「PICU」、毎週面白く見てます。
確かに初回いきなり子供が2人も亡くなるというのはショックな展開だけれども、それは決してただインパクトをつけようということではなく、地方の小児医療の問題を真正面から描こうとしている表れだと思った。
なので、美瑛町の町議から抗議が来たという記事を見たときは残念で。
そして色々考えた。
美瑛町とも北海道とも関係のない、いち関東民としては正直言いがかりに近いものだと感じたし、おそらくこの人はドラマをちゃんと理解出来ていないと思う。
それでも最近よくある性的か否かの抗議と同様、「うっさいなー」で済ましてもいけない問題なのかもなぁと、記事やブログを読んでみた。
ドラマの冒頭、美瑛でドラマを撮影中の子役が体調を崩し、病院へ運んだがそちらでは対応できず、救急病院へ運ぶが間に合わず亡くなってしまう。
その展開に対して美瑛町議がフジテレビに電話し、実態とかけ離れた美瑛町の医療の描かれ方に抗議したとのこと。町議はブログに「子供たちの命を守る医療体制がない町ではない」と書いている
そしてさらに「美瑛町で病院まで2時間かかる事はあり得ない。旭川市とも連携して、美瑛町内の病院を経ずに救急搬送する体制がある。フィクションとはいえ移住定住政策を推し進めている中、実態とは違う表現で美瑛町の小児医療体制が整っていないかのように描かれマイナスイメージを持たれてしまったことは残念。」と美瑛町広報がコメントを出している。
う〜〜ん、ドラマ見た?
議員は見たって書いてるけど、じゃあ理解力低くない?
搬送まで2時間かかるなんて描いてないしなぁ。
ドラマではあくまでも不運なことが重なって起こったこととして描いている。
子役の子が仕事なので我慢してしまったこと、撮影場所が郊外だったこと、スタッフが現地に不慣れで自分達で病院に運ぼうとしてしまったこと、そんなことが重なってしまった、そもそもが難しい案件だ。
それでも、北海道の物理的な距離という弱点を対応できれば助けられるかもと言うのがPICUの発足理由のひとつだと描いているのだ。
だいたい、このドラマ見て「わー、美瑛って不便」と思って移住をやめるような人間は実際移住してももたないでしょ。
このドラマを前情報をさほど入れずに見始めたので、見る前に「なんで舞台が北海道なんだ?」と思っていた。オリジナルなのだし、ロケとか大変なのになぁと。
初回見てなるほどと思った。
北海道の医療での大きな難点の「大きさ」に立ち向かうのだなぁと。
北海道以外の人って結局その「大きさ」をわかってないんですよね。やっぱり札幌と美瑛を一日でドライブできるとか思っちゃうし。
議員があれこれ言ったって、現実にその「大きさ」に対応しきれている訳ではないんだし、あなたの仕事はドラマにクレーム入れる事ではなく、その「大きさ」にじゃあどう対応していくのか考えることじゃないの?
実際美瑛町には小児科は無いそうなので、それをなんとかしなさいよ!と荒っぽいこと思ったり。
地方自治体はどこも財政厳しいし、数の少ない子供のためにお金がかけられないのかもしれないけど、ドラマでイメージ下がるっていうならそこから手をつけてよね。
このドラマをみて「わー、美瑛田舎で怖〜」と思った人もいるだろうけども、それは日本中どこの地方でも当てはまることで、特別にイメージダウンとも思わない。そういう人はどこが舞台でもそうとしか考えない。
それよりも、その「大きさ」に立ち向かおうとする人達を、こんな真っ直ぐにドラマで描こうとしている事に何か感じてほしいけど。
実在の地名を使ったのが問題との意見もあるけど、自分はそれでなおさら北海道の「大きさ」が伝わりやすいと思ったのでよかったと思う。ちゃんと美瑛町にも許可取ってた訳だし。
チェックしようと思えば事前に出来たことをちゃんとせず、自分が思うように美し〜く描いてくれなきゃ文句を言う。
そういうワガママにしか見えませんね。
とは言え、そういう事にピリピリしなきゃならないほど地方行政が厳しいのかもなぁとも思うし、これがただのクレーマー案件と切って捨てるのもまた違う。意見は意見として聞くべきなんだろうし、実際美瑛町側とフジテレビで話し合いが持たれたようですが。
フジテレビはただ謝罪するだけでなく、問題があれば正して、伝えるべきは伝えてとして欲しい。最近はクレームが来たということだけで引っ込める案件が多すぎて嫌になるから。
そんな思いがけないトラブルはあったものの、このドラマの丁寧な描き方がいいなぁと思っていたら、脚本が「アライブ」の人でスタッフは朝顔チームだそうで。
朝顔は見てないけど、「アライブ」は本当にいいドラマだったんだよね。
なんかすごく納得と安心したので、この先も期待できる。
実際の問題を丁寧に描くドラマは最近どうしても視聴率が取れず、それだけで失敗作扱いされてしまうのがとても残念。
せっかくだから視聴率が取れてくれたらなぁと思う。