楽しみにしていた「新宿野戦病院」。
いやー、面白かった🎵
そして後々ずーっとあれこれ考えてしまうのもクドカン脚本の常で、今回も色々考えている。
歌舞伎町の片隅にある救急病院で、社会の仕組みの隙間からこぼれ落ちようとする人達を、言い方悪いけど「ほら、おもしろいんだよ」とクドカンが掬い上げて人々の前に置いてみせる物語。
クドカンのこういうところが面白いなぁといつも思う。
先日ラジオに桐野夏生がゲストで出ていて、「小説はその世界を味わうもので、そこにメッセージを入れているのではないんです」というような事を言っていて、なるほどと思ったんですが、クドカンのドラマもそういうスタンスだなと思う。
あくまでもこういう人たちがいるんです、こういうことがあるんです、という事を伝えるもので、「だからこうして」とか「だからこれが正解」は言ってないんですよね。
前作の「不適切にも程がある」も賛否分かれてたけど、あれはあくまでもクドカンが挙げた例の一つで正解ではないんです。
そしてそれを見ている人が受け取りやすいように「コメディ」で味付けしているだけで、ふざけてるとかは全然無いんですよね。
でもまあ受け付けない人がいるのもよくわかります。そしてまあそれは仕方ない。好きな人が楽しめばいいと思う。
救急病院を舞台に時には違法行為までを扱うから怒る人は怒るし、「救命病棟24時」みたいなのもおもしろいけど、人間って滑稽なのがいいんだよなっていうのも面白いです。
で、初回は状況と人物紹介をしつつエピソードも入ってましたが、相変わらず情報量が多いのにまとめて伝えるのが上手!
テンポよく話がどんどん動くのに見ていて状況がすっと頭にはいってくる。
出演者が「虎に翼」からスライド、どころか並行メンバーまでいるのに、どの人もおもかげなし!別人!さすが!
とくに仲野太賀演じる美容皮膚科医の享はひさびさのやーなやつ。
自分は彼を認識したのがゆとりモンスターなのでワクワクします(笑)
そして小池栄子のぶっちぎりぶりが素晴らしいなぁ(笑)
なんだかんだでバリキャリの役が圧倒的に多いので、タンクトップにジーンズという格好が新鮮。
そしてそのためスタイルの良さが際立っているのにそこ全然ドキドキさせないくらいのガサツキャラ。いいねー。
自分は英語ぜんぜんなのでヨーコの英語も気にならず。というか、この設定で普通のネイティブな英語を話されてもなんか違うしなぁ。
あの極端な英語がクドカン脚本の作り物感にマッチしてていいと思います。
それにしても、クドカンの目の行き届き方がすごくて毎回しみじみしてしまう。
今回の患者は不法滞在の外国人と生活保護目前のおじいさん。
高齢者の貧困は今の社会問題で、この年でも働かなくては生きていけず、かと言って雇う方は高齢者は断りたい。
強盗事件をきっかけに解雇されてすぐさま生活に行き詰まる。
うーむ…と考えていたら、まさかの元ヤクザ。
余計にしみじみしたわ!
前に何かで見たんだけど、今指定暴力団の構成員は2万人ほどなのだそうだ。
そんなに少ないのかーと驚いた。
暴対法が強化されてから、住むところも働くところもなく追い詰まる元ヤクザの話を見て、そりゃヤクザには1ミリも憧れも同情もないけど、そこに人間として存在してる以上、足を洗いたいのであれば手助けは必要なのでは?と思ったなー。追い詰めて終わりって訳にもいかないでしょう。少し前にラーメン屋をやってたヤクザが銃殺された事件もなんか胃が重くなった。
そして、そうやって「指定暴力団」は減らしても、結局そのくくりに入らないだけの反社勢力は増えていて、一般人との境目があやふやになっただけの気もする。
そんな事をぼんやり考えたりしていたもので、今回のおじいさんのエピソードはすごく刺さった。
クドカンは本当にどこまで見てるのかなと思う。
ヨーコの「とりあえず目の前の命は助ける」という、本来医者として当たり前のスタンスが、歌舞伎町という雑多な人種の集まる場所でどこまでどういう風に貫けるのか、そして享がどう影響を受けるのか、さらに豪華キャストが何してくれるのか、先がとっても楽しみです。
クドカンドラマがあるクールはいいねぇ。