温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

朝ドラって特殊なドラマだなぁと色々見くらべて思う

「スカーレット」が大変面白いので、「おしん」と共に楽しく見てます。
始まった当初は王道朝ドラと言われ、なのに今だに視聴率はここ数年の中では低いようですが、自分的にはここ数年で「ドラマとしては」1番の傑作になるのではと思っています。
どうやら自分は大阪制作の方が好みのようです。
どちらかというとベタな朝ドラなのは「ゲゲゲの女房」の方で「スカーレット」も「おしん」も意外とハードモードなんですよね。
このところの展開は「女性の生きづらさ」がこれでもかと描かれていて辛いです。

おしん」は先週土曜の186話が史上最高視聴率回だそうで。
加賀屋倒産を知ったおしんに浩太が加代の消息を知らせてくる。そしてその住所にいると言うことは…。尋ねたおしんは赤ん坊の鳴き声を聞いて。加代がいるのを知る、という回でした。辛い。
辛い生活で身体を壊したお加代さまはあっけなく亡くなり、お加代さまと大旦那様大奥様のお骨とお加代さまの一人息子希を引き取っておしんは伊勢に帰る。
なんかほんと辛い時代ですね。
加代は裕福な家に生まれて容姿も頭も良く意思も強い。それなのに家のためにもらった婿がボンクラだったために破滅だよ。
ああ、本当に女性が自分で人生を選べない時代だったんだなぁ。
加代が男なら自分で堂々と加賀屋を切り盛りできたし、もらった嫁がボンクラでもさほど困らなかった。男でありさえすればねぇ……。

そんな時代に自分を貫くおしんはだからこそ主人公。けれど、おしんほど強くも賢くもない普通の女性が自分で生きたい様に生きられる時代はなかなか来ない。
時代は下って戦後、喜美ちゃんの時代。
おしんはスーパーをもう興しているのですかね?それはそれで楽しみ。
喜美ちゃんも全く自由に選べない環境で育つ。
つくづく経済的余裕は大事。
実家の状態に振り回されてやりたい事もやれない。高校も行けなかったし、せっかくお金を貯めても美術学校も諦めた。
女だから勉強は必要無いし、長女だから家の手助けをして当然。生活力の無い両親はしっかり娘に甘えてくる。
それでも基本ポジティブな喜美ちゃんは実家の現状を受け止め、自分がなんとかしないとどうにもならないと自分で決めた。
そう出来たのは大阪でちや子さんや大久保さんやさださんのようにちゃんと生きている大人の女性から学んだから。
おしんが加賀屋の大奥様や髪結の師匠からたくさんの事を学び、その身に付けた知識と技術を生かして生きてきたのと同じ。
生育環境に問題があっても、あれば尚更、何かを学ぶ事がどう大事かをしっかりと「スカーレット」も「おしん」も描いてるんですよね。
こういう事を説教臭くなく、ドラマとして面白く作るっていうのはいいなぁと思います。

そんな「スカーレット」ですが、視聴率はここ数年の中では低いんですよね。
まあ関西では高いようなので、大阪制作は関東では多少低いのかもしれませんが、「まんぷく」は高かったし。
自分が思うのは、「スカーレット」は普通に面白いドラマを作ろうとしていて、余計な引きや話題作りをしていないからだと思います。
普通に20パーセントを取るにはいわゆる「ドラマ好き」以外の人に見てもらう習慣をつけなくてはならないわけで、前作の「なつぞら」ではとにかく若手イケメンを入れられるだけ入れ、過去作ヒロイン登場とチームナックス全員と、ドラマの内容は置いといて、キャスティングで引っ張るという手法に出ていたんですが、「スカーレット」はそういう小賢しい事を一切やってないんですよね。
そしてそういう事で「ドラマはそんなに見ないけど◯◯さんが出てるなら見よう」という層は確実に釣れる訳で。
なつぞら」はそれをやり過ぎてドラマが破綻してましたが、「まんぷく」はそのバランスの取り方が上手かったなと。
メインターゲットの主婦層に人気の3〜40代の見た目もいいけど演技も上手い俳優をメインキャラに配役すれば一石二鳥、なにも馬鹿みたいに人数出す必要はない訳です。
若手は期間限定登場キャラで出してメリハリもつけてドラマ本体の邪魔にならないようにするというエンタメとしての見せ方が上手いのは脚本家の持ち味かなと。
「スカーレット」の脚本家は過去作からしてもエンタメに振るよりしっかりしたドラマ作りの人のようなので、イケメンだから意味なく脱がすとかはやらないだろうし、それが地味かもしれないけれどドラマとしては魅力的だと思います。

そんな事をつらつら考えていたら次作「エール」の脚本家交代のニュースが。
東京制作はドラマをちゃんと作るより視聴率取れる事をやるために脚本に無茶をさせてるのでは?というウワサはありましたが、「本当かも」と思わせてしまうような事になりましたね。
そもそも「エール」を降りた脚本家はどちらかというと社会派っぽい感じなので「朝ドラ?へ〜?」と思ってましたが、合わなかったのかもしれません。
自分はとにかく「ドラマとして」面白いものを見たいから「なつぞら」はダメでしたが(何しろタイトルをもう忘れていて「あおぞら」だっけ?」と思ってたくらい💧)、イケメン&話題作りキャスティングで視聴率は取れていたから、これでは制作側が「脚本適当でもとりあえずヒキの強いキャストさえ出せば朝ドラはオッケー」と思ってもしょうがないのかも。
まあクズですけどね(笑)
「エール」は働き方改革ということで放送回も減らしたのに、結局仕事が増えてご愁傷様です。

先日の「おしん」のアナザーストーリーでは橋田先生が、当時ですらこんな暗い話は受けないと言われて企画がなかなか通らなかったと言ってました。
けれど結局あれだけの作りのドラマだと人は見る訳で、「スカーレット」も変な小細工しないで普通に「ドラマとして」面白いものを見せていって欲しいなぁと思います。