相変わらず1時間があっという間の「エルピス」、第3話は冤罪事件にのめり込んでいく浅川と岸本の様子が描かれる。
上手いこと生きてきた今どきの若者のはずの岸本の心に引っ掛かっているのは、学生時代にいじめに加担してしまったこと。
どうやら首謀者ではなく、グループにいていじめを止めなかったという立場のようだが、大人になってもいじめられ自殺した同級生の墓参りを欠かさない。
そんなこと綺麗に忘れて人生を謳歌しているグループのリーダー格の青年のように、本当に罪悪感のない人間の方が生きて行きやすいのかもしれない。
本当に悪いと思っていない人間というのはいて、山口容疑者のようにぬけぬけとやり過ごそうとする様々な事件のことが浮かぶ。
そういう人間理解しようと思うのは無駄なのかもしれないと無力感すらわく。
岸本はその罪悪感を八頭尾山の冤罪事件に向けて少しでも薄めたいのだろう。
一方の浅川は自分で取材し被害者遺族のコメントを取ることに成功、これを表に出すことに使命感を持ち始める。
長澤まさみの目がイッていて、浅川の危うさが伝わってくる。
キー局のアナウンサーである浅川は「キャスター」という肩書きで報道番組をやっていたけれど、結局それはまとめられた記事を読む作業でしかなかった。
初めて自分で「取材」して「真実」を追求していっているという事に舞い上がっている浅川の危なっかしさは、そのまま松本死刑囚を冤罪に追い込んだかつての「マスコミ」と同じ事をしている事に気づいていないところだ。
「正義」と「使命」を暴走させた浅川はレギュラーコーナーのVTRをすり替えて無許可で取材VTRを流すという暴挙に出る。
真実を暴いて冤罪を晴らそうとする浅川がただ「正義」ではないということを3話でもう見せてくる渡辺脚本が怖い。
浅川も岸本も「正義」や「善意」の危なさを体現してしまっていて、「マスコミ」のあり方をどうすれば良いのかをまた考えさせられてしまう。
怖いなぁ。
3話ではサプライズとしてノークレジットで瑛太が登場。
いかにもな謎の男がこのまま素直に真犯人という展開とはとても思えない。
毎回目が離せなくてドラマとしてワクワクする。
次も楽しみだ。