「きのう何食べた?」シーズン2、前シリーズ同様に毎回心を鷲掴まれる。
シロさんとケンジは特にシロさんはゲイであることでの生きづらさを抱えているけれど、過ごす日常は異性愛者である我々と全く変わらず、社会人として、誰かの友人として、家族としての出来事とむき合っている。
だから、彼らのエピソードが対岸の話ではなく、そのたび自分にも沁みてしまう。
10話ではケンジの母がシロさんに会いたいと言い出し、姉2人と共に食事会をすることになる。
ケンジ母の思惑がわからず緊張するシロさん。
ケンジの母は言う。家族として顔を合わせておきたかった、と。
万一ケンジが突然死んだら、シロさんは友人としてしか葬儀に参列できなくなってしまう。
だからちゃんと会っておきたかった。
もちろんこのシーンは原作でも読んでいたのだけど、あえて淡々と進める原作にくらべ、生身の人間が演じるドラマはストンと刺さって感情が揺さぶられる。
母親役の鷲尾真知子が決して大きな演技ではなく落ち着いて話しているのに、気づいたら涙が出ていた。
仕事をして他人と関わりながら生きていくには煩わしいこともいっぱいある。
避けては通れない事もある。年齢を重ねればなおさら。
シロさんも50代に入り、近しい人の死が見える年齢になった。
現行の制度ではケンジとの関係には名前がない。
けれどケンジの母は「家族でいいじゃない」と言う。
歳を重ねるのも悪くないんだなと思える一言だった。
それにしても、毎度毎度のゲスト俳優のキャスティングの上手さよ。
鷲尾真知子と知ってなるほどー!と膝を打った。
そしてやはりベテラン、只者ではなかった。
少ない出番で過不足無い印象の残し方が素晴らしい。
シーズン2はあと2話だろうか。
見たいけど、終わってほしくない。
ううん。難しい。