世の中考察ブームと言われてますね。「VIVANT」大人気!
そんな中同じく考察ドラマとしてなかなかに話題の「ハヤブサ消防団」。
「VIVANT」が壮大なファンタジーなのにくらべ「ハヤブサ消防団」は身近なホラー。
すぐそこでありそうな、ひっそりした恐怖がたまりません。
いや最初はタイトルから、都会人が田舎の暑苦しいけどでもほんわかしたノリの中で成長していく田舎暮らしあるあるコメディなのかと思ってました。
それが初回にいきなり「え?カルト?」なシーンがドーンと入り、おじさんたちがキャッキャしながらも挟み込まれる不穏な空気にどんどん目が離せなくなりまして。
そしてラストにいきなり死体ですからね。
いやー、ドラマ作り上手いわー。
過疎の集落を舞台にしてるので、なんとなくの横溝正史感というかミッドサマーというか(予告しか見てませんが)、その空間と仲間内のわちゃわちゃが両立させる演出と俳優がいるので、それだけでも楽しめますよね。
かつて小劇場に憧れた身としてはメンバーも素晴らしい。
生瀬勝久と橋本じゅんの取っ組み合いシーンなんて関西の演劇ファンは泣いてるのではないでしょうか。
ミステリーとしては連続放火と不審死が並行して進んで、交わるような交わらないような感じなので、周りの愛すべきキャラクター達が皆「いい人?」「いや怪しい」を行ったり来たり。
なかでもやはり「謎の美女」として登場した、川口春奈演じる立木彩。
当初から意味ありげで中村倫也演じる三馬太郎が惹かれてしまうのも当然な魅力ぶりなのですが、まさかのカルト信者というのが今どき。
そしてそのカルト「アビゲイル騎士団」のやり口がリアルすぎて怖くて。
ふと弱ったときにすーっと入り込んでくる感じ。
彩も、指示通り放火を繰り返していた省吾さんも、東京でしんどかった時に取り込まれたのでしょう。
そして、彩を「聖母の再来」としてまつりあげようとするのも「何かを感じた」のではなく、「美人だから」だよなぁというのが。
美しい女性を看板に置くことでの効果をアビゲイルの幹部はよーくわかっている。
こわいー。そういうとこ生々しいなぁ。
そして過疎地の問題というのもリアル。
ソーラーパネルの名目で土地を買い人を送り込む。
1000人ほどというハヤブサ地区に300人も送り込んでしまえば、議員だって正式な手続きで誕生させられる。
そうなんだよね、まじで過疎の地域では住民が3桁のところが普通にある。
こういう連中に目をつけられたら乗っ取りがリアルにできてしまう。
自分が時々行く温泉がある村が、行き始めた10数年前には人口が1000人以上いたのが、たまたま見た記事で900人台になっているのを知った。
いろいろ移住を呼び込む活動してるのにだ。
それを考えてしまうとね、うーん。
そういうリアルな社会ネタを入れつつも、クスッとさせるのも忘れないのがまたいいです。
補助金を着服して愛人に注ぎ込んでたりとわかりやすーい俗物。
金田明夫は本当にこういうやつがハマる(笑)
それなのにアビゲイルの印の紫色をいつも身につけていて、「え?信者??こーんな俗物が?」と思っていたら、まさかの愛人が信者で貢がされていた。
おそらく紫を身につけさせられて、信者達の目印にされてたのねー。滑稽。
たくみに散りばめられたエピソードがだんだん収束していく様が爽快で、毎週楽しみにしてたのについに次回最終回。
さて、最終回、ワクワクして待ちますか。