温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「ちむどんどん」のもやもやはどこなのか「純ちゃんの応援歌」を思い出して考えた

日々賛否、いや否を多めに集め続ける「ちむどんどん」。

自分はどちらかといえば好きな方ですが、さすがに「次はどうなるかな?」と楽しみにはしなくなってきてしまいました(笑)

朝はバタバタするので横目でザックリ展開を押さえ、帰宅後夕飯を食べながらじっくりが朝ドラルーティーンなのですが、朝チャンネル合わさなくなりました。まあどうせまた暢子が失礼だし(笑)ネタバレも気にしない。明らかに思い入れは落ちてます。

 

「せっかく沖縄返還50年記念なのに、統治下の沖縄についても戦争についてもほとんど描かない!」という不満の声についても、「まあ朝ドラだからそんなもんでしょ」と思います。

そういうちょっと社会的な問題については逃げる朝ドラを見続けてきたので、今更ガッカリもしません。

まあ確かに、脚本家が「パッチギ」がデビューで、つかこうへいの弟子だと言うのでもうちょっと描くかなと最初は期待したのですがね。結局『朝ドラ』ですから。

 

プロデューサーなんかのコメントで「沖縄返還50年を意識し過ぎず、ホームドラマを描く」「『若草物語』を意識した」と言っているので、じゃあホームドラマとしてどうなんだ?と思うと、まあこれは明らかに大失敗してますね。

自分は朝ドラ歴がさほど長くなく、完走したのは最近の『何かを目指す主人公』のタイプが多いです。ですが先日まで再放送していた「ちむどんどん」と同じくホームドラマの範疇に入る純ちゃんの応援歌」は楽しく見てました。

 

主人公の純子は「甲子園の母」と言われた旅館の女将がモデルだそうですが、別に目指してなったわけではなく、ただ必死で生きていたらそうなっていたという感じでした。

ドラマのスタートは終戦直後。父が出征してまだ戻らない中、女学校を出たばかりの純子は長女として母を支えながら懸命に働きます。

父が戻り、しかし程なく亡くなったり、父が連れてきた少年が新しく家族になったりと、「家族」としての事件は色々ありますが、基本的には普通の家族の日々の物語で、決して「伏線張って考察を楽しむ」ようなものではないです。

が、見続けているうちに次が気になって仕方なくなってきます。

それは純子やその家族や周りの人達に思い入れができてくるから。

「仕事うまくいってなさそうだけど大丈夫かな?」「喧嘩しちゃったけど今日こそ仲直りするかしら?」とか、自分の友人を心配するような気持ちになってきます。

あー、こういうのがホームドラマの醍醐味だなぁと、当時なぜ「純ちゃん〜」が高視聴率だったのかが体感できました。

 

そしてなぜ純子一家に思い入れを持ってくるかというと、やっぱり純子というキャラクターが魅力的だから。

明るく元気で働き者。でも若い女性らしく好きな人ができたりやきもち焼いたりすねたりとリアル感がある。山口智子にピッタリハマっていた。いい子だけど頑固でゆずらなかったりしてもめたりするところもあって、そういうのがいい。

そしてその純子のまわりには真っ当な大人が大勢いて、純子の道筋を正してくれる。

とくに母親のあきは穏やかでひかえめだけど、純子が間違っていると思う時にはしっかりたしなめる。それを純子が受け止め考えて時間がかかってもちゃんとした答えを出すのだ。

仕事の事も結婚のことも家族のことも、そうやってひとつひとつ純子は進んできた。

だから思い入れができる。

 

「ちむどんどん」はというと、とにかくまず暢子が頑張って働いている描写が足りず、都合よく上手くいくだけなので視聴者の「なんだそれ?」がたまっていく。

あと当初から気になっていたのだけど、暢子の調理の手つきが悪く、絵面で「料理上手そう」に見えない。なのに料理を褒められるばかりでなんだかなぁと。

そして田良島は「人格は100点」と言っていたけど、見てる側としては「はぁ?」としか。

オーナーについて知りもしないうちから、人の噂だけ聞いて陰で悪口言うような暢子が「人格は100点」ですって??

そしてそういう暢子をたしなめる大人が誰一人いないのが……。

昭和40年代ならまだ「まっとうでお節介な大人」がたくさんいて、若者に道筋をつくってくれていた時代のはずなのに、そういうところは「やりたいようにやればいい」と今時のまるでパワハラと言われるのを恐れてる上司みたいですごく収まりが悪い。

良子が「この子の母親をやれるのは私だけだから」とたった3年くらいで教師を辞めたくせに、「育児を手伝え」とハンパに現代を入れるのとか、ドラマの方向が定まらないまま進むのも気持ち悪い。

朝ドラって日々の積み重ねなので『伏線張ってすごーく先で回収』というシステムがあまりハマらない。ある程度の短期間でトラブル解決してくれないと脱落してしまう。

比嘉家の借金とか賢秀の場当たり行動とか歌子の病気とか、引っ張りすぎて既にうんざり気味。ドラマの作りとして爽快感がないんです。

ホームドラマ」といいながら、比嘉家の人々は家族を思っている様子がきちんと描けてないからもやもやするんだよねー。

失敗で学ぶことも、まっとうに叱られることもなくただやりたいようにやってなぜか上手くいく、ポジティブモンスター・暢子がすくすく育っていくのが大変怖いです。

 

あ、そうそう「若草物語」では姉妹の父親は南北戦争に行っていて、ホームドラマでありつつ、女性の自立とか当時の政治情勢とかが児童小説でありながらちゃんと描かれていますけどね。

大人向けの「ちむどんどん」ももう少し頑張って欲しいんですけどねー。