温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「おかえりモネ」 〜第25話 「知識は武器です」この生真面目さがとても好き

「おかえりモネ」が始まって、もう5週間が過ぎた。
コロナの影響でスタートが遅れているし、いつまでの放送かも発表されていないけれど、週6放送時の話数が150~156話だったので、もう4分の1は終わっただろう。
初回を見て「王道朝ドラっぽさ全開だ~」と思ったものの、日々の展開はこれまでの朝ドラでは見なかった作りで、なんだか不思議な感じがしている。

安達奈緒子オリジナルということで期待したとおり、ドラマの淡々とした進行とキラキラとした空気感がいいなぁと自分は思っているけれど、残念ながら視聴率は芳しくない。
朝ドラの合格点が20%以上と言われる中、「おかえりモネ」は16~7%台を推移していて、これは前作の「おちょやん」も同様だった。
と言うことは3~4%くらいが浮動票。この3~4%の人はどういう条件で見たり見なかったりするのかな?と思った。

現在地上波の夕方と朝のBSで再放送枠があって、基本的に過去のヒット作が放送されているけれど、自分は意外とツボに来ないことも多い。
なんだかんだで完走しているけれど、「はね駒」はそこまでかな~?と思ったし、現在再放送中の「花子とアン」「あぐり」も実はあんまりピンとこない。
で、思ったのがこのあたりの作品って王道朝ドラテイストなんですね。
活発で向こう見ずで自分の意志を押し通すヒロインに次から次へとおこる事件。
花子とアン」なんかは、展開とかキャラ設定に強引さを感じてドラマの出来としては「う~ん?」というところも多いのだけど、盛り上げ方は上手いなぁと思うし。

結局朝ドラにそういうものを求める層が一定数いて、それがその3~4%の人なのかも。
朝ドラ人気を支える層っていうのは意外と保守的なのかもなと思った。
「おちょやん」は好きで面白く見てはいたけど、重い展開のときに沈黙のシーンが長くあったりすると「これは、朝ドラ的には大丈夫?」とハラハラしたのも確か。つい見入ってしまうので、そもそも朝の支度のながら見には合わなそうだった。

そういう点では「おかえりモネ」もいまのところ「大きい盛り上がりもなく」「淡々として静か」で、ヒット朝ドラテイストとは程遠く、そりゃ視聴率も低いよね~と思う。
でもね、そういう朝ドラ向きじゃない「おかえりモネ」の感じが好きなんですよ。
何かのレビューで安達奈緒子の特徴を「生真面目さ」と書いていてすごく腑に落ちた。
そう、「生真面目」なんですよ。

「ドラマチック」というように、盛り上がりのあるドラマでヒキを作って視聴者を引き付けるドラマはもちろんいいけれど、淡々と積み重ねていくことで見せる面白さもある。
そしてその「生真面目さ」が主人公モネのキャラクターになっているので、毎日モネと一緒に淡々と、でも生真面目に日々を過ごしている感じがいい。

モネは主人公としては特別強いキャラ付けも無い普通の子だ。でも自分なりに何かを出来るようになりたいと真面目に考えていて真面目に一生懸命日々を過ごしている。

モネは山の仕事や海の仕事の人達と関わって、そのたびに気象というものが人間の生活と結びついている実例を知り、気象に興味を持っていく。呑み込みが早いタイプではないモネが、ひとつひとつ向き合ってじっと考えてやっと理解する。その繰り返し。
それは大きな盛り上がりではないけれど、人間の進歩ってそもそもそういうもの。
「真面目」というのが誉め言葉にならない世の中で、こういう主人公を形にできる、安達奈緒子と清原果耶がステキなだなと、毎日思いながら見ている。

 

モネが働く森林組合の診療所の医師、菅波がひょんなことからモネの気象の勉強を見てくれるようになった。
少しでも疑問があると前に進めないモネに根気強く、わかりやすく教えてくれる。

そんな菅波が24話で「知識は武器です」とモネに言う。
「持っているだけではなんの意味も無いし、使い方も難しい。ですが持っているに越したことはありません。」と。

聞いた瞬間開けた気がした。
そうか、これがこのドラマの言いたいことなんだ。
サインコサインなんて使わないとか言う立場だけは上のバカにイラつかされること、役に立たない基礎研究に金は出さないというニュースに腹が立つこと、そんな世の中への答えがサクッと現れた。
無駄な知識なんてないし、大抵のことは知らないより知っていたほうがいいと思っているのに、世の中はその逆に行こうとしているように見えていた。

それにもやもやしている人がここにもいてくれたのだと思えた。
なんか救われる。

実際モネは、遭難しかけたときに気象予報士の浅岡や菅波のアドバイスにしたがって切り抜けた。そうまさに「知識は武器です」なのだ。

その正面突破ぶりが、確かにあまり朝ドラっぽくないし、そういうのを好まない人も多いかもしれない。

でも、自分はこの一言で「このドラマは好きだ」と実感した。

一般受けしなくても「おかえりモネ」の生真面目さは魅力的だと思うのですよ。