温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「アンメット」第10話 こういうものを見れるのがドラマを見る喜びなのです

杉咲花若葉竜也による9分を超えるワンカットからの衝撃のラストで終わった9話。

話題になっていましたね。

よく、新婚の俳優が不幸な恋愛のドラマに出ると「本当は幸せなのに説得力無い」とか叩く声が出て、「それは見る側の想像力の貧困では?」と思っていたのですが、「アンメット」を見ていると、それはドラマ側の力量の問題もあるのかもなと思わされました。

「アンメット」には確かに他のドラマにない力がありますね。

声も張らず、説明せりふもなく、そこにその生活が確かにあると思わせる、そういう脚本と演技と演出があって、こういうものが見れたりするからドラマを見るのがやめられないんだよなぁと思います。

 

10話では脳腫瘍で余命宣告を受けた夫と、その夫と淡々と併走する妻が出てきました。

夫役は加藤雅也、妻役は赤間麻里子。

公園で発作を起こし運ばれてきたのですが、既に他の病院で手術も放射線治療もやれるだけのことはやっていて、あとはもう緩和ケアをしていくしかない。

「あとどれくらいでしょうか?」とミヤビに聞き、普通に「そうですか」と答える妻の様子で、ああもう随分といろんな状況を乗り越えてきたんだなとわかる。

ベタに泣き崩れるとかそういうのではないのがとてもリアルで「ああ、本当そうだよね」と思った。

 

高校の同級生だったという2人の会話がまた、言葉数も多くないのに相槌とか語尾で「同級生夫婦ってこんな感じだよね」とわかる。

夫はだんだんと起きてる時間が短くなり、記憶もあやふやになっていくのを、毎日見舞いにくる妻はにこにこしながら相手をしていて、その生々しさに泣きそうになった。

夫の咀嚼の仕方が本当に嚥下機能の落ちた人だし、妻の淡々とした感じがこういう患者の身内そのものだった。

にこにこ明るくしていてわかりやすい愚痴もないのだけど、表情の変わり目に不安や淋しさがチラッと見える演技の加減がただ凄くて、真剣に見入ってしまった。

 

脇役でもストーリーにガッツリ絡むスター俳優系の加藤雅也に対して、妻役の赤間麻理子は最近ドラマでもよく見かけるものの基本的にはわかりやすく脇役出演の人だ。

最近だと「虎に翼」で花江の母親役だった。

顔がハッキリしてるせいか「傲慢なセレブ奥様」みたいな役が印象に残っている。

「MIU404」では不祥事を隠蔽する校長だった。

それが、こんなに普通の人をこんなに「居る」芝居で見せてくれるとか、ベテランは凄いなぁとしみじみした。

演技の幅がありすぎる。

 

おそらく「アンメット」のスタンスでなければここまでメインゲストでキャスティングされることはなかったと思う。

この立ち位置の俳優さんのこんな芝居をこんなたっぷり地上波で見れるとか、まだまだテレビドラマは捨てたものじゃない。

いいものを見てしまった。

 

次回はいよいよ最終回。

ミヤビの障害についに決着がつけられるのだろうか。

楽しみだけど、終わってしまうのは残念だ。