今期のドラマは「大好き!」というのは少ないのだけど、結構面白く見れているものは多いので、結果としてどんどん録画がたまり周回遅れになっている。
深夜ドラマやNHKドラマが重なる木~土曜のドラマは特にたまる。
見たいバラエティとの兼ね合いもある。
逆に火~水曜のドラマはわりとためずに見れるので、ここに好きなドラマがくると嬉しい。
12月期は火曜の「この恋あたためますか」と水曜の「#リモラブ」の並びは良かったなぁ~。毎日1本見たいドラマがあるのがボリュームとしてはちょうどいい。
なんですが、今期はちょっとバランスが悪い。
「恋はつづくよどこまでも」は1話を見そびれてそのままハズしてしまった。
そして問題の「ウチの娘は、彼氏ができない!!」ですよ。
北川悦吏子大先生脚本でいろいろと話題の。
菅野美穂、浜辺美波、福原遥と好きな女優さんがゾロっと出ている。
のでとりあえず見てみた。で、「う~ん……」。
自分はもともと北川脚本があまり受け付けない。
特に最近は炎上商法か?という感じもあって、前からそうだけどますます賛否が分かれる作品だ。
なんだけどさ~、今回は見れちゃうんだよね。
いや、面白くはないんですよ。
初回から突っ込まれたとおり、美醜へのこだわり方とか、ブランド志向とかオタク像の認識とか古い価値観なのはその通りだし、「子供部屋おばさん」「陽キャ、陰キャ」とか旬っぽい言葉を一生懸命つかってダダ滑ってるのとかもイタいんだけど、それが「うわ~なにこれ!腹立つ~!!」って言うまでいかない。
「ああ、うん、ハズしてるね……」ってそっと思うくらい。
良くも悪くも過去作ほどのアクというかパワーが無いかなって。
そう思う理由の一つは、あちこちに既視感を感じるから。
菅野美穂の演じる碧のぎゃーぎゃーしたうるささや、娘の浜辺美波演じる空のなぞの「かーちゃん」呼びや「~だ」口調は「半分、青い」の鈴愛だし、空の創作へのコンプレックスなどもまんま「半分、青い」だし、沢村一樹の忠実な幼馴染とかは北川ドラマにお約束キャラだし。小説家の母と漫画を描くことに踏み出せない娘はという「クリエイティブへのスタンス」とかは「半分、青い」でもやった。
なんというかセルフパクリのオンパレードで。
新しさというか「これを描きたい!」というパワーが全然感じない。
そもそも「少女のような母としっかり者の娘」という設定も使い古されてるしな~。
北川ドラマっていうのは「悪名は無名に勝る」の典型で、アンチが騒ぐことで盛り上がってた部分もあると思うんだけど、もうそのアンチを騒がせるだけの強さが無い。
これはクリエイターとしての北川悦吏子の衰えなんじゃないですかね。
小説家である碧にさんざん「今どきそれ?!」みたいなことを言わせてきたのも、自分と重ねてある意味自虐の意味で「オワコン」扱いしているのかと思っていたら、4話で編集者に「ティファニーのように世代を超えて残る本物」と言わせていてびっくり。
本気ではずしてたのか……。
良くも悪くも「感性の人」の北川悦吏子の限界かなー。
碧は44歳という設定なのだけど、行動や好みがあからさまにバブル世代で、これは脚本家の年代の感覚が出ちゃってるんでしょう。
結局自分の身近な事以外は消化できないのね。
まあそういうクリエイターって沢山いるはいるけど、テレビドラマという場では厳しいでしょう。うーん。
というのもこのところ、テレビドラマ界についてあれこれ考えていたのでこの「限界」について考えてた。
撮影から上映まで間がある映画に比べると、テレビドラマはどうしても「今」を意識する必要があって、それが出来る脚本家がいつも時代の顔になってきた感がある。
宮藤官九郎が「池袋ウエストゲートパーク」で連ドラデビューしたのが20年前の30歳のとき。
キャストもこれからの若手が揃っててその後みな大出世だった。
で、最近のドラマ見てると名前で客が呼べる脚本家がその頃とあんまり変わってない。
今期でも宮藤官九郎、岡田惠和、橋部敦子、森下佳子、12月では大石静、水橋文美江……2000年でもおかしくない。
この間で一般の人でもわかるくらい名前が出るようになった脚本家って古沢良太と野木亜紀子くらいだけど、この人たちも若手という年でもないし。
そもそもゴールデンタイムに若い俳優の主演ドラマがなくなっちゃったから、俳優も作り手も若い世代は視聴者層に合わせてネットドラマや深夜にいるんだろうけど、地上波のゴールデンタイムがこの状態って、やはりテレビドラマ自体がオワコンとなりつつあるのかなー。
バラエティでよく、芸人が高齢化してベテランがどかないから中堅芸人が居場所ない、っていう記事を見るけど、ドラマも同じかも。
「相棒」は好きだけど、テレ朝の長寿ドラマばかり編成はどうなのかな?と思うし。
とはいえ、ベテランにはベテランの上手さがやっぱりある。
「#リモラブ」の水橋文美江のコロナ禍の拾い方とか、「恋する母たち」の大石静の、原作の賛否分かれる所を地上波で一般受けする方向へのアレンジ力とか。
基本的な構成とか盛り上げ方とかやっぱり上手いなーと思うし。
北川悦吏子はその「ベテランならでは」のところが弱いから「オワコン」感がするのかな。
今は時間もお金もないから連ドラを全部1人の脚本家が書くことも減ってるそうだし、そもそもギャラも上がらないし(クドカンのラジオで他の脚本家が愚痴ってた)、脚本家の名前で人を呼ぶ時代ではもうないのかなー。
ちなみに4月期では菅田将暉の「コントが始まる」が楽しみですが、この金子茂樹も若手という世代ではないですし。
ドラマ好きとしては色々気になる時代ですよ。
という事で、ダラダラ記事を書いてる間に2週間経って、「ウチカレ」5〜6話が放送されてしまったが見てないままだ。
ネット記事では「衝撃の事実が明かされる!」とあったけど、「なになに〜⁉︎」って見る意欲も湧いてこない。
「レッドアイズ」ですら「青いコートの男の正体が明かされた!」とあって気になって見ちゃったのに。そして「なーんだ」と思ったのに(笑)
そして何より、せっかくの菅野美穂本格復帰だというのに、1ミリも魅力的じゃないのが見るのだるい〜。
北川悦吏子作品は好きじゃないけど、ここまでヒールとしてのパワーが落ちちゃうと、それはそれで時代の終わりを感じて寂しいもんだ、とも思いました。