温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「舞いあがれ!」〜第122話 桑原氏の丁寧な言葉選びがやっぱり好きだ

いよいよ最終週。

…だというのに歌が詠めなくなった貴司は、八木を訪ねてパリへ旅立つ。

2020年1月に。あああ。

 

放浪詩人とでもいうような八木の言葉はいつも形容が独特で、でも見ている私たちにもきちんと伝わるその加減が絶妙でうっとりする。

 

パリに来た貴司に、かつて自分の詩を贈りたいと思った大切な人のことを話す八木。

その人は強くて世界を変えたいと飛び回っていた。

でも、

「自分で生きんのやめよった」

 

このセリフがストンと刺さって、自分がなぜこのドラマが、というより桑原脚本が好きかがよくわかった。

この平易な単語を使っているのに、八木の八木らしさをスッとわからせる言葉遣い。

これが桑原脚本の素晴らしさなんだ。

そして、あとの2人の脚本家にまったく無い素養なのだよ。

 

この前見たレビューで言っていて腑に落ちたのだけど、「舞いあがれ!」はいわゆる朝ドラらしい成功ドラマではない。

舞ちゃんは真面目で優秀で一生懸命だけど、基本的には平凡だ。

去年再放送していた「ひまわり」では主人公が不況の煽りでリストラされ弁護士を目指し、そして司法試験に合格する。

王道展開だ。

それはそれで面白いのだけど、「舞いあがれ!」で言うと、そういう人生を送っているのは由良先輩や矢野学生だ。

朝ドラ好きには舞ちゃんの方向転換がモヤモヤするようで、自分も最初は面食らった。

でもこのドラマが好きでいられるのは、桑原脚本の「普通」の描き方が魅力的だから。

そういう人とベタしかかけない脚本家では、ドラマの色が違うのは当然なのだ。

 

なんかもう、この八木のセリフを聞けただけで半年見続けてきた甲斐があったと思ってしまった。

本当にいいものを見れて嬉しかった。