温泉とテレビが好きな私の日記

誰かに気を遣うことのない、思った事をそのまま書いてみるところ。

「鎌倉殿の13人」第37話 謎の呪文は幸せの思い出

前回放送後発表されて以来、視聴者を「???」と悩ませてきた謎のサブタイ回「オンベレブンビンバ」。

死者は出ないのに泣いてしまいそうな切ない回でした。

 

時政が執権になって以降、義時との軋轢は大きくなるばかり。破滅はもうすぐ目の前。

義時と政子はなんとか収めようと努力しますが、時政は腹を決めてしまった。

そして久しぶりに時政は義時や政子達と酒を酌み交わす。

「オンベレブンビンバ」と唱えながら。

かつて一族で集まった時、まだ元気だった大姫が唱えた謎の言葉(正解は「オンタラクソワカ」)を唱える時政は、破滅に向かっているとわかっていながらりくの望み通りにしようと腹を決めている。これは最後の家族団欒なのだ。

 

あー、毎度ながら三谷幸喜にやられまくってしまう。

そもそもいかにも「家族を愛する気のいい田舎武士」な時政がどうやって義時と決裂していくのか。ずっと気になっていた。

自分のやるべき事もやりたい事も済んでしまった時政は、愛おしい妻の望みを叶えてやるために破滅を選んだのだ。

人は変わる。けれど変わらない。

権力を手にして調子に乗ってしまっても、それもふくめて時政父上はずっとあの父上のままだった。

だからこその展開がこんなに納得させられるとは、やっぱり三谷幸喜は恐ろしい。

 

大姫が謎の呪文を唱えた時にはまだみんないて幸せだった。

あれから義時は妻を亡くし、政子は夫と3人の子供を亡くした。実衣は夫と息子を亡くし、時政はりくとの間の息子を亡くした。娘婿の畠山、稲毛も粛正された。

仲のいい幸せな家族だったはずなのにどうしてこうなってしまったんだろう。

そういう時代だから?

考えても考えても答えは出ない。そこまで含めて三谷幸喜のてのひらの上だ。

 

毎回目が離せなくて、ちゃんと感想がまとまらないうちに次回が来てしまう。

それもいいなぁと思わさせるのが三谷幸喜

俳優も全て恐ろしいくらいにハマっているけれど、やはり時政父上の坂東彌十郎は出色。

これだけの演技と存在感なのに一般視聴者はほぼ未見で新鮮という矛盾した存在のキャスティングが出来ることが大河の強みだなぁと。

そして、かつてはヒロイン立ち位置であった宮沢りえの悪女キャラがこんなにも美しく、愚かなんだけれどなんか理解できてしまうのがもう。宮沢りえ、素晴らしい。

 

来週はついにこんな2人が退場という大きな山場に備えて、ぐっと奥歯を噛み締め腹を括って待ちたいと思う。