温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

映画「引っ越し大名」を見てきました! ガッツリネタバレ、星野源ファン的感想〜。

8月30日、待ちに待った星野源主演「引っ越し大名」が公開。
公開初日は無理でも、この週末のうちには見に行こう〜と画策。無事に見てきました。


もちろんパンフレットも購入!
映画のパンフなんて久しぶりに買ったなー(笑)

今年の夏の終わりの一大イベント、いろんな事を考えたのでいいことも悪いことも叫びたいだけ叫ぼうかなと(笑)
ガッツリネタバレしますので見てない方はお気をつけください。
自分は原作未読、宣伝番組も未見、同じ原作者の参勤交代シリーズも犬童監督の作品も未見。
ざっくりしたあらすじのみの知識で挑みました。

見に行ったのは近場のショッピングモールの中のシネコン
時間の都合で土曜のレイトショーに行く事に。
あれだけ宣伝している話題作、最初の週末土曜のレイトショーなんて混みそうだなーと土曜の昼過ぎにネット予約を見ると、んんん?席が全然埋まってないよ?何かの間違いかしら?
思わず何度も確認して座席予約。
まあ、日曜が映画の日だから土曜はさほどでもないのかも、と自分に言い聞かせる。

さて、夜になり映画館へ。
多分ここのシネコンで一番大きいスクリーンだろうなーというサイズ。
しかし、かなり空いている💧
と言うかこれは、ガラガラと言うのでは……
自分はH列の真ん中を取りましたが、自分より前の席には4人。
と言って後ろも混んでるわけではなく、真ん中がだいたい埋まり、あとは通路ぎわ席とか。
半分も埋まっていない。
公開2日目にこれって、大丈夫なのー⁉️💦
内容的に「大作!」という感じではないと思うのだけど、今をときめく星野源主演ですから公開館数も多かったような。
どうしよう?これでコケたらますます俳優業減らされちゃうかも💧
見る前からドキドキでございます。

予告でナイナイ岡村主演の「決算!忠臣蔵」がかかり、濱田岳が映る。
あれ?「引っ越し大名」にも出てたよねー?売れっ子〜!というかかぶってるなー(笑)
そして本編。約2時間。結構長め。

……終わった…。
うん、2時間飽きなかった。うんうん。
けど、けれども、……正直なところ、
これ、期待した程ではないような……💧
だ、大丈夫?💧

試写会の後のツイッターで絶賛の嵐だったので、めちゃワクワクしてきたんだけど、そりゃ公開前だし来てるのはファンだろうからいいこと書くだろうけど……。
という事で思った事をあれこれとネタバレしつつ書いていきます。

まずは俳優陣、星野源はもちろんだけど(笑)すごく良かった。困ったなーというキャストはほとんどいなかった。ほとんど。
実は高畑充希はあまり好きではない女優さんなんですが、本来ぴったりとは言えないはずの役柄を違和感なく演じていて良かったし。
高橋一生はもう「上手いなぁ」としか。
脇を含めいい俳優さんそろえたなーと。
なのになんでいまいちグッとこなかったかと言うと…。

まずはテンポが悪い。
基本的にはエンタメ作品でとにかく笑わせて最後にホロっとさせて締める、というのを想像していたし、実際そのつもりなんだと思う。
けれどほとんど笑えなかった。
星野源演じる春之介がある日「引っ越し奉行」という面倒な役割を押し付けられてなんやかんや奮闘するのだけど、役割が稼働するまでが長くて間延び。結局引き受けるのはわかっているのでそこはサクッと進めて欲しかった。
その後の引っ越し準備も意外と淡々と進むので「あれー?」という感じだ。
「ここ笑うところですよ」というシーンはわかるのだけどそんなに面白くもないというか💧
「笑うところ」のシーンが時々唐突に出てくるので「いきなり何?」と思ってしまった。
笑ったのは1ヶ所、高畑充希演じる、前の引っ越し担当者の娘 於蘭が引っ越しマニュアルを届けに駆け込んできて廊下をツーっと滑って一旦退場してしまうところ。これだけ。ううっ。
前半の物理的な引っ越し準備が笑うところ(のつもり)なのに対し、石高下がるがゆえの人員整理の辺りからシリアスエピソードになってくる。
急に命じられた引っ越しの裏に実はある策略があるのも明かされてくるのだけど、前半がコメディとしてイマイチ不発なので後半のシリアスエピソードとのメリハリがでず、映画全体がのっぺりしてしまっている。
唐突なミュージカル展開も「何事⁈」と思ってしまったしね……。
引越し行列や体操(?)で歌うのはまだいいんですよ。
労働歌って実際あるだろうし。
けど、脇役のその妾に演歌歌手をキャスティングして突然歌わせても、見てる方は戸惑うしかできないし。そんなに重要なエピソードでもないし。
馴染んでるようには見えないんだよね。

そして、話がふ、普通……💧
予想通りの展開で予想通りの終わりで「えっ?そうなんだー!」という驚きは無い。
いや、ストーリーはお約束でも見せ方で面白い映画っていうのもあるんだけど、なにしろ見せ方もメリハリが無いから……
時代劇に疎いし、切った張ったも興味無いので、どちらかというと最近流行りの武士の生活を描くような話の方が興味があった。
真田丸」のときに城替えで家臣も一緒に移動するってエピソードで「あー、そりゃそうか。しかし、どこまでの家臣が移動するのかしら?農民とかは移動しないのかな?」と思った事があるので、この「引っ越し」のリアルをどう描くのか楽しみだった。
ですが、うーん……「引っ越し」のエピソード浅くない?💧

大きな流れは、予算見積もり→資金調達→不用品処分→人員整理→荷造り→移動、となるんだけど、大きな流ればっかりで細かいとこは端折ってる。
2時間の映画だからある程度は仕方ないと思うけど、「そのくらいは想像できるし!」という程度の説明で物足りなかった。
具体例で言うと、2000人の家臣を600人リストラして1400人。その家族を含めて移動するのだから数千人になる。その移動が全員一列に移動していくのか、何チームかに分かれるのか、その人数だと宿はどうするのか、下の人間は野宿なのか、とか考えていたけど説明無し。
移動の列もせいぜい100人程度にしか見えないし、宿に泊まるシーンも無い。
いや細かいところは突っ込むなっていうかもしれないけど、こういう話って細かい雑学的なところが面白みなんじゃないの?
だって散々コピーで「1万人がお引越し⁉︎」とか煽っていたし!全然その壮大さも出てないんだもの。
こちらとしては「へー、なるほどー、すごいなぁ!そういうことなのかー!」と思いたいのに。

あと、引越しの本筋とは関係ないけど、於蘭は離縁されて息子が1人いるシングルマザーなんだけど、この時代に息子を連れて婚家を出るのは可能なの?嫁だけ出されるのが普通じゃない?
父親が亡くなってもう藩とは関係ないと言っていたし困窮してるようだったけど、こういう立場の人はどこから収入を得て生活してるのかを知りたかった。
そういう痒い所に手が届く感じがこの手の映画の醍醐味だと思うんですよ。
藩が商人から借金するだけして踏み倒す気満々とか、人員整理の悲哀とか、わかりやすく現代への風刺的な事を入れているのはいいんだけど、この時代の状況をもっと描いて、その上で現代に通じるものを描いた方がメリハリついたんじゃないのかな。

そして引っ越しの裏の策略というのが、家臣の裏切りで幕府直轄の隠密と組んで殿の暗殺を企てる、という、まあ、なんというか、ありきたり?わかりやすい💧
当然ながら、主人公とその友人(高橋一生演じる鷹村)の活躍で暗殺は阻止されて無事引っ越し先まで辿り着く。
自分としてはこの隠密に襲われ戦って勝つ、というシーンが一番モヤモヤした。

基本的にコメディ調なんですよ。
殿の乗った籠に刺客が迫るのを見てとっさに春之介が飛び出し立ちふさがる。
刀を抜こうとしたら抜けたのが定規だったりで抜いても抜いても刀が出てこないというベタなネタとか、子供が敵に荷物の中の高いお皿を投げつけてやっつけて、それを見た持ち主の家老が悲鳴をあげるとか。
で、腕っぷしはからっきしな春之介に対して武闘派の鷹村が大活躍して、一行の女性たちから「キャー、源さま〜💕」とキャーキャー言われるんですけどね、ここ一応敵を殺してるところなんですよ。
血がドバーッとした描写は控えめにはしていても、急所に刃物が刺さりハッキリ死んでる。
それを「キャー、カッコいい〜💕」で締めるのは、自分はダメだった。
時代設定が五代綱吉の頃ということで江戸時代としてはわりと平和な時代ではあるんだろうけど、現代と一番違うところって人が死ぬこと、もっと言えば殺されるということが身近な時代だったということなのでは?
人が死ぬなら、その当時の死生観とかをしっかり見せて欲しかった。
こんなに軽くコメディ調で描かれてもモヤモヤするし。
そしてそもそもの裏切り者の家老もなぜ裏切ったのかの掘り下げもなく、証拠を掴まれた訳でもないのに逃げようとしてバレるという雑なオチ。薄いよう!
多分長い引っ越し道中にヤマ場を作るためだけに襲われるシーンが欲しかったんだろうな。
石高が減るためにリストラした藩士たちを、また石高が戻った15年後に再雇用するというのがクライマックスで、その15年の間農民として暮らしてるうちに亡くなった藩士たちを悼んで石碑を建てるのだけど、さっき笑いながら人を殺してたのはなんだったのよー!と思ってしまいました。

そして俳優陣、演技は良かった、確かに。
ただキャスティング自体には見ていて「???」がいっぱい浮かんでしまった。
俳優がみな上手いから見せてはいるけど、決して「ハマり役」ではないのだ。

例えばピエール瀧
春之介からリストラを言い渡され農民として暮らし、15年後の再雇用の際に藩に戻らず農民として土と共に暮らす事を選ぶ藩士。出番は少ないけど重要な役だ。そこは確かにハマっていた。
なんだけど、リストラに際して「なぜ自分なのか?」と問うと春之介は「家族のいないものから選ばせてもらった」と言い、それに対して「部屋住みの身では嫁など貰えないのだ」と反論する。
「え?『部屋住み??』ちょっと待って、ピエール瀧の役っていくつ設定⁉︎」とびっくりしてしまった。
その他のリストラ要員もずん飯尾に小澤征悦なんだけど、どうやら全員まだ独身の若手設定らしい。えー?
デジタル技術が進んでいるこのご時世、詳しくはわからないけど映画館の大画面ではこの40overの俳優陣のアゴのたるみまでキッチリ映し出されているんですよ。
舞台ならまだしも、若者の役は厳しくない?
美しくモテモテな殿役のミッチーも流石にアップはごまかしきれないし。
一方で、春之助より年上設定と思われる数少ない子持ちキャラ於蘭の高畑充希はお肌つるっつるでねー。
映画では俳優の演技ではどうにもならないところまて映ってしまうのよ💧
知名度ある俳優だとどうしても平均年齢上がるし、難しいところだ。

高橋一生の役の鷹村は脳筋で腕の立つ武闘派侍。
普段の喋り方より声を太くしていて、でも不自然じゃなくさすがに上手く大らかさを出していた。
でも、どうせなら大柄で鈴木亮平みたいな人の方がハマったのでは?
最善のキャスティングというよりは話題のキャスティング、という感じがしてしまう。
でも、上手いんだけどね(笑)

そして我等が星野源!(笑)
人見知りで女性が苦手でこもって本を読むのだけが幸せな引きこもりだけど、大役を任されて一生懸命に働き、素直で偏見のない性格もあって皆に認められ、まっすぐ成長していく主人公!
うん、星野源にぴったりだー!
ぴったり過ぎて、なんだかなぁ……。
確かにこういうパブリックイメージですけどね、ハマってるしさすがに上手くこなしてる。
先に書いた刀が抜けずドタバタのコメディシーンなんてリズム感がいいんでしょう、テンポよくてさすがでした。
けどね、「純潔」がどうのといじられていて「また童貞役かい」とガックリしましたよ。
「役者 星野源」のポテンシャルってこんなもんじゃないですよー!舐めないでほしいなぁ〜。
コウノドリ」の四宮みたいに、一見イメージじゃない役でもできる俳優なのに。
せっかくの主演で、こんな今までの役の派生形みたいな役なのかー……。

そもそも春之介のキャラクター、「時代劇には珍しい」と言っていて、確かに時代劇では見ないかもしれないが、最近のアニメの異世界転生ものの主人公の典型的なパターンだよね。
ニートが動かざるを得ない状況に放り込まれいつのまにか成長していくっていう。
キャラクターとしての目新しさは無い。
試練に立ち向かい成長し、気が強くてしっかり者のヒロインと恋に落ちる……ううう、ベタ!

なんだか微妙な点ばかりあげてしまったけど、でも、2時間飽きずに見られたし、俳優は本当に良かったんです。
けれど、見終わって外に出てまず、連れに「面白かった⁈」と聞いてしまったよ。
だって、この内容でこの客の入り。どうしよう、映画コケたら!
星野源が叩かれてしまうんじゃないの?
ただでさえ俳優業やる時間が無いのに、今年のドラマは「いだてん」だけっぽいし、ツアーがあるから来年はあっても後半か。
久しぶりの「俳優 星野源」なのにー💦
不安のあまりツイッターなどで口コミチェック。
「すごく面白かった!」「笑いが止まらない」「満席だった」と高評価ばかり。
あ、あれ?自分が見たのと違う世界線なのかしら???
ま、まあ好評なのはいいことだ。
で、週明けのランキングは初週5位か…。どうだろう?
2週目の「おっさんずラブ」が2位かー…うーん。
俳優はすごくいいし、2時間飽きないから、みんな、もっと見て!
貴重な貴重な星野源主演映画なのよー!

ところで、瀧さんは映画にテロップもないかわりにパンフにも当然乗ってない。
瀧さんが出た時、2列前にいた年配のご夫婦連れの旦那さんが「お、ピエール瀧だ。ピエール瀧だよ」と繰り返し言っていて、「ちょっと!お父さん!」と奥さんにたしなめられていて笑ってしまった。
世間一般の関心はそんなものねー。