毎クール見たいなと思うドラマはたくさんあるのだけれど、平日は1時間ドラマは1本くらいしか消化できずに結局たまっていく。
見だしたら結果として面白かったものでも、タイミングで1話が見れず何話かたまってしまうとなんだか手が伸びず、見ないまま最終話を迎えてしまうものもある。
昨年話題になった「silent」はそういう展開にハマったドラマで、全話録画は残っているものの全く見ていない。
でその話題作の脚本家生方美久の連ドラ第2作「いちばんすきな花」が現在7話まで放送済。
今回も見ないままたまってしまってこのままではヤバいなぁと、やっと、やーっと、重い腰を上げて第1話を見た。
そして、グッサリ突き刺さってしまった。
冒頭、クワトロ主人公達それぞれの子供時代が描かれる。
多部未華子演じるゆくえが「好きな人と2人組を組んで」と言われて固まるのを筆頭に、周囲と上手く絡めなかった4人がそのまま大人になってその場にいた。
それでもうだめだった。泣きそう。
世の中の大半の人は人付き合いが上手くないと思っていて、そしてその気持ちは大人になっても多かれ少なかれ残ってしまう。
この主人公たちのしんどさがめちゃくちゃわかると思ったところで、もうこのドラマにハマると思った。
既に、「silent」の盛り上がりに比べて視聴率も高くなく「期待はずれ」的なレビューも見る。
それはそうだろうなと思う。
自分は知っていたから気にならないが、明らかに恋愛ドラマではないので、それを期待した人はがっかりするだろう。
1話では4人が出会うまでの展開がちょっと力技だし、しんどいエピソードばかり。
「坂元裕二のマネ」というコメントもわかる。
長いセリフ回しや凝った役名とか、絶対に坂元裕二ファンだろう。
でも、自分はそういうコメントを知っていても、この1話を見てこの脚本家の人を好きだと思った。
こういう事をこういう風に描きたいのだ、というのが凄く感じられて、例えまだ拙さがあってもその心意気がいい。
確かに細かいツッコミどころもなくはないけど、でも好きになれるドラマだと思った。
だからスタートは遅れたけれど、きっと最後まで見てしまうだろう。
俳優陣はみな上手くてハマっていていいのだけど、特にやっぱり松下洸平は上手い。
勤め先のオフィスで上司に呼ばれて自席を立ち歩いて上司の元へ移動する。
その時の動きだけで、演じる椿という人物がどういう人間かわかってしまった。凄い。
演技の仕事が舞台から始まってるからなのか、いつもそのキャラとしての動きをきちんと演じていて、例えば本人は実はそんなに運動が得意ではないようなのに、「最愛」の時はスポーツマンにしか見えなかった。
同様に今回の椿という人間の生きることのへたくそさをちょっとした動きの鈍臭さで感じさせるのが素晴らしいと思った。
そしてそんな椿と客と美容師として出会う夜々を演じる今田美桜もよかった。
接客としての雑談を振った椿があれこれ細かい事を言い出した時の「あ、こいつめんどくせー」という表情が絶妙だった。
客商売なので笑顔はキープしつつの、本当にほんのりだけ出した「んー?」な顔が凄くいい。
このところでずっぱりだけど、それも納得だ。
しかし、1話を見た後自分のこれまでをつい考えてしまい、思えば長いこと友人と2人で会った事がない事に気がついてしまってなんか落ち込んだ。
ただ「ご飯食べよう」とか「グチを聞いて」とかで2人で会ったことなんて何十年もないかも。というかそんな友達がそもそもいないかも。何かのグループで集まるくらいしかないような気がする。
それがコンサートとか目的があったから、帰りに飲んでくとかくらい。
んー、なんか傷をえぐってるなぁ…。
でもこうやって色々考えてしまうドラマは、きっと好きなドラマですね。