温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「おしん」〜237話 ああ、またも初子の心の傷が増えてしまった……

戦争が終わりおしんは50代になった。

演じるのも田中裕子から乙羽信子に交代。

こんなに早く乙羽おしんになると思ってなかったので結構びっくり。もっとおばあちゃんになってからかと。でも、子供達が若者の俳優に交代したので一緒の方が座りがいいかも。

といいつつ浩太は老けメイクの渡瀬恒彦が続投でキャスティングがなかなか難しそうねと思う。

世間一般の「おしん」のイメージは小林綾子が強いと思うし、最高視聴率回は田中裕子の時だけど、乙羽おしんになっても面白いです。

 

夫の竜三が自殺、長男 雄が戦死して6年、何とか魚屋を再開し子供達との生活を立て直しつつあるおしん。50歳を過ぎたおしんは、母親としての悩みを抱えている。

加代の忘れ形見の希望は陶芸家を目指して住み込みで弟子入り。次男の仁は「男ならでかいことをしなきゃ」と東京に出ていったまま行方知れず。

末っ子の禎は真面目に勉強して上の学校を目指しているもののおしんの悩みはつきない。

 

そして初子。

子供の頃の自分と重ね、娘同様に育ててきたおしん。雄と思い合ってる事に気づき、いつか嫁に貰ってもいいと思っていた。

しかし雄は戦死。実子でない事を負い目に思う初子は家を出て毎月お金だけを送ってくる。

テキヤの健のおかげで居場所を突き止めたおしんは連れ戻しに行くが、初子は米兵相手の娼婦をしていた。使わずに貯めていた初子の送金で身綺麗にさせ、初子を連れ帰るおしん

そうしてまた親子として一緒に商売を始めるのだった。

 

乙羽おしんになってから、おしんの次に名前が出るのが初子。演じるのは田中好子

いやー、この田中好子がめちゃくちゃ綺麗なんですよ!懐かし番組でキャンディーズってよく出てて、そういう映像ではピンと来なかったけど女優さんとしてみると本当に綺麗。残念ね。

乙羽信子が亡くなってるのは年齢的に仕方ないけど、希望役の俳優さんも50代で亡くなってるし、昔のドラマはこういうところが切ないよね。

調べたら田中好子はこの時28歳くらいなので田中裕子とほぼ同世代。そうね、だとしたらここで乙羽おしんにチェンジがベストかもしれません。

 

相変わらず橋田先生の構成力が素晴らしい。

ドラマの最初、老おしんが家出をしたとバタつく子供達。そこで子供達の会話でが実子と養子がいることがサラッとわかるようになっていた。

その時に中年の初子が「私も結婚しなかったし」と言っていたのを、ドラマが進んで子供の初子が中学生の雄を見上げながら話してるシーンでパッと思い出した。そうか、それでか!って。

おしんには子供が4人。若い時に産んだ長男雄はそこにいない。

初子の子役はそんなに上手い訳ではなかったけど、赤いほっぺたで雄を見上げる姿は一目で「あー、慕ってるんだな」ってわかる。

その段階で雄と初子がどうなるのか何となくわかってしまった。

あー、橋田先生すごいわ。

 

雄が戦死し、心配したおしんは何度も「好きな人が出来たら遠慮なくお嫁に行きなさい」と初子に言うが、初子は「結婚する気はない」と答えるばかり。雄のことが忘れられないのと、戦後にしていたことの傷があるから。

そんな時に雄の戦死を伝えてくれた戦友の川村がやってくる。

危ない事をしながらも商売に成功した川村は、戦地で雄が初子の事を語るのを聞いているうちに、自分にとっても初子が理想の女性として支えになった、雄のかわりに初子を嫁に欲しいと言う。

勝手な理想を押し付けられた初子は最初は怒ってすぐに断る。が、諦めさせるために自分の過去を話すと、川村は「そんな事は傷ではない。もう過ぎ去った事。昔のことが傷なら僕だって大手を振って歩けない。終戦の混乱の中みんなギリギリで生きてきた。戦争に巡り合った不運な世代だっただけのこと。戦争の尻尾なんて切り落としてしまうんだ。」と言う。

そうして明らかに初子の心が動いていた。

 

そんなおり、東京で上手くいかずヒモになっていた仁の行方がわかり、今度は初子が連れ戻す。

大きい商売をしたい仁のために、川村が駅前に買った土地を貸して欲しい、商売が軌道に乗ったら自分は家を出られるから、そうしたら私のようなものでも貰っていただけるんでしたらと初子は川村に言う。

川村は雄の替わりにお母さんのために何かしたかったから土地は差し上げる。しかし初子の事は別。綺麗事を言える生き方をしてはいないが、初子を金の力で自分のものにしようと思われてるなら残念だ、あなたはまだ雄の事を忘れていない、と初子の申し出を断る。

川村は土地の名義をおしんに変え、初子の気持ちが変わるのを気長に待つと言って帰る。

その書類が書留で届いた日、高利貸をしていた川村が客に刺されて死亡したという記事が新聞に載る。

せっかく生きて帰っても家族もなく孤独に生きてきた川村があんなことになったのは戦争のせい、戦争が川村を殺したのだとおしんは言う。

おしんとともに川村を弔った初子は「二度ともう、戦争は嫌」と嘆くのだった。

 

そう、初子の番手がおしんの次なのは、おしんが戦前の女なら初子は戦後の女の代表だから。

この世代は若い男性が少なくて結婚できなかった女性が多いと聞いた事がある。戦争で夫を亡くした人も多いだろう。初子はそういう世代の象徴なんだなぁ。橋田先生のストレートな反戦論が突き刺さる。

それにしても初子が辛すぎる。

雄を亡くしても忘れられず、やっと気持ちが動いたのに、またその川村を失ってしまった。

戦争の傷は生き残ったものにも大きく残っているのだという象徴の初子。田中好子が美し過ぎてなおさら辛いです……。

 

で、困ったちゃんの仁ですよ。

何かというと「男ならでかい事をやらないと」と飛び出していっては折れて戻ってくる。少年飛行隊に参加したときから変わらない。もう悲しい程に竜三そっくり。そういう人物造形も橋田先生さすが。

あれほどおしんに「これからは学歴の時代だから学校行け」と言われたのに聞かず、そのくせ東京で学歴が無いために軽く扱われてコンプレックスだけが大きくなる。

おしんの様子を見ても、仁が1番の気がかりのようだし、これからどうなるやら……。

今度は女性問題起こしそうだしなぁ。

 

先週の「ぴったんこカンカン」で中谷美紀が「おしん」大好きだったと言ってたけど、当時8歳くらい?そんな歳でもわかるのかしら。

おしん」すごいわねー。