ツイッターで、某有名整形外科医のつぶやきを見てげんなりした。
元々この人の言うことはなんだかなぁと思っていたけど、この世代のある種のオッサンはもうどうしようもないしなーと流してた。けれどフォローしている人がフォローしていたりリツイートしてきたりで目には入ってくる。
さすがに今回のは酷くね?と思っていたらもうまとめが出来ていました。
先週再放送された「ゲゲゲの女房」で水木しげるの、戦争体験をマンガに描かなくてはというエピソードについてのつぶやきをリツイートして「率先して戦った誇りある方々を惨めにマンガで表現するのはいけない」「水木先生は落伍兵」と書いてるのだからめまいがする。
そして「パプアニューギニアの現場検証した、健気によく戦ったと驚嘆した」とある。
現場検証って何?
戦争が終わって何十年も経った平和な時代に見に行って何を検証したの?そういうのは物見遊山っていうんじゃないの?
しめは「英霊に敬意と感謝を捧げます」とあるけど、死ねば英霊、腕を失って何とか生き抜いて戻った水木先生は落伍兵って、戦前ですかい。
この戦後すぐ生まれのそこそこ成功したオッサン達の謎の万能感はなんなの?
俺らが行ってれば戦争勝てたとでも??
そして「国のためなら戦争怖くない」とか言うのだけど、自分達はもう絶対戦地に行く事はないのわかって言ってるのが腹立つわー。
確かに「軍人」というものをなくす事は出来ないとは思うけど、こんな明らかに向き不向きがある職業(あえて言うけどね)に「男」で「若い」だけで全員駆り出される事態が既に異常だってのがわかんないのかね?
水木しげるくらい軍人に向かない人も中々いないでしょ。落伍兵でもなんでも生き抜いた方が絶対にいい。
あとこれ、とりようよってはマンガを格下に見てるように取れるけど、あなたの彼女さんがそのマンガで突っ込んだ表現をしてる人じゃないのかね?
マンガより医者が偉いとか、そういうのなのかー?
くしくもBSの「おしん」でも終戦を迎え、軍に協力していた竜三は責任を感じて自決、次男 仁は飛行機の故障で出撃できずに無事戻ったものの、長男 雄は戦友が形見の日記を届けた事でフィリピンで死んだことが分かる。
戦友は「田倉は餓死した、名誉の戦死なんかじゃない」「地獄のような所に前途有望な青年を送り込んだ戦争と言うものが憎い」「あれは人間の世界じゃない」と言い、雄を置いてきた事をおしんに詫びて号泣する。
雄の日記にはおしんが作った食べ物の事が延々と書かれ、そしておしんのために生きられなかったことへの詫びが書かれていた。
もうね、打ちのめされるしかないですよ。
橋田先生は数々の一般の方からの手紙をベースに「おしん」を書いたそうなので、このエピソードも近い事があったんだろう。
戦後のドラマで遺品を届けに来るエピソードもよく見るけど、つまりそれだけそういう事があったということで。
「なつぞら」で藤木直人が戦友の遺児であるなつを引き取ったのも無茶なエピソードに見えるけど、戦地で一緒に死線をくぐり抜けたというのはそれだけの特殊な体験なんだなと思う。
「ゲゲゲの女房」で茂が「(死んだ兵士は)こんな事で死ぬのかと思っただろう」と言っていたように、紙一重であっけなく人が死ぬ。
「まんぷく」でも義兄2人とも人格変わってたし、戦地というのがどれだけのものなのか、想像しただけでも恐ろしい。
「おしん」では最初から一貫して「反戦」のメッセージが挙げられていて、橋田先生の戦中派としての覚悟を感じる。倉本聡もそうだけど、例え戦闘員ではなくても戦争体験って重いんだと素直に思う。
最近聞いたニュースで、昨今の日韓関係の悪化の理由の一つに、それぞれのトップが戦争を知らない世代になって加減ができなくなってるからと言うのがあって「あー、わかるかも」と思った。
自分達のように戦後では無くなってから生まれた世代より、戦後すぐの世代の方が「今度こそ」「自分達ならやれる」という感覚を持ちがちなのかしら?
なんて、某有名整形外科医のつぶやきを見て思い出したんですよ。
ちなみに某氏は終戦の年の1月生まれなので正確には戦中世代。と言っても物心つくころには食料事情なんかも落ち着いてるだろうし、あとは家庭環境によるのか。そこまでは調べないけども。
「ゲゲゲの女房」で昭和30年頃に戦記物の漫画が人気というエピソードに「そうなの?」と疑問に思ったけど、人間ってやっぱり喉元すぎればすぐ忘れる生き物なのかもね。
そういう意味でも、朝ドラに戦争描写は必要なのかも。
民放では終戦特番なんかも視聴率が取れずやらなくなったのだから、やっぱりここはNHKがやってくれないと。
少なくとも自分は、今年たくさんの戦争エピソードをドラマで見て、色々考えて、で単純に「戦争はいかんな」と思いましたよ。
まあ、某氏は朝ドラなんか見ないんでしょうけど。
でもだから視野が狭いのかもね。
エンタメの力って大きいよ。
いつか水木しげるの戦争体験物を読もうと思いました。覚悟いるけど。