青沼の講義のメンバーや源内の活躍で赤面疱瘡克服の方向が見え始め、ついに人痘を成功させる。
着実に効果を見せる人痘だったが、定信の甥が副作用で亡くなったことで雲行きが変わる。
意次は失脚、黒木たちは追放、そして青沼は死罪になり存在そのものが抹消される。
そして、大雨の中の黒木の慟哭。
原作でも屈指の人気エピソードですが、もうね哀しかった!ひたすら哀しかったよー!
展開知ってるのに涙しながら息を呑んでしまいました。
源内も青沼も身近な人間を赤面疱瘡で亡くし、ただただもうそういう悲しい思いをする人を無くしたいというだけのこと、強いて言えば「ありがとう」と言われたいというだけのささやかな欲だけで奔走してきたのに、結局政治に利用され、いらなくなればあっさり切られる。
おそらくコロナ禍だからこそこの医療編をドラマ化しようと思ったのでしょうが、実際のこのコロナ禍の世の中を見ても、この時代と人間なんてなんにも変わってない。
それを容赦なく描くよしながふみもエグいよなぁ。
医療が発達した現代ですらコロナワクチンでやれ陰謀だ毒物だと騒ぎ立てる輩がワラワラ湧くのだから、この大奥の時代にそれまでの漢方とまるっと違うアプローチが受け入れられるのが難しいのはよくわかる。
死亡リスクについても、聞いてはいても自分の身近に起これば騒ぐのも人間として仕方ない。
それでも、これだけの事を成し遂げた源内や青沼に対しての仕打ちには理不尽でしかなく、黒木の叫びには視聴者含め皆おんなじ気持ちだ。
そして源内が受けた仕打ち、今も昔も人の尊厳を潰す手法は変わらない。
どうしても物理的に女性は男性より力が弱いという事実を利用したやりようにハラワタが煮えくりかえる。
くやしくてたまらない。
それでも、青沼本人はきっと悔しくはあるけれどここまでこれた自分の人生に納得もあった。
遊女とオランダ人の間のあいのことして生まれ辛い事しかなかろうと思っていた。
実際に兄は何一つ楽しいことなく死んだ。
それに比べて自分は仲間ができ、生きる目的を持ちそれをなんとか形にした。大切な人に「ありがとう」の言葉をもらった。
きっとそれだけでも意味があった。
そして源内も、死ぬ間際まで想像を働かせ明るい未来を夢見る。最後まで源内でありつづけた。
体は傷つけられても、源内らしさまで奪われることなく人生を終えた。
「大奥」で通して語られるテーマのひとつ、「人は生きる意味が無いと生きられない」。
青沼だけでなく、なんの目標もなくただ淡々と日々を過ごしていた黒木たちも「赤面撲滅」下に過ごした日々は救いだった。
彼らには必要な大切な時間だったから、なおさらこの結末が悔しくて。
まっすぐな人の思いは、いつも権力者に利用されてしまう。
原作3巻分を3話でやるというあいかわらずのすっとばしぶり。
やっぱりここはもーすこし、じっくり見たかった。
ついつい実写キャストを思い浮かべながら原作を読み返す。
それくらい青沼も黒木、源内、意次も良かった。
ただ改変で相変わらずちょっと気になることがちらほらと。
青沼が死罪を言い渡され、他の者は追放になる。
その際「荷物をまとめて出ていけ」と言われていた。
ここは原作では「荷物などまとめなくてよい、身一つで出ていけ」という感じだった。
大奥と彼らがされた仕打ちの厳しさを表すところなのに感触が全く違う。
なんで?
現代合わせのコンプライアンスとかだったらへどがでますけど。
原作書かれた頃から新たに資料とかで、身ひとつで追い出すってのはあり得ないとかわかむたとか?
うーん?
あと、治済のモンスターっぷりを表すのに、原作にもある「後継の女子がいなかった」くだりをハッキリ入れても良かったと思うけどなー。
そして家治の実はの小物ぶりも大事なポイントなんだけど、ちょーっと俳優が軽かったかなー。
意次にエゴをぶちまけるシーンが芝居が甘すぎで残念。
医療編後半のキャストも発表になりました。
難しいよなぁと思っていた家慶役は高嶋政伸。
なるほど!そうきましたか。
治済がモンスターならこちらはクズ中のクズ。
大変難しい立ち位置なのでこういうベテランで華があって悪キャラ映えする人のキャスティングはすごくいい。
下手な人ではやらない役だし。
うーん、本気ぶりが楽しみだ。
なんだかんだ文句をいいつつも見ずにはいられない。
今期1番か2番に楽しみです。
あ、もう一つの1番か2番はもちろん「きのう何食べた?」ですよね。
追記
発表された「医療編」追加キャスト、今日になったら「幕末編」に変更されてました。
まあ家慶あたりは幕末編ですね。
医療編は家斉までか。そうね。