「火曜だから急いで帰らなきゃ」と思ってあわててから、「いや、もう『unknown』は終わっちゃったんだ…」と思うようになってから数週間。
もう、次の番組が始まっちゃうんだなぁ…。
4月クール、自分的に意外なヒットだったのが「unknown」だったのですよ。
ラストについては賛否分かれていて、賛否が出るのもわかるけど、自分はこれもありかなと思った。
1番突っ込まれているのは虎松の父の事件が特に明かされなかったこと。
一応ヒントというか「こういうことかもと思ってね」というエピソードが、実は父の高校での同僚だった「どん底」店長の源治さんから明かされた。
そう、このドラマは実は細かい伏線が色々あった。
吸血鬼だった人たちがさりげなく厚着して肌を出していないとかもそうだけど、源治さんが元高校教師だったことが同性パートナーの聖夜との馴れ初めで明かされていたのはここへ繋がっていたのだとか。
虎松は結局、父彪牙がなぜあの事件を起こし、逃亡し、こころを助けたのかはわからない。
虎松への愛情ゆえもあったかもしれないし、精神的に追い詰められていたのかもしれない。
それはどんなに近しいひとでも「unknown」な部分は必ずあるのだという、このドラマの伝えたいことの一つだった。
一方で、吸血鬼を「両親を殺した、自分と違う属性のもの=排除すべき存在」と思い込んだ加賀美も、こころに対しての自分の思いが理解できなかった。
「こころ=吸血鬼=排除」のはずなのに、手が止まる。これはなぜなのか。
こころは理解し難い存在の吸血鬼なのだけれど、でも同僚としてのこころは加賀美にとって大切で必要な相手だ。
「属性」だけで判断して敵視してきた加賀美が、「属性」だけで相手を判断できない事を身をもって知ってしまった。
もっと早く気がついていればこんな哀しい事件を起こさなくて済んだのに、親友を殺さなくて済んだのに。
気がついてしまった加賀美はこれから自分のやった事に苦しみ償わなくてはならない。
それでも気がつかなかったままよりずっといい。
先日閉会した国会での主要議案で揉めに揉めていた、入館難民改正法やLGBT理解増進法の事を考えた。
ラジオで能町みね子が言っていて「なるほどそうだなぁ」と思ったことがあった。
「理解増進法」というけど、理解なんてしなくていい、というかできない。
理解しなくていいから差別をするな、と。
本当にそうだ。
難民についてもLGBTについてもきちんと理解している人なんてそうそういない。
自分だって身近にいないし、わかってるつもりでもわかってないんだろう。
でも、わかってようがいまいが差別はダメだ。
わからなくても、距離をとってでも、差別をしないという最低限のことさえ守っていればそのうち少しでもわかるかもしれない。
違うものを肯定しなくていい、理解もしなくていい、否定さえしなければ先はある。
「unknown」を見ていて考えた。
コメディだったりサスペンスだったりしながら、基本的な事を訴えかけてくるドラマだった。
そしてそれを成り立たせていたのが上手い俳優陣だった。
加賀美の町田啓太はソフトなイケメンな容姿を充分にいかして、その上での細かい感情の表現が素晴らしかった。
なんか見るたびに上手くなる。
そして高畑充希と田中圭の主演2人は、コメディとシリアスをシームレスに行き来していて達者だなぁとしみじみしてしまった。
この展開なのに最終回でもコメディパートがちゃんとあり、今妻こころと前妻凛の虎松ディスり合いで「アラフォーなのに少年感出してくる」っていう、明らかに田中圭へのツッコミに笑った。
ラスト、まだみんながいた頃の映像でしんみりしてしまった。
このまま続く未来があったはずなのに。
色々アラもあったけど、凄く惹きつけられる、好きなドラマでしたね。