意次の後押しで始まった青沼の蘭学講義。
当初は青沼の見慣れない姿と蘭学への偏見で閑古鳥が鳴いていたものの、御台・五十宮の参加で人が集まってくる。
身分関係なく自由に意見をぶつけ合える講義はまさにユートピア。
しゃらっと女性である源内も出入りしている。
でもね、こういうのは長く続かない。
結局は権力者の気持ち一つだという残酷な現実が蘭学講義の場に影を落とす。
そしてその「権力」を何のために欲するのかというのがそれぞれで、そのために下の者は人生を狂わさせる。
いつの時代も同じだ。
蘭学講義で淋しさを埋められたと言う五十宮がいなくなると途端にそれを良く思わなかった連中が動き出す。
意次は美しく有能で世渡りも上手い。
人気も人望もある。
けれど元々身分が低く、あくまでも吉宗の意志を継ぐための力としての権力が欲しいだけなので、定信の「出自へのプライド」が本当にはわからない。
だから正に「出る杭は打たれ」ようとしているのがつらい。
定信や治済のように「国を良くしたい」が一番ではない人間なんていくらでもいる。
そしてそういう人間には権力も金も興味がない源内もまた理解されない。
源内の方もそういう人間のプライドがわからないから正論で定信をへこましてしまう。
「政治」にしか興味がない人間と「政治」に興味のない人間はいつの時代も相容れない。
そうしてユートピアは終わりに向かう。
予告を見ると、次回にはもう辛い結末が待っている。ううう、あっという間だ。
何しろまだ10代家治の時代。
おそらくまた全10話まで幕末までやるのだから源内・青沼の時代をじっくりやれないのはわかる。
けれど、もう少しこのユートピアをじっくり見たかった。
そんな中でも、五十宮の告白をじっくりやったのはよかった。
原作でもサラッと描いてはいるけれど、これは大奥にいる者たちの気持ちの代弁でもある。
ツボをしっかり押さえていてなんかホッとした。
「大奥」と「きのう何食べた?」というよしながふみの2大代表作を同時にドラマでみれるというこの贅沢な3ヶ月。
いやー、夢見たいですがめちゃくちゃ駆け足でもあるので、振り落とされずしっかり見なくては!
悲しいけども。
あとで「何食べ」で癒してもらおう。