温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「MIU404」 第2話 見終わって、ただ放心する

設定&人物紹介プラス派手エピソードでつかみはOKな第1話のあと、テイストがはっきりしてくる第2話はどうくるか、わくわくと視聴。もちろんリアタイ(笑)


1話で車を1台潰したため、張り込み用のメロンパン販売車で勤務に当たる伊吹と志摩。並走する車に乗る女性の様子がおかしいことに気づいた伊吹。そこに殺人事件の容疑者が逃走中という無線が入る。先ほどの車に容疑者が乗っているのでは?という伊吹の主張を受け入れた志摩と共に車を追う。車に乗るのは50代の夫婦。車は山梨へと向かっていく。


前半はすでにおなじみの、伊吹と志摩の噛み合わないようでしっかり疎通できているやりとりが楽しくわりとのんびり。今日はほんわり見れそうかな~と思ったら、後半一転息を継ぐこともできないほど。見終わって放心してしまった。
あ~やっぱり野木亜紀子半端ない。そして演出の緩急も凄い。
「アンナチュラル」も2話でがっつりハマったのだけど、「MIU404」2話でがっつりつかんできた。
以下思ったことあれこれ。ネタバレもあります。

 

前回、犯人を取り押さえた伊吹の態度にキレて殴ってしまった志摩。「謝ってもらってない!」という伊吹にはぐらかす志摩。このやり取りの男の子同士感がわくわくする。警察官という重い職業でも「男子!」な伊吹が尊い
この伊吹から志摩に対する謝罪の要求がラストでしっかり回収されていくのがさすがの野木亜紀子

1話に続き、ますます伊吹と志摩の違いが対比として描かれる。
やっていないと逃亡する容疑者加々見を信じる伊吹と、自分を含め誰も信じない志摩。
加々見は事件の起こった会社では真面目な社員で殺人を犯すような人物には思えない。なんのために山梨に向かっているのかもわからない。もしや誰かをかばって、その人物を追っているのではないか?伊吹と同じく視聴者もそう思い始める。
そして巻き込まれた夫婦。かつて中学生だった息子が盗みを疑われ、それを信じてしまった。濡れ衣だった息子は信じてもらえなかったことに絶望し自殺した。
くしくも息子の命日に、息子と同じ年の加々見と出会った夫婦は、加々見を信じようとし、伊吹と志摩の邪魔をして加々見の逃亡を手助けする。

………それなのに、やっぱり犯人は加々見だった。なんてこと。
事件物のセオリーを軽々と超えて、容赦ない事実だけが突き付けられる。
真面目ないい人だって殺人を犯すことはある。そして自分がやったことを信じられない、信じたくないから嘘をつくのだ。
計画的な殺人なんてそうあるものではない。カッとしてつい手が出て、それが相手を死に至らしめる。意図がなくても人が死ぬことはある。そしてやってしまったらやっぱり殺人なのだ。それには真面目だとかいい人だとかは関係ない。

そうなのだけどね、やっぱり加々見を信じたかったのだよ、私たちは……。

車の夫婦のように信じなかった事を後悔したくないのだ。

 

そして、加々見を演じるのは松下洸平

「スカーレット」終了後、俳優としての認知度が上がって初の民放ドラマ出演。

そうなんだよねー、何度も言うけどホントは4月ドラマだから。間髪入れずのはずだったのに。

でもそんな残念さは全く気にならないさすがの演技。普通の青年を見せることのできる貴重な人材。

子供の頃父親からの言葉の暴力を浴びて育った加々見は、パワハラ上司に父親を思い出し手を出してしまった。こんな事になったのはあいつのせい。父親に謝って貰わなくては気が済まないと故郷を目指していた。

普通の真面目な青年が、ふとしたことで大きく踏み外す。そんなはずはない、どうしてこうなった?それはあいつのせいだから。

後半、ほぼ一人舞台で加々見を見せる松下洸平が凄まじい。こんな人が中々表に出てこれなかったのか。最近はモデル経由、人気劇団経由、大手事務所のアイドル俳優経由、そういうルート以外は中々日の目を見ないんだなぁ。つくづくもったいない。

父親と無理心中を図ろうとした加々見に、2年前に既に亡くなっていることが告げられる。彼が欲していた謝罪は永遠にもらうことはもうできない。

けれど、連行される彼に車の夫婦が告げる「ごめんね、最後まで付き合えなくて」。

ずっと謝りたかった夫婦と、謝ってほしかった息子がそれぞれ相手は違っても、謝り、謝られたことで、ほんの少し救われる。息子の自殺も上司を殺したことも、変えられないけれど、でもちょっとだけ前が見れる。

帰り道、2人でほうとうを食べる伊吹と志摩。加々見を信じたかったなぁと言う伊吹と、そこで殴ったことを謝る志摩。

あああ、なんという隙のない展開!!マジで目を離す間がない。野木亜紀子が言ってた通り、ツイッターなんでやってる暇無い!

 

2話にして、伊吹と志摩のキャラクターがもうしっかり伝わっている。それぞれに過去に何かあったことはにおわせているけれど、たとえそれが何であっても彼らの魅力は揺るがない。

そして事件物である以上エピソードの主役は事件の関係者で、捜査官である2人はそこにおいては部外者として描いているので、各話のエピソードと主軸のストーリー(まだほんのりだけれども)が平行した別の物として共存している。なのでこれだけの情報量がありながら、見てる側が溺れることなく内容が受け取れる。

いや~。星野源が出てるとか関係なく完成度高いドラマだよ、つくづく。

 

加々見が伊吹と志摩に捕えかけられる道の駅は何度か行ったことがあるので、自分が知ってるところに星野源がいる!!っていうだけでテンションがあがるアホなミーハーですが(笑)、それは関係なくても本当に目の前に富士山が美しく見える場所なので、富士山を見る松下洸平の姿に泣きそうになった。素晴らしいロケ地チョイス!あれだけの富士山が見れたらもう何でも許されそうな気がするよ。

加々見が殺したパワハラ上司の役者さんは、「相棒」で有名な鬱エピソード「ライフライン」の被害者役の人で、いまだに「おお、『ライフラインの!』」と思ってしまう。
車の夫婦の夫は鶴見慎吾。いつ嫌な奴の本性を出すかとついハラハラしてしまうけど、最後までいい人で逆にびっくり(笑)

綾野剛星野源もサブキャラ歴も長いので、松下洸平をメインに据えつつ、ドラマ自体の主演としての演技の足し引きが上手くて、出過ぎず引き過ぎずでさすがだな~としかもう言えません。

次回ゲストキャラには「蜜蜂と遠雷」の鈴鹿央士が来るそうなので、主演コンビとの絡みがまた見ものです。楽しみ。

 

あまりにドラマに打ちのめされて、言いたいことはたくさんあるのにうまくまとめられなくて、記事を書くのにこ~んなにかかってしまった。見終わってすぐから書き始めていたのに。ずっと頭のどこかでこのドラマのことを考え続けていた。

そして気づけばもう木曜日。次回は明日。

こんなドラマが見れて、ほんとにうれしい。