温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「なつぞら」 なつの妊娠〜出産〜仕事復帰までの展開にもやもやする理由を書き出してみた

現行朝ドラ「なつぞら」も残り1カ月となりラストスパート!
……なのだけどねー、テンション下がってます💧

まあだいたい朝ドラって後半ダレるのは仕方ないんですけど。
NHKのドラマは基本的に撮影全て終わってから放送するのだそうですが、大河と朝ドラだけは撮影しながらの放送なので多少の計算違いはあるでしょう。
ここ数年、朝ドラリアタイするようになった中では自分的に面白かった「ひよっこ」「まんぷく」もこの辺りはだれてきた感じは否めなかったしね。
とはいえ、「なつぞら」は自分的にはまさに「期待ハズレ」としか言いようがないです。
豪華俳優の無駄遣いだよ……。
このところはアンチの暴走も激しくなってきて、それがそのまま「女優 広瀬すず」を非難する方向に向かっててもやもやする。
話の展開は確かに「えー?」と思う毎日なんだけど、それは脚本家やプロデューサーの責任で広瀬すずの責任では無いはずなのに、ほとんど言いがかりのようなものまで広瀬すず本人を叩くコメントがザクザク出てきて、それもこれも話が適当だからだよっ!とイラッとしてしまう。

一応「朝ドラ」なので女性の生き様をドラマ化してるはずで、「なつぞら」はアニメーションの世界での女性の第一人者の人生を描いてるはずなんですよね。
だけど、なつが果たして女性アニメーターの第一人者で開拓者なのか?というとどうもそれが描かれてる感じがしない。
アニメを作るという作業は確かに動きは少ないしアニメーターの優秀さを画面で見せるのが難しいのはわかるけど、なつが仕事が出来る人というのが全然伝わらない。
いつも作業机に向かってるか、紙をパラパラと見ているだけで、それは他の人もやってるので違いがわからない。
動きの少ない仕事なのはわかっているのだから、そこもう少し工夫できなかったのか?
この時代のアニメ会社ならかなりのハードワークだろうに、なんかいつもヒマそうだし、仕事を熱心にやってる感じもない。

現在、なつが結婚し子供ができ「出産したら退職」というルールだった会社に交渉し正社員として子育てと仕事の両立を目指す、という展開の真っ只中で、正に現代にも通じる女性の生き方の分岐点になる、ドラマとしてのヤマ場のはずなのに、盛り上がるどころかご都合展開ばかりが目につき視聴率も下降気味。
自分のような子育て経験の無い人間が見ても「はぁ?」と思うのだから、朝ドラメイン視聴者の主婦層がイラつくのももっともだ。
そしてそのイラつきがさらになぜか「女優 広瀬すず」に向かうという悪循環。

ここにきて失敗だったんでは?と思うのはなつのキャラクター設定。
子供の頃は好奇心旺盛なハツラツとした子だったのに、特に東京にきてからはなんか淡々としていて妙にクール。可愛げがない。
戦災孤児だったという陰を宿させたかったのかなと思うけどそれが完全に裏目
そういう主人公でも成立するドラマはあるけれど、朝ドラは主人公に感情移入させないと視聴者がなかなかついてこないでしょう。
ただでさえ登場人物が無駄に多くてなつの描き込みが足りないので、本当にアニメーションに興味ある?と疑問を持つくらい淡々としてしまっている。
なので、アニメーションの仕事ぶりの説明不足もあり、なつが「それでも仕事は続けたい!アニメーションは私の天職なんだ‼︎」っていうパワーを全く感じず、ただでさえ母親になった人が仕事を続けるのが非難される時代背景の中でなぜ仕事を続けたいのかという気持ちが見えてこない。
その結果、「仕事したいのになぜ避妊しない」「子供が小さいのに仕事したいとかいうのはワガママ」と言うような非難が視聴者の感想でわんさか出てしまう。
いや、ドラマ内で言われるならドラマとして成立してるけど、視聴者にそれ言われちゃったらこのドラマの目指すところに全くたどり着いてないよね?

クールで淡々としていても魅力的なキャラももちろんいるけど、今回は全く上手くいっていない。だったらわかりやすく共感しやすいキャラにしたほうがよかった。
夕見子の妊娠を聞いたとき、なつは「うそ!」と言った。なつは割といつも否定から入る。
素直キャラなら「ほんと?」と聞くところをいつもこういう調子なので、キャラづけなんだろうと思う。
こういうキャラを魅力的に描くには力量がいるんだよねー、と「なつぞら」見ていてつくづく思う。完全に失敗例だ。
見ていていちいちモヤっとするんですよー。

視聴者の非難が出るのは「そんなわけあるか!」と突っ込みたくなる、なつだけ何もかも上手くいくご都合展開のせいもある。
そもそも先輩妊婦の茜さんが「出産後は契約になってもらう」と言われて悩んでも、誰一人そのフォローをしていない。なつですらも。
なのになぜなつが妊娠したら「仕事を続けたいんですー!」と社長室に連れ立ってアニメーター全員がお願いに行くのか?
そしてその場で社長の一存で「じゃあ続けていいよ」と解答がもらえる。
ちょっとまて、東洋動画って結構な大企業でしかも東洋映画の子会社って設定でしょ。
そんな社員10数名の零細企業でもないのにみんなで社長室にお願いに行ったら、念書を書かされてるくらいのルールが簡単にひっくりかえるのか⁉︎
モデルの奥山玲子さんの場合はこれが大変な労働闘争だった訳で、それをドラマで「これは組合活動ではないです」とわざわざ言わせてまでアニメーターの仲良しごっこにしてしまうって、雑か!
どうやらNHK的制約で労働闘争的なものは入れられないのでは?というつぶやきを見たけれど、だったら安直に入れないで。
適当な扱いはモデルの人にも当時のことを見たいと思ってる視聴者にも失礼なんですよ。

なつぞら」に対して、「結婚、出産、子育てをしながら働く女性として主人公を描き、数々の差別的待遇や女性への偏見を打ち破ろうと努めるその姿勢は、アニメ業界を超えて現代の働く女性たちへエールを送りたいという意図が見える。『女性が働くこと』に対する今日的な課題を強く意識した作品で、アニメ業界特有の問題に強くフォーカスした作品ではない。」という記事を見たけれど、全くこんなことできてない。
前もってのドラマの紹介でもこういう意図だったのはわかるし、そう思って見ていた視聴者は自分だけじゃないはず。
けれど、なつが「差別的な待遇」も「女性への偏見」も受けている様子をちゃんと描けていない。
もっと言うと麻子さんや茜さんは「差別的な待遇」や「女性への偏見」を受けているのに、なつだけにはそれがなく特別扱いされているように見える。
そして淡々としたなつのキャラクターもあって「なぜなつだけやたら手助けされるのか?」と視聴者の不満が膨らんでしまっている。

こういうとき「男だ、女だ」という言い方は好きじゃないけども、「なつぞら」の脚本は「おっさん脚本」だ。
「俺たち女性の大変さわかってあげてるよねー」って思い込んでてその実全く的外れな、自分の事を「理解ある男」と誤解しているおっさんの脚本。
それが特にこの妊娠〜出産〜仕事復帰のデリケートな所でありありと出ていて腹がたつ。

最近は見直していないのであやふやな記憶で書くけど、なつが妊娠してそれでも正社員でいたいと皆で直談判に行った時、「一久さんは今働いていないから奥原さんは仕事辞める訳にはいかないんです」というフォローがあった。
けど、それがそもそもおかしい。
夫が無職だろうが金持ちだろうが、働きたい女性は働けるように制度を見直す、それがこの時に闘うべきことだ。

さらに「奥原さんの才能は一朝一夕ではできない、失ってはいけないものなんです」というフォローを神地がしていたけど、それもおかしい。
特別な才能があるとかないとかではなく、普通に問題なく仕事をしている人であれば続けられてしかるべきで、じゃあ茜さんはなんだったのか。それなりに優秀なアニメーターではなかったのか?少なくともなつよりキャリアがあってきちんと仕事を続けてきた人だ。
なのに妊娠中体調不良で早退しようとしたら嫌味を言われしまうとは。同じ相手がなつには体調を気遣っていたのに。
こういう働く女性に対しての一貫性の無さがなつだけ特別扱いに見えて視聴者を苛立たせ、さらになぜか広瀬すず叩きになっている。

自分の母親はなつより下の世代だけれども、それでも「女性が仕事を続けられるのは公務員しかなかった」と公務員になったし、自分も保育園以前に個人宅で預かってもらっていた。
保育園も近所は入れず、車で送らなくてはならない場所のところに入り、毎朝乗り物酔いでぐったりしていた記憶がある。
給与の大半を保育費に使ったと聞いたこともある。
だからこそ、仕事復帰してからの経緯が適当&ご都合のコンボでもやもやする。
当時の一般企業の女性はお嫁さん要員で共働きを全く想定してないのも珍しくない。
だからこそ夫婦が共に仕事を続けるのに制度はどう変えなきゃならないのか、周囲の手助けはどんなものが助かるのか、そういうところを描かなければ働く女性へのエールにならないでしょう。
「子供がいても働きたい女性への道をつくることになるから」と一久さんは言ったけど、こんな都合よくいろんな条件そろうことはほぼゼロですからね。
全く「開拓」になってませんて。

とにかく0歳児の時点がまず大変なのに、都合よく夫が在宅仕事で仕事しながら育児家事をし、1年後には勤め先が決まってる……ってどこの王様なんだー!
そもそも男女入れ替えただけで、一久さんの立場は今のワンオペ育児そのもの。
在宅仕事だと「仕事しながら子供見れるでしょ」と保育園に入れず、実際仕事していても子供から目が離せず仕事にならない、とかちょっと検索すればそういう悩みが山ほど出てくる。
一久さんが理解のある夫なのは別にいいけど、スーパーマンじゃないんだから!

麻子さんの会社も「母親になった女性が働きやすい会社にする」といいながら、保育所があるわけでもなく「言ってるだけじゃん!」という状態。
どこがどう「働きやすい会社」なのか、そこを描くのがドラマじゃないの⁈

福祉局の職員(田中真弓の無駄遣い💧)になつが「小さい子供を置いて働くのはどうなのか?」的な事を言われるのはドラマとしていいと思うんですよ。当時の一般的な考えはそうだったんだと伝えるために。
なのに1年後にまたなつが行くと、なぜか1年前に一度きただけのなつを覚えていて失礼を謝罪するという謎展開。
いや、だから無駄にヒロイン上げと叩かれるんだってば!

出産に対しての周囲のスタンスも描きかたが単純でつまらない。
夕見子が妊娠して仕事に行くのにおばあちゃんや義理の母が行かせないと止めるけど、2人とも自営業の奥さんなのだから、そもそも出産して仕事を辞めるという選択肢のなかった人たちのはず。
当然のように子育てと家事と店の仕事を並行していた時代なのになぜ、今のサラリーマン家庭の専業主婦みたいなことしか言わないのか。

富士子さんに至ってはもっと酷い。
なつが子供産んで仕事をするのに「ホントに大丈夫?」しか言わないけれど、この人も自営業の奥さん。
しかも結婚した時にはもう実の母は亡くなっていて、家事を一手に引き受け(この家の男性は家事をしている描写は一切ない)子供3人産んで途中夫は出征、もちろん牧場の仕事もやっている。
「大丈夫、なんとかなるわよ」と言う方がよっぽど設定からしてそれらしいと思うけど。
なつを「開拓者」にするために、まわりを立場も考えず全て「子供がいるのに働くのは無理じゃない?」という意見にしてしまうという、ドラマとしての厚みの無さにがっかりするんだよー。

朝ドラにはいろんなジャンルの「開拓者」が出てきた。
「マッサン」の政春とか、「カーネーション」の糸子、「まんぷく」の萬平、みなそれぞれやりたい事にがむしゃらで、多少変人でも人格に問題があってもとても魅力的なキャラクターだった。
「何も目指さないヒロイン」だった「ひよっこ」のみね子ですら、日々一生懸命仕事をし、そのお金でつましく暮らすということをきちんと描いていた。
なつはただ「開拓者」と言うだけで、そういう熱意がまるで見えず、周りのお膳立てばかりが目につくからドラマが面白くない。

昨日の第128話も相変わらずご都合で、特に茜さんがなつの娘を預かるという展開には見ていて「あー、今日も荒れそうだなー💧」と思ったら、予想通りアンチタグがツイッターのトレンドに上がっていてさすがに驚いた。

ネットで荒れてる通り、自宅で子供を預かる人は実際いたけれど、子供がある程度大きくなって手が離れた人がやっていて、茜さんのようにまだ2歳の子がいる人が預かれるのかというツッコミはそうだよねとしか💧
信さんや天陽くんのお兄さんが伝書鳩要員で、いらなくなったらぱたっと出なくなったように、茜さんはなつに妊娠の不安を感じさせるのとなつの子供を預かる要員だったわけですね。
どおりで、茜さんが仕事ができるのかとか描かれていなかったわけだ。

それもだけれど、個人的にイラッとしたのはなつがついに作画監督に抜てきされた作品が「タイガーマスク」をモデルにした「キックジャガー」という作品だったこと。
「女性に格闘技物ができるのか?」という問いに「孤児院設定だから君に向いてる」というエピソードはツッコミだらけでイライラする。
たとえ孤児院のことを知っていても作画では生かしようがないでしょう。演出ならともかく。
そして絵柄って、差別ではなくテイストとして性差ってあるんですよ。
数話前に新人になつが「子供向けだからって舐めて描いてもお見通し」というような説教を言ってたけど、それそのまんま返すから。
格闘技に疎い、しかも女性のなつがサクッと描けるようなもんじゃないでしょ。
クリエイターとしてアニメーション舐めすぎ。
とにかく何もかもご都合だから、こういうエピソードまでアラが目につくんだよー。

「女性へのエール」とうたいながら、女性が見たら「違うから!」という雑な展開の積み重ねで、ほんと「オッサン脚本」だなーと思う。
何かと美しくなかったり、年齢のいった女性を笑いのネタにするセンスといい、なつの仕事の妨げを「敵」というスタンスとか、いちいちオッサン感が鼻に付く。
浅い知識で「女性の生き方」をわかったふりして描かないでよねー!
同時期に放送の同じく男性脚本家の「いだてん」があれだけのキャストを誰一人として適当な扱いをせず、生き生きと描き出し、当時の社会問題や女性問題まで入れ込んで、さらにクスッと笑わせてまでくれる素晴らしい脚本なので、「なつぞら」の浅さ、下手くそさが余計に際立つという、ね。
ドラマはホント、視聴率じゃないですよ。

広瀬すずはいい女優さんだと思っているのにこんな朝ドラの主演で、しかもヘイトを一身に受ける羽目になっていて本当に残念。
あー、もったいない!
出産直後のシーンのため赤ちゃんを中川大志がおっかなびっくり抱くところを広瀬すずが笑ってる動画が「性格悪い」と炎上していて、もう何もやっても「広瀬すずが悪!」みたいになっちゃってるのがなぁ💧
なんどもいうけどこれは演者の責任ではないでしょう。話がもうどうしようもないくらいダメダメなんだよねー。
あまりの不満に長々ぶちまけてしまったわ〜。
もうクランクアップしたそうだし、あとはスルーっと見送るかなぁ……。

追記
本日、第129話を見てついひとこと、
「うわぁ、適当かぁ……💧」
エピソードが繋がってる感じがしないんだよねー。
なつが仕事と子育てのバランスが上手く取れず葛藤するところを描きたいのはわかる。
わかるけど、今までの積み重ねがあるから、ただ自分勝手な人に見えるんだよねー💧
ドラマ、ヘタクソか…。