温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「姉ちゃんの恋人」 全9話完走〜! う〜ん、優しい世界なんだけどねぇ〜

「姉ちゃんの恋人」完走しましたー!

有村架純好きだし、岡田惠和好きだし、林遣都ははずさないしと楽しみにしてたんだけど、うーん、なんかちょっとモヤモヤがあって、それがずーっと続いていて、結局最後まで消えなかったなー。

 

岡田惠和が描くのは、善人しかいない優しい世界でそれが好きなんだけど、そしてそれはこのドラマも同様ではあった。

この優しい世界が「泣くな、はらちゃん」とか「セミオトコ」のようなファンタジー設定だとすっと入り込めるのだけど、「姉ちゃん〜」の描くコロナ禍の現在ではどうも上っ面感がして綺麗事で終わった気がする。

それがこの最後まで残ったモヤモヤ感の原因なんだろうなぁ。

 

主人公桃子は高3の時に事故で両親を亡くし、大学進学を諦めてホームセンターに就職、弟3人を育てる肝っ玉姉ちゃん。

そんな桃子が出会った夜間配送部の真人は、恋人を襲われそうになり助けようと反撃して傷害で服役した過去がある。

そんな2人が出会ってそれぞれの傷を理解し支え合え、この突然理不尽な不幸が襲ってくる世界で手を取り合って生きていこうという話です、要するに。

それがね~なんか、「で?」って思っちゃった。
いや、こういうラブストーリーなんて話の展開はシンプルですよね。

基本的に2人の人間が出会っていろいろあっても最終的には思いが通じ合い共に生きていく。

だから話の意外性とかを求めるというよりは、装飾を楽しむものだと思う。

このドラマでも、桃子と真人が結ばれるのは規定路線なわけで、そこまでを面白く見せて欲しいのに、それがなんかあっさりでね……。

もちろん真人を演じる林遣都が過去のことを告白するシーンとか、俳優の力量がさすがだなとかはあった。

けれど、それぞれ傷があると言っても、真人の過去を桃子はあっさり受け入れるし、桃子の叔父とか前科のある真人に一瞬は迷いを見せてもすぐ受け入れるし、親友のみゆきも「親だったら反対するものだから、自分がその役として反対する、一応」というスタンスではあるものの、あくまでもスタンスだけで「よかったね」と認めちゃう。

桃子の3人の弟も最初から好意のみ。

う~ん、主人公たちが2人で乗り越えるべき何かが、この「傷害の前科」である必要がわからない。

 

そして、とにかく出てくる人々が善人でそしてみんな仲良しさんなのが気持ち悪い。
桃子の職場のメンバーは年齢性別バラバラだけれど、上司の日南子が誘えば皆大喜びで飲みに行く。それぞれのマニアックな趣味にも寛容で、上司の恋愛まで応援する。

桃子の弟3人は思春期だろうが姉に逆らうことは一切なく、にこにこと姉に従い、家事もすべてやり秘密も持たずすべてを姉に打ち明ける。

いつも使われるファンタジー設定がこんなに重要だったとは、と思い知らされる。

和気あいあいの職場は「嘘くさい」だけし、天使のような弟たちは「妄想か?」としか思えない。

岡田惠和のよく使う「疑似大家族」というものが、どれだけ夢みたいな設定なのかが、舞台をコロナ禍の現在にしたことで浮かび上がってしまった。

 

このうすっぺらさの原因は書き込みの浅さにもある。

セリフなんかはさすがに岡田惠和だなぁというぐっとくるものがあるけれど、それを話すキャラクターが薄いのでなんだかそこまで響いてこない。

今回主に3組の恋愛が描かれる。桃子と真人、桃子の上司日南子と真人の先輩悟志、桃子の親友みゆきと桃子の一番上の弟和輝。

これがまた、なんというか、女子のイタイ妄想レベルの恋愛模様
ばりばりと働くしっかり者の日南子はしっかり者がゆえに上手く甘えられずに恋愛が上手くいかない。
そんな彼女がたまたまバーで出会った顔がめちゃくちゃ好みの悟志、のちに同じ職場とわかり接近。ひょうひょうとした悟志の真意がなかなかつかめないが、実は前社長の御曹司で現場を知るために配送部に入っていた新社長。クリスマスの朝日南子の職場にバラの花束を抱えて登場しプロポーズをする。

 

みゆきのほうは、家庭環境もあまりいいとはいえず、勤め先の旅行会社がコロナ不況で経営が厳しくのちに倒産。
そんな行き詰っているときに、子供の頃から知り合いの親友の弟がイケメンに成長し「みゆきさんは初恋の人なんだ」「付き合おう」と現れる。

 

疲れたとき「こんな夢みたいなこと起こらないかな~」と思うような妄想そのもの。それぞれの相手がなぜ彼女に惹かれたのかの書き込みはほぼ無し。ただのご都合恋愛展開で、これはいくらなんでも薄っぺらい。

岡田惠和ともあろうものがこんな雑なキャラクター描いてていいものか?

 

確かツイッター野木亜紀子が、「たくさん仕事してて忙しいでしょうと聞かれるけれど、岡田先生のほうがたくさん書いてるし」と言っていて、その通り、お正月に2時間ドラマ、1月からの連ドラもあるけれど、仕事が多すぎて雑になってんのか?という気がしてしまう。

それくらいこのドラマの人物描写の薄っぺらさは哀しかった。

せっかく光石研をキャスティングした桃子の叔父で真人の保護士の川上なんて「いらなかった……」と思ってしまったよ。

 

結局書き込みが薄いから、最後のすべてが上手くいって誰もがみな幸せにっていう展開が「ご都合」としか見えないんだよね~。

いや、ほんと書き込みできないなら弟3人もいらないし。

となんか残念な感じに終わってしまった「姉ちゃんの恋人」、救いだったのはやはり林遣都の上手さかな~。それで最後まで見れたかも。

1月のドラマは見ないかも。

立て直してくれるといいけどね。