うううー、気になるー💦
人間を描く、演じるというためには結局人間に関心を持ち知らないとできないことだという話は一条ゆかりの「プライド」でもあった。言われてみれば当然なのだけど、他人に関心を持たないと言われる世代の今の漫画家はどうなんだろうなぁ。よく「マンガしか読んでないから浅い」みたいなのは聞くけど。他のジャンルからのインプットが足りないと。
「重版出来」ではベテランの三蔵山先生が全てを見通していて怖い。ただの人格者ではなく光も闇も見て生き抜いてきた感じ。ドラマで小日向文世をキャスティングしたの流石すぎる。
中田の父親エピソードで、少し前にNHKでやってたドキュメンタリーを思い出す。
1人の漫画家と彼を見出した編集者が「いつかファンタジーマンガを成功させる」という約束をし、それを目指すための日々を取材していた。
彼もやはり子供の頃父親と離れていて、今描いている話で主人公と父親の関係が上手く描けず悩みに悩む。
親というのは人生最初の人間関係にあたるし、それがどうだったかはその先の人間観に大きく影響するのは当然なんだよね、やっぱり。
物語を作るというのは自分の全てを晒し出す、しんどい作業なのにやらずにはいられない人達というのが確実にいて、自分のような凡人はそういうものを見ずにはいられない。
しんどいねー。