温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「エール」〜第91話  戦争責任に向き合おうとしているだけでも意味があるかもしれないと思う

この数週間で、戦争が激しくなり、裕一は戦地へ慰問に行き、そして敗戦が描かれた。

 

男性主役、徴兵対象世代、さらに身内に職業軍人なのだから、これでごまかしたらもう終わりでしょう。

本日の91話では姉吟の夫が戦後職探しに苦労する様が描かれていて、ああ、ちゃんと向き合ってくれたとなんかホッとした。

ここまでのドラマとしての作りが、時代感が甘かったり、キャラの使い方が浅かったりとなんとなく「なんだかなぁ」と思っていたのだけど、主人公が自分の戦争責任を考えるとか、職業軍人が敗戦をどう受け入れるのかを描こうとしただけでも朝ドラとしては前向きだと思った。

先週の藤堂先生の戦死も、確かに描写の甘さはあったけど、朝ドラの枠でやれる精一杯だと思うし。まあそりゃ、あそこから裕一がどうやって帰国したんだ?とかね、ありますけども。

 

とりあえずやっぱり、職業軍人は戦後苦労したんだなというのがわかってよかった。

軍人というのがどうなったのかと思ったら、そのまま失職だったのね。敗戦国のリアルだなぁ。

戦中いばり散らしてた分、世間の風当たりも強いだろうし、エリートとして生きてきた分、切り替えも難しいだろう。

吟の夫智彦役の奥野瑛太はこういう屈折した役がとてもいいので、ぜひぜひ朝ドラの範疇など気にせずブチ切れて欲しい。

 

こういう戦争を挟むドラマを描くとその都度「時代考証がおかしい」というツッコミがはいる。もちろん「エール」でも。

それはもうある程度は仕方ないのだと思う。第二次世界大戦ですらもう歴史上の出来事でしかない世代の方が多いのだし。

今回はスタート時に脚本家が降板するというトラブルがあって、演出の人で「エンペラー」と言われてるらしい人の暴走だという書き込みを見た。なので、何かあると非難のきっかけになっていて、「ジャングルに杉が生えてる」「藤堂先生の髪が長いのはおかしい」とかですら「エンペラー」のせいだと叩いてるのも見た。

自分もそういう雑さは気になる方だと思うけど、それでも今作はちゃんと戦争が起こることを容認し(意図せずとも)後押しした責任、そして敗戦という結果をどう受け止めてどう進むか、を描こうという明確な意思が見えてきたからそれでいいと思った。

完璧なドラマなんてないし、精密さ正確さより「これをこう描きたい」という粗さのほうが魅力的だったりもする。

少なくともここ数年の戦争挟む朝ドラでのお花畑戦争描写に比べれば、「エール」の存在意義はあるのだと思う。

 

今週からは戦後の復興のなか、裕一が音楽でどう立ち直り、どう償い、どうやって皆を励ましていくのかが描かれていくのなら、改めて「エール」を楽しめるかもしれないと思う戦争週だった。

 

ところで、吟の夫が鉄屑集めの仕事にキレたら「ラーメンつくれるのか!」と唐突にラーメンで言い返されたのは「まんぷく」へのオマージュ?