新朝ドラが始まって1ヶ月、実はいまいちハマってません。
いや、よくできてるのもわかるし俳優陣もいい。欠かさず見てもいます。
評判もいいし「おかえりモネ」よりハマってるって言う声も結構見ます。
ラジオで柴田理恵がめちゃくちゃハマってて伊集院光に絶対見て!って言ってましたよ(笑)
でも自分はいまいちガッツリ来なくて、なんでだろう?と思ってたんですが、時代設定のせいかしら。
ヒロイン安子は1925年生まれですが、話がしっかり動き出すのは思春期から。
それはちょうど戦争前夜。そして話は終戦まですすみ、昭和と同じ年の安子は20歳に。
この時代ってもう繰り返し朝ドラで見ましたのでねー。
今再放送中の「純ちゃんの応援歌」は戦後から始まり、出征した父の帰りを待つ。
「マー姉ちゃん」は戦前スタート、まだ見れてませんが戦争が始まった様子。
朝ドラ歴がまださほどでもない自分は、平行して再放送を見ていて短い間になんども戦争を体験。
「カムカム〜」の第4週では玉音放送があり「あー、なんど聞いたかしら?」と思ってしまいます。
さすがに戦中戦後に食傷気味なのかも。
第4週で岡山に空襲があり、安子は大切な家族を失いますが、前週を見ていて「あー、『あぐり』で岡山も大きな空襲があって岡山城焼けたっていってたなー」と思ってまして。
ちょっと戦争に疲れてるかも知れません。
そして安子と稔の身分違いの恋にハマったという声も見るのですが、自分はおそらくそれがまた食いついてない原因かと思いました。
キュンキュンが作り過ぎに見えてしまって。
特にうーんと思ったのが、親に見合いを薦められた安子が大阪の稔に会いに行き、その帰り岡山に着いた列車の中で泣いていると稔が現れるシーン。
この回すごく人気が出たようですが、自分は見ていて「えー?同じ列車に乗ってたらもっと早く合流できたでしょ?大阪から岡山って何時間かかるのよ。そもそも日帰り可能なの?」と思ってしまって。
恋愛エピソードは全然嫌いじゃないですが、「カムカム〜」のはどうもツボではないようです。
ですが、戦争が終わり、皆が怯えていたとおり稔は戦死。
ここからが藤本有紀の本領発揮かと思います。
もちろんここまでも上手かったんです。
短い期間で劇中の時間はどんどん進みますが、的確なエピソードで必要なことはキッチリ伝えていて。
ただその展開が自分のツボではなかっただけ。
第4週ではその展開におおっと思ってしまいました。
いわば玉の輿でバタバタと結婚した安子。
夫がいたのは1ヶ月、幸い身籠ったとはいえ、終戦まで2年程度の嫁としての生活。
やはりこの時代この状況では明らかに余所者で。
溺愛する息子の子供であるるいの面倒だけは見たがる姑・美都里には気に入られているわけではない。
そんな様子がこの早い展開にサラッと描かれている。
稔の戦死の知らせを受け取ったのは、その少し前に戻った弟の勇。
まず父親を呼びながら渡し、それを見た父・千吉は妻の美都里に見せる。
駆けつけた安子は千吉が「稔が戦死した」と言うのを聞いてよろけ、ふらふらと外へ出る。
戦死の知らせを安子ではなくまっすぐ父親へ渡す勇。そして全く安子に目を向けず出ていくのに全く気づかない雉真家の人たち。
安子に好意的な勇や千吉ですらこの様子。明らかに家族の扱いではない安子が稔を失ってこの先どうなるか。不穏さがひしひしと感じられる。
こういう描写がさらっと入っていて、やはり藤本有紀は侮れない。最初の1ヶ月のベタな朝ドラ展開に油断してはいかんなぁ。
そもそも庶民な安子の実家は空襲で焼け、家族も亡くなるが、裕福な雉真家は家も残り、工場も残る。軍服を作っていたので戦中も余裕があったが、足袋を作り続けていたことで戦後もやっていけそうだ。
この容赦ない違いの描き方。
金持ちは結局いつも金持ち。ツライ。
父・金太か倒れたのを見つけてくれた孤児の少年に安子が言う
「しっかりと生きていかれえよ」
は、安子が自身に、そしてこのドラマのこれからの展開を言っているのだなぁ。
いよいよこれからが「カムカム〜」の本番かも。
期待しましょうねー。