温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「G線上のあなたと私」 8話  波瑠の強みはこういう「普通女子」を演じられるところだと思う

今期ドラマは「ガッツリハマってる〜!」という程のものはないんですけど、「そうそう、今日はあれがあるなー♪」と楽しみに帰る、くらいの良作はけっこうあります。
朝ドラの山につい視聴が遅れがちですが、こういう「見てちょっといい気分になれる」ドラマってけっこう大事で。

そんなドラマの一つ「G線上のあなたと私」、派手さはないけどじわじわと染みるお話。
大人のバイオリン教室という、責任も上下関係も無い場所でたまたま出会った3人の男女の友情と恋の物語、と一言で言えてしまうように、ものすごい盛り上がりのあるドラマではない。基本的には普通の日常の会話劇だ。
自分はいくえみ綾にあまりハマらないのでどうしようかなー?と思っていたのだけど、脚本が安達奈緒子ということで視聴決定。メインキャストも好きな俳優さんだし。
会話劇というと、同枠の「カルテット」を思い出すけれど、「カルテット」がファンタジー寄りだとすると「G線〜」はリアリズム。これは脚本の坂本裕二と安達奈緒子の作家性の違いかな。
安達奈緒子は「透明なゆりかご」以降、全く外れがないのが凄い。
とにかくリアルなエピソードがうんうんという感じだし、漫画原作の構成が上手い。
今回は原作未読なのだけど、どうやらかなりオリジナル展開が入ってるようですね。

「G線〜」ではまず、松下由樹に「おおっ⁉︎」となった。
松下由樹って主婦役のイメージが強かったのだけど、それってCMのもので、ドラマなどで主婦役をやってるのを覚えてる限り知らない。
どちらかというと2時間サスペンスの主役やテレ朝お仕事ドラマでの独身キャリアか、ドロドロ恋愛ものの気が強いキャラという感じ。
代表作の「ナースのお仕事」は見ていないので、コメディエンヌとしてもあまり見た事がなかった。
で、初回見たときから「これは、初めて見る松下由樹だわ……」と地味に感動。こういう演技をする人だと思っていなかった。
顔がハッキリしてるのと大柄なので気が強い役が多いのだけど、ここにいたのは夫や姑に言いたい事をうまく言えない、普通の主婦だった。声のトーンが少し高め、喋り方がソフト、ちょっと「女子」感が残ったままの感じ、おそらく体重も増やしていて正に「主婦」なんですよ。
正直、演技派というよりキャラクター売りの人だと思っていたのだけど、一瞬で「すみません💦」と思った。えー、こんなに上手いのか!

そして大学生理人の中川大志
子役からやってる人にありがちな「普通の役が来ない」というパターンで、どうも癖のある役が多いですが、今回の「普通の大学生」の細かい演じ分けがなんの問題も無い。さすがだなぁ。
最初は、波瑠演じる27歳の也映子と松下由樹演じる主婦の幸恵を明らかに別ジャンルの人と認識している。
けど、それが逆にフラットさになっていて、年齢に気後することなく接してるうちにだんだん打ち解けてくる。
そういうのがだんだん表情が砕けてくることでわかるのがねー、上手いです。

でもなにより波瑠がいいんですよー!
「あさが来た」以降、好きな女優さんでわりと見てます。
なにしろあのおっきな目が印象的なので、無表情キャラでも絶妙な心の動きが出しやすいのか、クールキャラがハマっていいなぁと。「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」とか。
ショートでも地味にならないので「もみ消して冬」のドSなお姉さまも好き。
ですが、今回のドラマは本当に普通女子。
いわゆるカースト上位女子のバイオリン講師眞於先生とは違う一般女子。
この「普通女子」役って意外と難しい。
基本的に女優さんて一般人より華やかで綺麗な訳ですから、それが明らかに隠せてなくて「これで地味キャラって、苦しくない?」となりがち。
かと言って、地味目の女優さんがやると画面上の見栄えがイマイチで、存在感が無いというか、「えっ?これが主役……?」となってしまったり。なかなか難しい。
それが、このドラマの波瑠はちゃんと主役としての存在感がありながらどう見ても「普通女子」としてそこにいるんですよ。
そして3人がカラオケで練習のためと集まっては飲んで食べてしゃべるシーンを見ていて、「あ、こういうのある」と思った。
ほんとーに普通の女の子が普通に喋ってると思った。けれど、ちゃんとドラマになっている。
もしかして、波瑠という女優が1番売りにできるのはこれかも!と思うくらい良かった。
メインキャスト3人が普通に上手いので、3人のわちゃわちゃが「あー、あるある」と自分がそこにいた事あるような感じ。

ここまでで1番印象に残ってるシーンは、也映子が眞於先生に、ほっとけないタイプの先生と違って、自分は一人で大丈夫と思われるタイプでほっとかれるとこぼすと、それにイラッとした眞於先生が、じゃあそう言えばいいじゃないですか、と切り捨てるシーン。
うーん、文字で書くと説明難しいんだけど、明らかに也映子と同じくその他大勢女子だった身としては、カースト上位女子に対する卑屈な態度はすごく刺さった。わかるー。
このシーンはドラマオリジナルらしくて、やっり安達奈緒子すごいなぁと思った。
こういう面にちらっとしかでない心の動きとかよく描けるなぁ。

眞於先生役の桜井ユキはこのところ大活躍だけど、今回はとにかくいくえみ綾の絵がそのまま実写になったみたいなルックスでおお〜っと思う。
初めて認識したのは「東京独身男子」のバリキャリ高嶺の花弁護士、それから「だから私は推しました」、今回のふわふわモテ女子と毎回まるでパターンの違う役柄をサラッと演じてて、これは来たね。いい女優さんだー。

このドラマを見てると、普通に利害関係のない友人が欲しいなぁと思う。
大人になって新しく知り合う人ってまずは仕事関係だし、フラットで世代や性別の違う人と知り合うのはなかなか難しい。
それ考えると確かに習い事っていいよねー。
中川大志とかいう無謀な夢は無理としても(笑)也映子と幸恵みたいな世代の違う友人って憧れる。
自分はベタな日本人なもので、世代や性別があからさまに違う人と接するのが面倒というのがどうもある。だからこそ、こんな風に興味のあることだけで人と繋がってみたいなって思ったりする。
だからこのドラマが楽しいのかもしれないな。